6つのカテゴリー山岳を越えてフィニッシュにやってきたのは100名の大集団。ブエルタ・アル・パイスバスコは2日連続でスプリント勝負に持ち込まれ、ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)がリーダージャージを下した。



青空のバスク地方を南下するミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)青空のバスク地方を南下するミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele


ブエルタ・アル・パイスバスコ2015第2ステージブエルタ・アル・パイスバスコ2015第2ステージ image:vueltapaisvasco.diariovasco.comバスク州最大の都市ビルバオから、バスク州の州都ビトリア・ガステイスまでの175.4kmを走るブエルタ・アル・パイスバスコ第2ステージ。前半に1級山岳オルドゥーニャを越え、そこから断続的に3級山岳が5つ登場する。中級山岳ステージに分類されるが、ブエルタ・アル・パイスバスコの中では最もイージーな1日。山岳の難易度の低さから多くのスプリンターが勝負に残った。

オリカ・グリーンエッジやモビスターが牽引するメイン集団オリカ・グリーンエッジやモビスターが牽引するメイン集団 photo:Tim de Waeleこの日、スタート前に選手たちが抗議を行ったためレース開始が遅れた。抗議の対象は前日のフィニッシュ地点のレイアウトについて。沿道に設置されたポールに選手が接触し、4名がハイスピードで落車。ピーター・ステティーナ(アメリカ、BMCレーシング)が膝蓋骨と肋骨の骨折という重傷を負ったためだ。

山岳地帯を走るプロトン山岳地帯を走るプロトン photo:Tim de Waele予定より遅れてレースが動き出すと即座にアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)ら5名が逃げグループを形成し、オリカ・グリーンエッジとモビスター率いるメイン集団を引き離す。チュルカは連続するカテゴリー山岳でポイントを量産し、チームメイトから山岳賞ジャージを引き継ぐことに成功している。

スプリントで競り合うファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)スプリントで競り合うファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele最後の3級山岳ザルディアランで逃げが吸収されるとカチューシャが集団を牽引し、カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームスカイ)らのアタックを封じ込める。下りをかっ飛ばしたトムイェルテ・スラグテル(オランダ、キャノンデール・ガーミン)が独走に持ち込んだものの、オリカ・グリーンエッジが牽引する集団を振りきれずに残り2.5kmで吸収。約100名の集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。

スプリント勝利を飾ったファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)スプリント勝利を飾ったファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waeleリーダージャージのマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)をスムーズなリードアウトでオリカ・グリーンエッジがフィニッシュに導いたが、残り1.5kmでエティックス・クイックステップが競り合って先頭へ。しかしベルギーチームのトレインは機能せず、最終ストレートでダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)のリードアウトが始まった。

インピーの後ろから真っ先にスプリントを開始したのは、リーダージャージを着るチームメイトのマシューズではなく、25歳のイタリアンスプリンターだった。中央ラインを突き進んだフェリーネが追いすがるマシューズやトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)を振り切って勝利。クリテリウム・アンテルナシオナルの個人タイムトライアルを制したフェリーネが今シーズン2勝目、自身初のUCIワールドツアーレース勝利を飾った。

「正直に打ち明けると今日は調子が悪かった。でもチームメイトに『ファビオ、今日は君がリーダーだ。良いスプリントをするんだ。トライしてみるんだ』と言われて気を持ち直し、最後に勝った。僕を信頼し続けてくれたチームメイトに感謝している。今日はマシューズを待つことなく、逆に自分からスプリントを仕掛けた」と、マシューズの連勝を阻止したフェリーネは語る。

トレックファクトリーレーシングのアドリアーノ・バフィ監督は「ファビオの勝利はチームに士気をもたらしてくれる。ここ最近のバッドラック、つまりファビアン(カンチェラーラ)とジェシー(サージェント)の落車から救ってくれるような勝利。良いタイミングで良い勝利がやってきた」と喜んだ。

マシューズは敗れながらも着順によってリーダージャージをキープ。ボーナスタイムが設定されていないため、第2ステージを終えて総合1位から60位までが同タイムだ。

選手コメントはチーム公式サイトより。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2015第2ステージ結果
1位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)    4h32’32”
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 
3位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
5位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
6位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
7位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
8位 ペーリョ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
9位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)
10位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)

個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)     8h29’39”
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
3位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
5位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
6位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
7位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、アスタナ)
8位 ペーリョ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
10位 ペトル・ヴァコツ(チェコ、エティックス・クイックステップ)

ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)

スプリント賞
ルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)

チーム総合成績
エティックス・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele