太陽の光降り注ぐカリフォルニア州でツアー・オブ・カリフォルニアが開幕。初日は集団スプリントに持ち込まれ、鉄壁のリードアウトに放たれたマーク・カヴェンディッシュが勝利。今シーズン10勝目を挙げた。



カリフォルニア州議会前からスタートをしていくプロトンカリフォルニア州議会前からスタートをしていくプロトン photo:CorVos


最前列でスタートセレモニーを見守るロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ら最前列でスタートセレモニーを見守るロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ら photo:CorVosジロ・デ・イタリアと平行して、アメリカでは「北米最大級のステージレース」ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)が開幕した。今年は18チームから141名の選手が参加(プレビュー記事はこちら)し、燦々と太陽が降り注ぐサクラメントからスタートを切った。

ペーター・サガン(スロバキア)を従えるティンコフ・サクソペーター・サガン(スロバキア)を従えるティンコフ・サクソ photo:CorVos一軍メンバーを揃えてきたMTNキュベカ一軍メンバーを揃えてきたMTNキュベカ photo:CorVos初日はサクラメント市街地を発着する今大会最長の203.1kmで、郊外の平坦路をひたすら走る「ザ・スプリンター向け」のレイアウト。一つの丘越すら設定されないコースへ向けて、ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパックプロサイクリング)、スティーブ・フィッシャー(アメリカ、ジェリーベリーp/bマキシス)、ロブ・ブリットン(カナダ、スマートストップ)、ロバート・スウィーティング(アメリカ、スマートストップ)の4名が果敢に飛び出した。

先頭を逃げる4名はペースを緩める集団を引き離すと、タイム差は6分半程度まで拡大する。

サクラメント川に架かる鉄橋を渡るサクラメント川に架かる鉄橋を渡る photo:CorVos緩やかに追い上げる集団では、優勝候補に目されたアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)が気道の感染症から回復せずにバイクを降りる波乱も。また路面に空いた穴による落車が発生し、カヴェンディッシュの発射台役であるマーク・レンショー(オーストリア、エティックス・クイックステップ)らが巻き込まれる(レンショーはその後無事に復帰)ことに。

中盤を過ぎて先頭からブリットンが脱落し、逃げメンバーは3人に。その中でクラークは3つの中間スプリントを全て先頭通過したことでボーナスを獲得し、最終的に総合順位を2位まで押し上げている。その後方では、スプリント必勝態勢を組むエティックスやMTNキュベカが集団のペースを上げると、徐々にその差が埋まっていった。

オールフラットなサクラメントの周回コース(3.2km×3周回)に入ると3名は吸収。矢継ぎ早にキール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)がアタックしたものの、スプリントを狙うティンコフ・サクソの牽きによって飲み込まれる。

ドラパックやBMCレーシング、そしてアメリカのコンチネンタルチーム勢も位置取り争いに加わるが、揺るぎないトレインを組んだのは残り5kmから先頭に現れたエティックス。カヴェンディッシュを最後尾に据えた屈強なトレインは、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)の割り込みを許さず、残り200mでレンショーがカヴを発射した。

スプリントを開始したカヴはライバルの並びかけを一切許さず、圧倒的な車間を保ったままゴールへ。絶好調の「マンクス・ミサイル」がシーズン10勝目を相性の良いカリフォルニアで挙げた。カヴにとっては2年連続のカリフォルニア開幕ステージ優勝&リーダージャージ獲得だ。



圧倒的なスプリントを披露したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が今期10勝目を掴む圧倒的なスプリントを披露したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が今期10勝目を掴む photo:CorVos
表彰台の中央に上がるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)表彰台の中央に上がるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosリーダージャージを着用したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)リーダージャージを着用したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos



カヴェンディッシュは以下のように語る。「終盤のカオスな状況に叫ばざるを得なかったし、レンショーも少しイラついているほどだった。でもチームメイトのおかげで必要以上に状況に対して心配せずに済んだし、それでスプリントに向けて脚を貯めることができたんだ。今日のような状況では最終盤にあまりコントロールしたくはなかったから、レンショーは少し遅いタイミングで動き出したんだ。サガンが一人風を受けて、僕の後ろに入ったのが分かっていたから加速して、彼との距離を広げることができた。今日は速すぎずも遅すぎもしない最高のタイミングでレンショーが僕を解き放ってくれた。ここサクラメントで勝ててとても嬉しい」

「それから、レンショーは路面に空いた穴が引き起こした落車に巻き込まれダメージを負ってしまった。集団の真ん中にいたら穴を認識できないし、避ける術が無くて危険だった。遅れた彼のことが心配だったけれど、痛みをこらえて戻ってきてくれたし、そこから最高のアシストを勤め上げてくれた。明日もスプリントのチャンスがあるので、積極的に狙っていきたいと思う」。



ツアー・オブ・カリフォルニア2015第1ステージ結果
1位  マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
4位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 ギヨーム・ボワヴァン(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)
6位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
7位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパックプロサイクリング)
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)
9位 クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
10位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
4h43'27"











個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
2位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパックプロサイクリング)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
4位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
5位 ロブ・ブリットン(カナダ、スマートストップ)
6位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
7位 ギヨーム・ボワヴァン(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)
8位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
9位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパックプロサイクリング)
10位 タイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)
4h43'17"
+01"
+04"
+06"

+10"






ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)

ヤングライダー賞
ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:CorVos