「北の地獄」の異名をとるクラシックレースの女王ことパリ~ルーベを走った25チームのバイクを5回に分けて紹介します。第1弾はBMCレーシング、IAMサイクリング、キャノンデール・ガーミン、ボーラ・アルゴン18、ワンティ・グループグベルトをピックアップします。



BMCレーシング 【BMC Granfondo RBX】

グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)のBMC Granfondo RBXグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)のBMC Granfondo RBX photo:Makoto.AYANO
グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)が3位を獲得しBMCレーシングはパリ~ルーベで真っ赤な新型バイクを投入。その名は「Granfondo RBX」。昨年まで同大会で使用していたエンデュランスモデル「GF01」をベースにタイヤクリアランスを拡大した1台だ。なお、タイヤ幅は最大30mmに対応。その他素材とそのレイアップ、ジオメトリーに変更は加えられていないとのこと。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2。シマノの上位グレードブレーキに採用されるカム機構を取り入れたロングアーチ仕様の新型ブレーキキャリパーや、北のクラシックではお馴染みのインラインブレーキを組み合わせている。ホイールは50mmハイトのシマノWH-9000-C50-TU。ロゴが一切ないタイヤは明らかにスポンサー外ブランドのトラディショナルなモデルで、本来スポンサーであるコンチネンタルは北のクラシックでも厚い信頼を集めてるだけに、異例のチョイスといえるだろう。

ゼッケンプレートの台座はシートポストに直付されているゼッケンプレートの台座はシートポストに直付されている photo:Makoto.AYANOリアブレーキにのみインラインブレーキを使用するリアブレーキにのみインラインブレーキを使用する photo:Makoto.AYANO

もともとホールド力に優れるエリートCIUSSI GELに滑り止め素材を追加し万全を期すもともとホールド力に優れるエリートCIUSSI GELに滑り止め素材を追加し万全を期す photo:Makoto.AYANOカム機構を取入れ高い制動力を実現したシマノの新型ロングアーチブレーキキャリパーカム機構を取入れ高い制動力を実現したシマノの新型ロングアーチブレーキキャリパー photo:Makoto.AYANO


ハンドル及びステムは3T。バーテープも3Tで、2重巻きやゲルパッドの使用など振動吸収性を高めるためのアッセンブリーは行われていない。フレーム専用のBMC製シートポストにはゼッケンプレート台座を両面テープで直付けされている。ボトルケージはホールド力の高さで石畳レースでは高い装着率を誇るエリートCIUSSI GELで、万全を期すために紙やすりの様な滑り止め材が追加されていた。



IAMレーシング 【スコット ADDICT CX、ADDICT、FOIL】

シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMレーシング)のスコット ADDICT CXシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMレーシング)のスコット ADDICT CX photo:Makoto.AYANO
カンチブレーキとワイドなタイヤクリアランスはCXバイクならではの仕様だカンチブレーキとワイドなタイヤクリアランスはCXバイクならではの仕様だ photo:Makoto.AYANOドットが敷き詰められた独自のトレッドパターンを採用するシュワルベの新型チューブレスタイヤG-ONEドットが敷き詰められた独自のトレッドパターンを採用するシュワルベの新型チューブレスタイヤG-ONE photo:Makoto.AYANO


IAMレーシングは他チームと異なる独特のバイクやパーツをパリ~ルーベに投入。先ずバイクは北のクラシックで使用率が高い軽量オールラウンドモデル「ADDICT」とロングセラーのエアロロード「FOIL」に加え、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)が現行ラインアップにはないカンチブレーキ仕様の「ADDICT」を使用。タイヤクリアランスが大きいことから恐らくシクロクロスバイクと考えられ、フレーム形状は現行のロードモデルを踏襲している。また、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア)はナショナルチャンピオンカラーのADDICTに乗る。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2。ホイールはDTスイスで、ロンドに引き続きヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー)のバイクにはRC38Tのカーボンリムをベンドスポークで組み直した特別仕様を使用。

