NJS認定の競輪用ペダルを筆頭にMade in Japanならではの高品質なプロダクトを展開するMKS(三ヶ島製作所)。クリートの保持機構を2つに分割し、着脱に要する力を従来の半分としたロード用ビンディングペダル「US-L」をインプレッションした。



MKS US-LMKS US-L photo:Yuya.Yamamoto
クリートの保持機構を2つに分割とし、着脱に要する力を50%低減したクリートの保持機構を2つに分割とし、着脱に要する力を50%低減した クリートの保持力はペダル側面より3段階で調整可能だクリートの保持力はペダル側面より3段階で調整可能だ 付属するMKSオリジナルのクリートはグリップ付き。また一部のルックKeOクリートとも互換性を持つ付属するMKSオリジナルのクリートはグリップ付き。また一部のルックKeOクリートとも互換性を持つ いよいよ本格的な自転車シーズンが到来し、読者の皆さんの中にも本格的なロードバイクライフをスタートさせたと言う方もいるだろう。

そんなビギナーが徐々に自転車に慣れてきて、真っ先に交換したいと考えるパーツの1つにビンディングペダルがある。MTB用と比較するとロード用ペダルは駆動効率に優れるために疲れにくいはずなのだが、脱着動作に大きな力を要するため、ビギナーにとっては結果的に心身ともに疲労が大きくなってしまうことが多い。これは女性ライダーやキッズにも言い得ることでもある。

そんなビギナーや女性にとってのロード用ペダルの悩み解消したのが、埼玉県を拠点とするMKSこと三ヶ島製作所がリリースする「US-L」だ。その特徴はシューズとペダルを接続するクリートの保持機構(ビンディング部)を2つに分割し、脱着時に要する力を約50%低減したことにある。

ただバネの硬さを弱めただけでビギナー向けモデルとしているペダルもあるが、それらは大きな力でペダリングすると外れてしまうことがあるが、「US-L」は独自構造によって一般的なロード用ペダルと同等の保持力を確保しているという。なお、保持力は3段階で調整可能だ。

本体はガラス強化ナイロン樹脂製。踏み面の大きなワイドデザインによってペダリング時の安定性を高めている。また、中央部には金属プレートを配することで、クリートとの擦れによる樹脂部へのダメージを低減した。

そしてNJS認定のケイリン用をはじめとしたMKSペダルの回転性能の良さはUS-Lにも共通しており、両側に高精なシールドベアリングを3個ずつ組み込んでいる。

クリートはグリップ付のMKSオリジナルが付属。また、入手性の高いルックKeOのブラック(0°)とグレー(4.5°)と互換性があるため、レースやイベントの前などでいざ交換が必要になった際にも安心だ。なお、レッド(9°)及びKeOのグリップ付クリートとの互換性はないため、交換時にはしっかりと確認しよう。

また、6,400円というお求めやすい価格も「US-L」の魅力の1つ。それでいて重量は左右セットで292.6g(実測)と充分な軽さに抑えられている。カラーはどんなバイクにも合わせやすいブラックの1色展開だ。それでは、国産製品らしい造りの良さが光るアイデアペダルのインプレッションに移ろう。



ーインプレッション

今回はクリートの脱着が多い通勤をメインにテストを行った。セッティングについては他のロード用ペダルと何らかわりはなく、ビギナーでも簡単に作業することができるだろう。フラットペダルからの交換の場合にはサドル高の調整が必要になる場合がある。

確実に着脱時に要する力は他ペダルよりも少ない。一方で、クリートの保持力は同等だ確実に着脱時に要する力は他ペダルよりも少ない。一方で、クリートの保持力は同等だ photo:So.Isobe
なお、筆者の場合はルックKeO Spritからの交換であったが、特にサドル高さやクリートの位置の調整は必要なかった。なお、MKSの担当者によるとスタックハイト(回転軸の中心からペダルボディ上面までの距離)やQファクター(ペダルの横方向の突き出し量)はルックKeOと大差ない寸法になっているとのことだ。

2分割されたクリートの保持機構の動作2分割されたクリートの保持機構の動作 MKSに通づる優れた回転性能。初心者がロングライドを行った際には大きな疲労低減効果があるだろうMKSに通づる優れた回転性能。初心者がロングライドを行った際には大きな疲労低減効果があるだろう そして実際に使用してみると確実に着脱時に必要な力は大幅に減っている。試しにシューズを脱いで手で着脱してみたところ、他社のペダルであれば先ず装着することすら困難だが、US-Lの場合には着脱のどちらも非常に容易であった。また、ペダルからシューズを外す際に踵をひねる角度は他社のペダルとほぼ同等であった。

初心者向けということでバネレートは若干弱めに設定されている様で、今回のテストではルックKeOのブラック(0°)つまり踵が固定されるタイプのクリートと組み合わせて使用したが、やや踵が動いてしまう。それでも、ダンシングしながらもがいて、意図的に踵を左右に振ってみてもシューズが不意に外れてしまう気配はない。

仮に不安な場合にはバネレートを調節して高めに設定してあげれば良いだろう。US-Lの最大バネレートは他社の標準モデルの最小とほぼ同等かそれよりも少し高いぐらい。ハイクラスのレースに参戦するというわけでなく、踵が振れてしまうことに不満を感じなければ、徐々に大きな力で踏める様になっても不満は感じにくいだろう。

そして、MKSのプロダクトに共通する回転性能はUS-Lでも体感することができた、特にペダリング中において、上下の死点での違いは顕著であり、初心者がロングライドを行った際には大きな疲労低減効果があるだろう。使い始めはつま先でペダルの先端を強く蹴りすぎて回転させてしまい、一発でクリートをシューズにはめられないこともあったが、慣れてくれば意識せずともクリートをはめる事ができるようになった。

その他、クリートや本体の耐久性はほぼ標準的といえるだろう。付属のオリジナルクリートはしっかりとグリップが効いていてためコンビニなどでも滑りにくいものの、ややルックKeOのブラック(0°)と比べるとペダルから外す際に踵を大きくひねらなくてはならないため、公道で走行する前には必ず着脱の練習をする必要があるだろう。

初のロード用ビンディングペダルで、かつ独自機構を組み込みながらも、総じてUS-Lの完成度は非常に高いといえる。ロード用ビンディングペダルの扱いづらいさに導入をこまねいているビギナーや女性ライダーは是非1度使ってみてもらいたい。また、MKSにはチタンシャフトであったりアルミ製ボディを採用し、バネレートを強めて競技者にも対応した上位モデルのリリースを期待したいところだ。



MKS US-L
本 体:ガラス強化ナイロン樹脂ボディ
回転部:トリプル・シールドベアリング
重 量:292.6g(左右ペア実測)
カラー:ブラック
付属品:グリップ付オリジナルクリートセット、クリート取付用3mmアーレンキー、ペダルワッシャー
互換性:ルックKeOクリート(0°ブラックと4.5°グレーのみ。9°レッド及びグリップクリートは非対応)
価 格:6,400円(税抜)

impression:Yuya.Yamamoto

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