「チームのために逃げに加わったが、チームカーがステージを狙っても良いと指示してくれた」とは、ジロ通算3勝目を飾ったパオロ・ティラロンゴ。マリアローザをキープしたアルベルト・コンタドールなど、休息日前のコメントを紹介します。



逃げ切り優勝を飾ったパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)

慣れた手つきでシャンパンを開けるパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)慣れた手つきでシャンパンを開けるパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
ジロ史上最年長ステージ優勝を飾ったパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)ジロ史上最年長ステージ優勝を飾ったパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji昨日はチームとして(ミカル)ランダを勝利させ、チームスカイとアルベルト(コンタドール)に脚を使わせるという目標で動いていた。その意味は、ランダと(ダリオ)カタルドは総合順位も高く、他のチームが動かざるを得ないから。その目論見通りとはならなかったが、戦略的には上手く動くことができたと思う。

今日の戦術はそれと違い、(ディエゴ)ローザか自分が逃げに入ろうと思っていた。そして結果的に自分が逃げに加わり、集団に対して先手を打つ事ができた。逃げグループの中には強い選手がいたし、自分の目標はステージ優勝することではなく、峠でメイン集団に追い付かれた時にチームのアシストを担う事だった。でも最終盤にチームカーが僕にステージを狙いにいっても良いと指示してくれた。後ろではアルとランダが上手く動けていた事も無線で知っていたし、ウランに対してタイム差を稼げていることも知っていた。これからの本格的な山岳が楽しみだ。

ステージ2位に入ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)

勝利に一歩届かなかったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)勝利に一歩届かなかったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos今日もアタックするとは作戦外だった。少し山岳賞を狙う事が頭にあったし、何かチャレンジしてみようという気に走りながら変わっていたんだ。実際に体調もかなり良かったし、それがアタックを試みた理由。でも昨日の疲れもあって、KOMのスプリントではやや登りのスピードや爆発力が足りなかった。

最後の登りでは限界に達していたし、逃げメンバーも皆がかなり疲れている状態だった。残念だが2位があの時点での最高の順位。でも昨日のステージが終わった時点ではここまで走れるとは思っていなかったんだ。自分の脚も腰も限界だったから、最後は精神力に頼るしか無かった。ジロのステージ優勝を狙える位置にいれたことに対して嬉しく思っているよ。1週間かなりハードなステージが続いたから、やっと休息日が来たという感じだ。

ステージ3位、山岳賞を獲得したサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

山岳賞を獲得したサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)山岳賞を獲得したサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:CorVos
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)がゴール後に座り込むサイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)がゴール後に座り込む photo:CorVos嬉しい以上の感情に達しているよ。もちろんステージ優勝できれば良かったけれど、冷静にならなければならないね。手術を経た後で絶好調では無かったし、現状の結果には非常に満足している。

序盤はまさかゴールまで逃げ切るとは思っていなかったので、最初に目標としたのは可能な限り山岳ポイントを集める事だった。マリアアッズーラを獲得した今は、なるべくこのジャージを長くキープしたいと思っている。グランツアーで特別賞ジャージを着て走るのはとても名誉なことだから。

一時はバーチャルリーダーとなったアマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)

良い逃げに乗れたから、もしかしたらマリアローザを手に入れられるかも?と思いながら逃げていたんだ。ヘシェダルが調子が良さそうだったし、彼は総合で10分遅れだったから、これはチャンスだと思った。結局、総合上位勢との戦いになってしまったから、リーダージャージを着るチャンスは無くなってしまった。でも、そのために戦った結果としての4位には満足しているよ。ステージ優勝ではないけれど、後悔はしていない。

総合リーダーのまま休息日を迎えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

マリアローザはアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がキープマリアローザはアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がキープ photo:Kei Tsuji僕にとってこのステージは今までに経験したことがないような珍しいステージだった。TVで中継を見ている人にはどう見えたか分からないけど、ステージを通して信じられないようなことばかりだった。最後の登りからフィニッシュまでは、守りの走りに徹していたが、アルがウランを引き離そうと持ちかけてきたんだ。ウランに対してタイム差をつけるというのは良い案だったからアルと協調して走り続けたんだ。

最後のスプリントでは彼に1秒取り返されたけど、長いジロの内の1秒ということで、あまり気にしていないよ。それよりも、肩と膝の調子が良いということが僕にとっては重要だ。マリアローザを着たまま休息日を迎えることができてとても嬉しい。肩と足を出来るだけ回復させたいね。

逃げを狙っていたファビオ・フェリーネと、サポートしたジャコモ・ニッツォーロ(共にイタリア、トレックファクトリーレーシング)

フェリーネ:凄くキツいステージだった。序盤はジャコモ(ニッツォーロ)のサポートを受けて何度も逃げに乗ろうと試みたものの、僕が最後に掛けたアタックの次の動きで決まってしまった。レースはとても、本当にとてもペースが速く、勾配のキツい登りで限界を迎えてしまった。そこから頭を切り替えて自分のペースで登ろうとしたが、今度はパンクに見舞われた。

メンタルを支えてくれたジャコモと(エウジェニオ)アラファチには、本当に感謝しなければならない。本当にキツく、何度も"もう終わりにしよう"と思ったが、結果的には多くのクライマーたちと一緒に第2グループでゴールできた。休息日が楽しみだ。

ニッツォーロ:残り10-15kmで千切れてしまったが、今日は本当に多くのスプリンターが早い段階で遅れていった。明日はできるだけ回復に努めて、スプリントのチャンスがある火曜日に備えたいと思う。脚が回復していることを願っている。

困難なステージを乗り切った別府史之(トレックファクトリーレーシング)

23分42秒遅れのグルペットでフィニッシュした別府史之(トレックファクトリーレーシング)23分42秒遅れのグルペットでフィニッシュした別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji
グランツールではじめて完全に体調を崩した。09ツールのバルセロナのときも厳しかったけれど。昨日と今日のステージはサバイバルに。こんなにも脚が辛いと思ったのは、自転車に乗り始めてから、初かもしれない。終盤は徐々にリズムを掴めるようになって走りながら回復させた。ただでさえ強度が高いグランツール、体調を崩すと地獄に変わるんだとつくづく実感した。

※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka
photo:Kei.Tsuji,CorVos