太平洋に面した2つのビーチリゾートを大きく繋ぐツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージ。緩やかな登りスプリントで、ここまで3日連続2位が続いていたペーター・サガンがようやく勝利を飾った。



海とロットNLユンボ。風光明媚なピズモビーチが第4ステージのスタート地点海とロットNLユンボ。風光明媚なピズモビーチが第4ステージのスタート地点 photo:CorVos


双眼鏡をのぞく双眼鏡をのぞく photo:CorVos楽しげに話すペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)楽しげに話すペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo:CorVos大会初の山岳頂上ゴールを終えたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)は、いま再びスプリンター向けの舞台へ。太平洋に面したビーチリゾートとして栄えるピズモビーチから、同じく沿岸部のアヴィラビーチへとゴールする173.1km。

集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos直線距離で4kmほどと隣り合う2つの街だが、プロトンは一旦ピズモビーチから南下しぐるり遠回り。山岳を1つを通過してフィニッシュラインを目指す。山岳と言っても標高は610mで、かつ中盤に控えるのみで難易度は低い。

ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)がダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)を抜きにかかるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)がダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)を抜きにかかる photo:CorVosこの日スタートダッシュを決めたのはダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)。ここにウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパックプロサイクリング)、キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)、グレゴリー・ダニエル(アメリカ、アクセオンサイクリング)、ジェシー・アンソニー(アメリカ、オプタムp/bケリーベネフィット)という4名のアメリカ人選手が加わり、この日の逃げグループが形成された。

5名を追いかけるのは昨日劇的な逃げ切り勝ちを収め、総合首位についたトムス・スクジンス(ラトビア)を抱えるヒンカピーレーシング。スプリントを狙うエティックス・クイックステップが追走に手を貸し、タイム差は3分半〜2分前後で推移した。

平穏に距離を消化し、タイム差が短縮しはじめたのは残り50km地点から。強く風が吹く中、隊列の形を変えながら、定石よりも少し早めの追い上げを進めていく。

先頭からは吸収を嫌ったダニエルが単独で抜け出すと、千切れた4人を吸収したプロトンは微妙にペースダウン。再びタイム差が広がったが、スプリンターチームが位置取り争いを始めたことで、残り10km突入前に吸収された。

カヴェンディッシュに3勝目を獲らせるべく、エティックス勢が組織だって集団をコントロール。ティンコフ・サクソも同調し、スプリントに向けての体制を整えていく。

しかしゴール手前1km、コーナーが続く瞬間を見計らって山岳賞ジャージを着るダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)がアタック。このカリフォルニアで積極的に動くオスのスピードに集団は主導権を失い、オスが10mの差を持って最終コーナーを通過した。


フロントホップでフィニッシュを決めるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)フロントホップでフィニッシュを決めるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:www.amgentourofcalifornia.com


ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が久々に表彰台の中央に立つペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が久々に表彰台の中央に立つ photo:www.amgentourofcalifornia.com暫くリードを保ったオスはフィニッシュに続く緩やかな登りで失速し、変わって絶好の位置からペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が発進する。カヴェンディッシュが位置取りに失敗するプロトン内には、得意の登りスプリントでサガンに敵う選手はいなかった。

ここまで3日連続2位と悔しいレースが続いてきたサガンが念願の勝利。嬉しさをフロントホップで表現したサガンは、「この勝利は昨日クラッシュしてしまった(マチェイ)ボドナールにプレゼントしたい。今日はチームメイトを信じて最終区間を走り切ったんだ」とゴール後のインタビューで語った。



ツアー・オブ・カリフォルニア2015第4ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
2位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパックプロサイクリング)
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
4位 セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ジェイミス・ハーゲン)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)
6位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
7位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
8位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
9位 ユーレ・コチャン(スロベニア、スマートストップ)
10位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
4h06'56"











個人総合成績
1位 トムス・スクジンス(ラトビア、ヒンカピーレーシング)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ロブ・ブリットン(カナダ、スマートストップ)
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
5位 ダニエル・ハラミロ(コロンビア、ジェイミス・ハーゲン)
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
8位 ディオン・スミス(オーストラリア、ヒンカピーレーシング)
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)
10位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
18h10'57"
+22"
+43"
+44"

+47"






ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
トムス・スクジンス(ラトビア、ヒンカピーレーシング)

ヤングライダー賞
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:CorVos