ロシア籍のUCIプロチーム、ティンコフ・サクソを運営するティンコフスポーツA/Sが3月29日、ビャルヌ・リース監督との契約を終了する相互合意に達したと発表した。チームを指揮する名将が解雇となった。



チームオーナーのオレグ・ティンコフ氏とビャルヌ・リース監督(右)チームオーナーのオレグ・ティンコフ氏とビャルヌ・リース監督(右) (c)CorVosチームリリースによると、ティンコフスポーツA/Sとリース氏はお互いにすべての契約を終了することに合意したと発表。しかしその理由については秘密とされ、公表されていない。チームは来週早くに新体制を発表するとしている。

先週末日曜のミラノ〜サンレモからチーム監督としての活動を休止していたリース氏。チーム側はリース氏がもはやチームの活動に積極的に関わっていない停職状態にあることを明かしていた。その理由については「成績不振や金銭面の問題ではない」と発表。「チームの経営陣は、技術面とパフォーマンスにおいて極めて自信があり、選手やスタッフは今季のレースに臨むうえで最善の方法を探っている」としていた。

チームの選手たちはチームオーナーであるロシアの億万長者、オレグ・ティンコフ氏が、最近のチーム成績不振の責任をリース氏に押しつけているなどとしていた。チームは今季、アルベルト・コンタドールのブエルタ・アンダルシアでのステージ勝利とペーター・サガンのティレーノ・アドリアティコでのステージ勝利のわずか2勝を挙げるにとどまっている。

ビャルヌ・リース監督(左)とチームオーナーのオレグ・ティンコフ氏ビャルヌ・リース監督(左)とチームオーナーのオレグ・ティンコフ氏 (c)CorVosリースを頼って現チームに移籍した経緯を持つコンタドールは「詳細については何も知らない。今一番大事なのは、正しく状況を理解すること。僕らが知っているのは、声明に書かれていることだけで、どのようにこの決定がなされたのか、知る必要がある」「リース氏は自分のキャリアの中で大切な人」とコメントを出していた。コンタドールはこの問題が起こる数日前に、チームに2016年まで留まる契約にサインしている。

現チームはリース氏が1999年に現役を引退して以降、チーム運営者として築いたものが基礎にあるが、リース氏は2013年末にティンコフ氏に当時所有していたチームを売却。自身は監督として残留していた。ティンコフ氏は2013年にコンタドールがツール・ド・フランスで不振に終わったときもリース氏との決別を一度は発表。しかしその後のサブスポンサー探しやチーム結成の交渉が難航したことで結局は元の鞘に納まっていた。

text:Makoto.AYANO
photo:CorVos

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