60名に縮小した集団の中にポイント賞ジャージを着るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)の姿は無し。ここまで精彩を欠いていたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がスプリントバトルを制しました。



CCCスプランディポルコウィチェがメイン集団をコントロールCCCスプランディポルコウィチェがメイン集団をコントロール photo:Kei Tsuji
バイクの確認に余念がないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)バイクの確認に余念がないマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji154154 photo:Kei Tsuji


フェティエの街をスタートするプロトンフェティエの街をスタートするプロトン photo:Kei Tsuji総合成績が大きく動いた山頂フィニッシュ決戦から一夜明けた4月29日、ツアー・オブ・ターキー第4ステージのスタートはいつもより遅めの12時50分に切られた。

逃げグループを率いる山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)逃げグループを率いる山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji大会最短の132kmコースは平坦基調ながら3級山岳といくつかの小さな登りが設定されている。残り10km地点で標高250mほどの丘を越えて、観光地マルマリスの街に向かって100km/h前後の高速ダウンヒルをこなすお決まりのレイアウトだ。

海岸線を西に向かう海岸線を西に向かう photo:Kei Tsuji「今日も逃げを試みます」とスタート前に語っていた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)が序盤から逃げた。5名で逃げグループを形成し、CCCスプランディポルコウィチェ率いるメイン集団を引き離し始める。

山本を含む5名逃げとメイン集団のタイム差は順調に3分まで広がったが、32km地点の3級山岳で状況が変わる。フィニッシュまで100kmを残したタイミングでMTNキュベカが集団ペースアップを開始し、カヴェンディッシュを含む約半数の選手が次々に脱落。このペースアップしたメイン集団に山本らは吸収されてしまう。

チームメイトの手厚いサポートを受けたカヴェンディッシュは集団復帰を果たしたものの、依然として多くの選手が後方に取り残された状態でレースは中盤に。集団先頭では再びアタックが掛かり、ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、トルク・セケルスポール)を含む6名の逃げが形成された。

新たに形成された逃げの中には2013年大会覇者のナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)の姿も。NIPPOヴィーニファンティーニは山本に続いてマッティア・ポッツォ(イタリア)を逃げに送り込むことに成功。2014年にビューティーズオブターキースプリント賞を獲得しているポッツォは中間スプリントでポイントを稼いだ。



下りをこなす山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)下りをこなす山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji
メイン集団を牽引するCCCスプランディポルコウィチェメイン集団を牽引するCCCスプランディポルコウィチェ photo:Kei Tsujiシールドライヤースを追走するフロリアン・ギロー(フランス、ブルターニュ・セシェ)シールドライヤースを追走するフロリアン・ギロー(フランス、ブルターニュ・セシェ) photo:Kei Tsuji
緩やかなアップダウンでメイン集団は分裂緩やかなアップダウンでメイン集団は分裂 photo:Kei Tsuji沿道にはオレンジ屋さんが沢山沿道にはオレンジ屋さんが沢山 photo:Kei Tsuji
トルコ国旗と立派な歩道橋とプロトントルコ国旗と立派な歩道橋とプロトン photo:Kei Tsuji


CCCスプランディポルコウィチェ率いる集団が進むCCCスプランディポルコウィチェ率いる集団が進む photo:Kei Tsuji集団先頭ではオレンジ色のCCCスプランディポルコウィチェと赤色のロット・ソウダルがローテーションを回し、残り30kmを切ったところでエティックス・クイックステップも合流。フィニッシュ地点マルマリスでのカヴェンディッシュの2年連続優勝に向けてモチベーションを示す。

いくつものモスクを横目に逃げ続ける6名いくつものモスクを横目に逃げ続ける6名 photo:Kei Tsujiスプリンターチームの強力な牽引によって残り12km地点で逃げが吸収されると、短い登りで新たなアタックが生まれる。総合4位ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)や総合5位セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ)、スプリント賞ジャージのルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)らが勢い良く飛び出し、残り10kmの丘を越えて高速ダウンヒルに突入。一方でカヴェンディッシュは登りで集団から脱落してしまう。

メイン集団を率いて逃げを追うボリス・ファレー(ベルギー、ロット・ソウダル)メイン集団を率いて逃げを追うボリス・ファレー(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji残り5kmからの平坦路に差し掛かってもなおマッカーシーとマスボネが逃げ続け、ロット・ソウダル率いる約60名の集団が追いかける。先頭2名は惜しくも集団を振り切れず、残り1kmアーチを通過してすぐに捕らえられた。

先頭でスプリントするアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)先頭でスプリントするアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsujiオリカ・グリーンエッジとサウスイーストがトレインを組んで先頭に上がり、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)がマヌエル・ベレッティ(イタリア)を発射。しかし別ラインから加速した重量級グライペルが、軽量系スプリンターたちを駆逐した。

歴代最高のステージ通算10勝目。第1ステージと第2ステージでスプリントに絡めていなかった「ゴリラ」ことグライペルが檜舞台に帰ってきた。

「残り2kmまでトーマス・デヘントが強力に引いて、そこからアダム・ハンセンが逃げを捉えるために先頭に立ち、最後はジャスパー・デブイストがスプリントをセットアップした。トラック出身のデブイストは勝負勘のある21歳。彼の未来は明るいと思う。これからも彼と共にスプリントを組み立てたい。今日は長めのスプリントになったけど問題はなかった」とグライペル。

グライペルは前日の1級山岳フィニッシュを45位で終えており、相変わらずスプリンターの中では抜群の登坂力を誇っている。「最初の2ステージは誰もがフレッシュで、誰もがスプリントに絡める展開だった。でも個人的には今日のような登りが含まれたコースが好きであり、チームの戦略通りに勝利を掴むことが出来たよ」。

ステージ2位と3位にはイタリアの2人のダニエーレ(コッリとラット)が入り、22歳のマグナス・コルトニールセン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が4位に。危なげなく集団内でフィニッシュしたダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)がリーダージャージを守っている。



縮小した集団によるスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)縮小した集団によるスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
グライペルを讃えるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)グライペルを讃えるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji第4ステージ 2位コッリ、1位グライペル、3位ラット第4ステージ 2位コッリ、1位グライペル、3位ラット photo:Kei Tsuji


ツアー・オブ・ターキー2015第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)            3h22’08”
2位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
3位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
4位 マグナス・コルトニールセン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
6位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 カルロス・バルベロ(スペイン、カハルーラル)
8位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
10位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
83位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)              +1’34”
152位 黒枝士揮(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)             +7’03”

個人総合成績
1位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)    15h35’49”
2位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)          +07”
3位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ)        +50”
4位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)         +1’20”
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ)               +1”23”
6位 エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)            +1’29”
7位 ダニエーレ・ラット(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)           +1’42”
8位 アレックス・カノアルディラ(コロンビア、コロンビア)            +1’46”
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)            +1’57”
10位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)       +2’04”

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)

山岳賞
フアンパブロ・バレンシア(コロンビア、コロンビア)

ビューティーズオブターキースプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)

チーム総合成績
CCCスプランディポルコウィチェ

text&photo:Kei Tsuji in Marmaris, Turkey