そしてシャヴァネルやマティアス・ブランドル(オーストリア)らは同じくベンドスポークでくまれたロゴ無しのプロトタイプが装着されており、トップレースシーンでは久方ぶりとなるチューブレスタイヤと組み合わせて使用していた。実は昨年のパリ~ルーベでもチューブレスは用意されていたものの実際には使用されなかったが、今年はレースを走っており、他チームのライダーからも注目を集めていたそう。

ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMレーシング)のスコット ADDICTハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMレーシング)のスコット ADDICT photo:Makoto.AYANO
ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMレーシング)のスコット ADDICTヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMレーシング)のスコット ADDICT photo:Makoto.AYANO完組みホイールのカーボンリムをベンドスポークで組み直した特別仕様のホイールを使用する完組みホイールのカーボンリムをベンドスポークで組み直した特別仕様のホイールを使用する photo:Makoto.AYANO


なお、シュワルベ製タイヤもプロトタイプで、モデル名は「G-ONE」。同じくプロトタイプとしてテストされている青いサイドウォールのONEと同じく、ヤスリ目と呼ぶにはいささか大きいドットに覆われたトレッドパターンを採用している。なお、太さは30mmとのこと。

ハンドル、ステム、シートポストはリッチーで統一。サドルはプロロゴで、表皮に滑り止め材を配したCPCモデルが多く選択されている印象だ。ボトルケージはエリートCIUSSI GELで統一されていた。



キャノンデール・ガーミン 【キャノンデール Synapse Carbon Hi-Mod】

ディラン・ファンバールレ(オランダ、ガーミン・キャノンデール)のキャノンデール Synapse Carbon Hi-Modディラン・ファンバールレ(オランダ、ガーミン・キャノンデール)のキャノンデール Synapse Carbon Hi-Mod photo:Makoto.AYANO
キャノンデール・ガーミンのバイクは前週のロンドと同じくキャノンデールのエンデュランスモデル「Synapse Carbon Hi-Mod」ながら、パーツアッセンブルの変更でパリ~ルーベの石畳に対応してきた。ホイールは従来よりルーベにのみ投入されてきたプロ供給専用モデルのマヴィックM40に換装されている。リムプロファイルは普段使用するCC40Tとほぼ共通だが、細部が異なるのだろう。

同じくタイヤも変更されており、パリ~ルーべでは定番のFMB Paris Roubaixの30mmを使用。これにあわせて、ブレーキはロングアーチモデルに。ボトルケージはステンレス製のアランデール「Stainless」へと変更されている。

新型が登場してもなお愛用者の多いフィジークの旧型ALIANTE新型が登場してもなお愛用者の多いフィジークの旧型ALIANTE photo:Makoto.AYANOセバスティアン・ラングフェルド(オランダガーミン・キャノンデール)はナショナルチャンピオンカラーを駆るセバスティアン・ラングフェルド(オランダガーミン・キャノンデール)はナショナルチャンピオンカラーを駆る photo:Makoto.AYANO

タイヤはFMB Paris Roubaix。今回パリ~ルーベを走ったバイクの中でも最も太い30mm幅を選択しているタイヤはFMB Paris Roubaix。今回パリ~ルーベを走ったバイクの中でも最も太い30mm幅を選択している photo:Makoto.AYANOボトルケージはステンレス製のアランデールStainlessボトルケージはステンレス製のアランデールStainless photo:Makoto.AYANO


その他、コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACEがメインで、クランクにはキャノンデール純正のホログラムSiSL2を組み合わせている。ハンドル、ステム、シートポストは差し色がチームカラーのグリーンのFSAで統一。サドルおよびバーテープはフィジークだ。



