追い風に乗った4名が逃げ切りを成功させたその後方では総合3位リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)がパンクでストップ。UCIルールに違反する機材提供を受けたとしてポートは2分のペナルティーを受けています。



アクチャルスタート地点に向けてパレード走行アクチャルスタート地点に向けてパレード走行 photo:Kei Tsuji
清々しい表情でスタートにやってきた別府史之(トレックファクトリーレーシング)清々しい表情でスタートにやってきた別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiチームバスから降りてきたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)チームバスから降りてきたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji


ジロ・デ・イタリア2015第10ステージジロ・デ・イタリア2015第10ステージ image:RCS Sport1週目にかけてイタリア半島を南下したジロ・デ・イタリアは、アドリア海に面したマルケ州で再始動した。イタリア半島の東岸を北上する第10ステージは中盤の小さな起伏を除いてほぼフラット。コースの大半は道幅のある幹線道路だ。

最大4分46秒までリードを広げたオスカル・ガット(イタリア、アンドローニジョカトリ)ら最大4分46秒までリードを広げたオスカル・ガット(イタリア、アンドローニジョカトリ)ら photo:Tim de Waeleまだ観光客の少ないビーチタウンのチヴィタノーヴァ・マルケをスタートしてすぐ、4km地点でオスカル・ガット(イタリア、アンドローニジョカトリ)、アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)、マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)、ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)、アラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)が先行を開始。メイン集団はこの5名を見送った。

スプリンターチーム率いる集団がファーノの街を通過スプリンターチーム率いる集団がファーノの街を通過 photo:Tim de Waele追い風に乗って44km/h前後のペースを刻んで逃げた先頭4名。100km地点、ちょうどレースの折り返し地点を過ぎたところでタイム差は最大4分46秒をマークした。

集団先頭ローテーションに最も多くの選手を送り込んだのはアンドレ・グライペル(ドイツ)で2勝目を目指すロット・ソウダルで、別府史之(トレックファクトリーレーシング)やジャイアント・アルペシンの面々もここに加わる。残り40kmでタイム差は2分30秒。スプリンターチーム率いる集団にとって許容範囲と思われたが、ここから先頭5名が粘った。

残り20kmでタイム差はようやく2分を下回り、残り10kmで1分15秒。先頭では最もスプリント力のあるガットがパンクに見舞われたため一人脱落。メイン集団とのタイム差は確実に縮まったものの、追い風が逃げの背中を押した。

スプリンターチームの追撃が続く中、残り6kmで集団内にトラブルが発生する。前輪をパンクした総合3位ポートが沿道にストップし、サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)のアシストを受けてレースに復帰。そこからチームスカイのアシストたちが全力でポートを引き上げたものの、スピードの上がったメイン集団は離れていった。



長時間メイン集団を牽引した別府史之(トレックファクトリーレーシング)長時間メイン集団を牽引した別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele
集団前方をキープするマリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)集団前方をキープするマリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji登りで遅れたマッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)が集団復帰を目指したがこの後リタイア登りで遅れたマッテーオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)が集団復帰を目指したがこの後リタイア photo:Tim de Waele
パンクしたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)をサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がサポートパンクしたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)をサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がサポート photo:Tim de Waele


残り1500mで飛び出したアラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)残り1500mで飛び出したアラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン) photo:Kei Tsuji逃げ切りを確実なものにした先頭4名の中ではステージ優勝を懸けた駆け引きが始まり、残り1.5kmでマランゴーニがアタック。独走で残り1kmアーチを通過したマランゴーニだったが、最終ストレートで後続に捕まってしまう。マランゴーニ吸収後にスプリントが始まり、ブザートを下したボエムが勝利した。

マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)を振り切るニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)を振り切るニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF) photo:Tim de Waeleメイン集団はジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を先頭に18秒遅れ、そしてポートは1分05秒遅れでフィニッシュラインを切っている。

集団先頭はジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)集団先頭はジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele2013年にバルディアーニCSFでプロ入りし、以降3年連続でジロに出場している25歳のボエムが勝利。金星を飾ったボエムは「チームの目標であるステージ優勝をようやく果たすことが出来た。しかも今大会最もフラットで最も逃げが決まりにくいステージで逃げ切った。残り1.5kmでマランゴーニがアタックした時は全開で追撃したよ。この勝利を共に戦うチームメイトと祝いたい」と喜ぶ。グランツール初勝利に加えて、ボエムはマリアロッサというボーナスまで手にしている。

アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がマリアローザをキープし、47秒を失ったポートが1分09秒遅れの総合4位にダウンという暫定リザルトが出たものの、その後レース審判による判断でリザルトに修正が入った。

「他チームの機材サポートを受けてはならない」というUCIルールに違反したとして、ポートとクラークには2分のペナルティーと200スイスフランの罰金が科せられることに。ポートは総合3位から総合12位までダウンし、コンタドールとの総合タイム差は3分09秒まで広がっている。

現地の様子や日本人選手のコメントなどは現地レポートでお伝えします。



シウトソウに引かれてフィニッシュを目指すリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)シウトソウに引かれてフィニッシュを目指すリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
祝福のキスを受けるニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)祝福のキスを受けるニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF) photo:Tim de Waeleマリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele


ジロ・デ・イタリア2015第10ステージ結果
1位 ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)             4h26’16”
2位 マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)
3位 アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)   +02”
4位 アラン・マランゴーニ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)         +04”
5位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)      +18”
6位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
8位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)
9位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
69位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)             +28”
150位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)            +1’05”

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)        42h58’09”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)                     +03”
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)                     +46”
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)                   +1’16”
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)            +1’46”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)      +2’10”
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)            +2’12”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)              +2’20”
9位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)              +2’24”
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)              +2’30”
12位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)             +3’09”

マリアロッサ ポイント賞
ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)

マリアアッズーラ 山岳賞
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

チーム総合成績
アスタナ

text&photo:Kei Tsuji in Forlì, Italy
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