ボーラ・アルゴン18 【アルゴン18 GALLIUM Classic Edition】

シェーン・アークボルド(ニュージーランド、ボーラ・アルゴン18) のアルゴン18 GALLIUM Classic Editionシェーン・アークボルド(ニュージーランド、ボーラ・アルゴン18) のアルゴン18 GALLIUM Classic Edition photo:Makoto.AYANO
カナディアンブランドのアルゴン18はオールラウンドモデルの「GALLIUM」をベースとした北のクラシック用スペシャルモデルを投入。主な変更点はチェーンステーの形状変更とフロントフォークのカーボン積層の見直しによって振動吸収性を向上させたことにある。

加えてタイヤクリアランスを拡大させ、これに伴いブレーキはロングアーチタイプのTPR RG957としている。タイヤは北のクラシックでは定番のヴィットリアPave CGの28mmで、アルゴン18の発表によれば空気圧は5.5~6.0Barほどとのこと。その他アッセンブリーは、チームの標準仕様に準じている。

バーテープはプロロゴ。2重巻きやゲルパッドの使用など振動吸収性を高めるアッセンブルは行われていないバーテープはプロロゴ。2重巻きやゲルパッドの使用など振動吸収性を高めるアッセンブルは行われていない photo:Makoto.AYANOパヴェの位置を記したメモパヴェの位置を記したメモ photo:Makoto.AYANO

ペダルはスピードプレイZero PaveペダルはスピードプレイZero Pave photo:Makoto.AYANOラインアップにはないトレッドパターンのヴィットリア製プロトタイプタイヤを装着したバイクラインアップにはないトレッドパターンのヴィットリア製プロトタイプタイヤを装着したバイク photo:Makoto.AYANO


メインコンポーネントはシマノDURA-ACEで、クランク式パワーメーターPower2maxのFSA K-Force Lightモデルを組み合わせている。ホイールは全ライダーがヴィジョンMetron40で統一。ハンドル、ステム、シートポストはFSAで、サドル及びバーテープはプロロゴ。ペダルはスピードプレイのスペシャルモデル「Zero Pave」だ。



ワンティ・グループグベルト 【キューブ C68、アルミ製ワンオフバイク】

トム・ドゥヴリント(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)のキューブ C68トム・ドゥヴリント(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)のキューブ C68 photo:Makoto.AYANO
ワンティ・グループグベルトはキューブの軽量オールラウンドモデル「C68」をパリ~ルーベでもメインに使用。そして、ビョルン・ルークマンス(ベルギー)は上下1-1/8インチのヘッドチューブや外出しのシフトワイヤーなど古典的な造りが話題を呼んでいるアルミ製ワンオフバイクを駆った。

基本的にはロンドと同じパーツアッセンブルながら、石畳対策としてルークマンスやヤメス・ファンランドスホート(ベルギー)らはスポンサー外のFMB製ハンドメイドチューブラータイヤをチョイス。また北のクラシックでは定番装備であるインラインブレーキレバーが装着されたバイクも見られた。

ビョルン・ルークマンス(ベルギー)らは北のクラシックでは定番装備のインラインブレーキを使用ビョルン・ルークマンス(ベルギー)らは北のクラシックでは定番装備のインラインブレーキを使用 photo:Makoto.AYANOタイヤはオランダのブレデスタインからサポート受けるタイヤはオランダのブレデスタインからサポート受ける photo:Makoto.AYANO

ボトルケージ及びボトルはタックス製だボトルケージ及びボトルはタックス製だ photo:Makoto.AYANOビョルン・ルークマンス(ベルギー)のキューブ アルミ製ワンオフバイクビョルン・ルークマンス(ベルギー)のキューブ アルミ製ワンオフバイク photo:Makoto.AYANO


コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACE。ホイールはフルクラムで、ミッドプロファイルのRacing Speed XLR 35が使用率が高かった。ハンドル、ステム、シートポストはFSAで統一。サドルはサンマルコでライダーの好みによって各モデルを使い分けている。その他、ペダルはルックKeO Blade、サイクルコンピューターはBBB、ボトルケージはタックスのスタンダードモデルDevaだ。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto