3月22日、トップライダーからビギナーまで楽しめることをコンセプトとしたマウンテンバイクのXCレース、CSC Classicの第2回大会が日本サイクルスポーツセンターのMTBコースで開催された。



昨2014年に始まった「CSC Classic」。今年もほぼ同時期に第2回大会が開催された。国内のマウンテンバイクのトップレースシリーズであるCJシリーズの開幕を前に、貴重な存在の本格的XCレースだ。

CSCサーキットのホームストレートとメインスタンドを見上げる広場が会場だCSCサーキットのホームストレートとメインスタンドを見上げる広場が会場だ photo:Makoto.AYANO
チャレンジクラスのスタート チャレンジクラスのスタート  photo:Makoto.AYANO林間をつづら折れでダイナミックに下る難コースだ林間をつづら折れでダイナミックに下る難コースだ photo:Makoto.AYANO


CSC Classicは、JCF競技規則に準じたクロスカントリー競技と、誰でも気軽に参加できる2.5時間耐久レースの2部構成で行われる。午前中には競技志向の、XCレース入門者向けの「チャレンジ」、そしてマスターとエリート女子、エリート男子が開催される。そして午後はチームやソロで楽しめる2.5時間耐久レースが開催。耐久にはシングルスピードで参加の部も用意され、午前の部と併せてダブルエントリーして仲間たちと一緒に、あるいはソロで、フルに競い・楽しむことができるイベントだ。

ホームストレートへの登り。普段は常設MTBコースになっているホームストレートへの登り。普段は常設MTBコースになっている photo:Makoto.AYANO登り勾配も厳しく、かつテクニカルだ登り勾配も厳しく、かつテクニカルだ photo:Makoto.AYANO


「選手がつくる選手のための公式戦の前哨戦」といった例え文句があるとおり、主宰発起人の橋本賢毅さん自身もエリートクラスの選手。そしてスタッフとして多くの選手たちが協力していることで運営される手作り大会だ。シンプルな運営ながら「この時期に気軽に出られるXCレースが欲しい。だから自分たちの手で」といった心意気を感じられる。

コースは日本サイクルスポーツセンターのMTB常設コースをつないで設定される。ロードレースが開催されることでお馴染みの舗装路のサーキットコースの内側の、自然の地形を活かした、かなり本格的なアップダウンに富んだクロスカントリーコースとなる。耐久とチャレンジなど初心者向けには少し易しく、エリートとマスターズは地形の変化をフルに活かしたハードコースだ。

バームを利用してダイナミックに下るスピードコースだバームを利用してダイナミックに下るスピードコースだ photo:Makoto.AYANO5kmサーキットの脇にコースが設定される5kmサーキットの脇にコースが設定される photo:Makoto.AYANO


スタートはサーキットのメインストレートから見下ろせる広場に設定。エリート&マスターズのコースはスタートを切ったらホームストレート下のスロープを上り詰め、舗装路のコースの脇からBMXスキルパークに。バームやウォッシュボードをこなしたあと、サーキットコースの脇から山の斜面を一気に下るテクニカルなダウンヒル。メインストレートと秀峰亭の間にある林間の急斜面を利用したコースはMTBの性能をフルに使って走破する、楽しくて難しいスピードコースだ。昨年開催された全日本選手権のコースから一部短縮しているだけでほぼ同じコースだ。

マスターズは竹田佳行(KEI's Power)がスタートからゴールまで先頭を譲らなかったマスターズは竹田佳行(KEI's Power)がスタートからゴールまで先頭を譲らなかった photo:Makoto.AYANOチャレンジ男子は岩波 信二(CROSS信州)が優勝チャレンジ男子は岩波 信二(CROSS信州)が優勝 photo:Makoto.AYANO


マスターズは最近関東でも盛り上がっているシクロクロスシーンでもお馴染みの30歳以上のJCF登録者によるベテランレーサーが勢揃い。スタートから先頭に立ち、小田島貴弘(club SY-Nak)の追撃を許さずゴールまでそのまま逃げ切ったのはじてんしゃ屋佳の店長、竹田佳行(KEI's Power)。エリート女子は5人の出走で、広瀬由紀(PAX Project)が同時スタートのマスターズ男子勢を蹴散らして後続を大きく引き離したが、途中でスタッフ業務に戻ったため橋口陽子(轍屋)が優勝となった。

エリート男子 ミヤタ・メリダの小野寺 健が幸先のいい勝利

エリート男子がスタートしていく。1時間弱のスピードレースだエリート男子がスタートしていく。1時間弱のスピードレースだ photo:Makoto.AYANO
エリート男子は39人の出走。ざっと見てメンバーは豪華。ミヤタ・メリダバイキングチームの小野寺 健と松尾純、松本駿(Team SCOTT)、小笠原 崇裕(THE BIKE JOURNAL)、池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)、沢田 時(ブリヂストンアンカー)、山中 真(MilePost BMC Racing)、前田公平(BiORACER)ら有力選手勢が集った。

小野寺 健(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)がリードして2周めへ。徐々にペースを上げる小野寺 健(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)がリードして2周めへ。徐々にペースを上げる photo:Makoto.AYANO積極的にジャンプする前田公平(BiORACER)のテクニックが光る積極的にジャンプする前田公平(BiORACER)のテクニックが光る photo:Makoto.AYANO


スタートと同時にリードしたのは小野寺と松尾のミヤタ・メリダコンビ。2周めまではこれに前田公平が絡み、3人が後続を離す。しかし松尾がミスした隙に前田が2位に。昼を迎えて気温はぐんぐん上昇し、初夏のような陽気に。トップをいく安定した走りの小野寺。ミスもなく順調にリードを広げ、そのままトップでゴールした。2位はジャンプセクションで華麗なジャンプとウイリーフィニッシュを見せた前田公平。3位に沢田時。4位には池田祐樹が入った。

沢田 時(ブリヂストンアンカー)が下りをこなす沢田 時(ブリヂストンアンカー)が下りをこなす photo:Makoto.AYANO池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)が松尾純(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)をパスして4位に浮上池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)が松尾純(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)をパスして4位に浮上 photo:Makoto.AYANO

小野寺 健(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)が後続を大きく離して優勝小野寺 健(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)が後続を大きく離して優勝 photo:Makoto.AYANO数日前からここ修善寺でチーム合宿をしていたという小野寺。実は最近のところポジション出しに悩んでいたが、昨日シェイクダウンした29インチフルサスバイクがその悩みを解消し、このレースに投入することを決めたという。

小野寺「このバイクはBBハイトが高くてハンドルとの落差を付けやすいんですが、それが昨日乗ってバシッと決まったのでいきなりですが乗ることを決めました。お陰でレース中のつらい場面でも耐えることができました。実は風邪気味で喉の調子も悪くて本調子じゃなかったんです。気温も上がって暑くてキツかったですね。でも幸先の良いスタートが切れました。ポジションの悩みが解消できて、ここ2、3年でもいい乗り込みのできたオフだったので、今シーズンは期待出来ます!」。



2.5時間耐久の部

スタートしていく2.5時間エンデューロの選手たちスタートしていく2.5時間エンデューロの選手たち photo:Makoto.AYANO
午後は2.5時間耐久の部が開催。こちらは基本チーム種目ということで、仲間たちで一緒に楽しむクラスだ。コースもチャレンジで使用された難易度を落としたコースとなり、楽しみながら走る。午前の部に出た選手もこちらにダブルで出場する率がけっこう高い。そしてシングルスピード(SS)には16人がエントリー。SSはなぜかソロのみという仕打ちだ(笑)。

シングルスピードクラスは2.5時間ソロに限定。16人が参加シングルスピードクラスは2.5時間ソロに限定。16人が参加 photo:Makoto.AYANOエンデューロソロ・SSクラスともに総合優勝した池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)エンデューロソロ・SSクラスともに総合優勝した池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA) photo:Makoto.AYANO


そしてソロの部はエリート男子で4位に入った池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)がシングルスピードで走り、ソロとSS、チームを含むすべての参加チームを抑えて総合優勝した。池田は4月12〜19日に南米パタゴニアで行われるアルパック・アタック参戦を控えて調子を上げていることが証明された。そちらも期待できそうだ。

CSCclassic主催者・橋本賢毅さんCSCclassic主催者・橋本賢毅さん photo:Makoto.AYANO主催者・橋本賢毅さんのコメント
「CSC Classicのコンセプトは、クロスカントリーのレースを体感してもらうことです。トップレーサーのレースを観てもらい、チャレンジや耐久レースで体感する。こんなすごいコースをこんな速さで走るのか!と感じてもらう。
社会人選手が持ち寄り、ボランティアで開催している大会です。ほのぼのとしたなかにもコンペティションというスパイスの効いた大会を目指しています。もともと他のローカルレースを手伝ってきたので、自分でも開催してみたいと思ったことが昨年に初開催にこぎつけたきっかけです。今は多くの仲間が手伝ってくれて開催することができています」。

エリート男子 リザルト
小野寺 健(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)
前田公平(BiORACER)
沢田 時(ブリヂストンアンカー)
池田祐樹(TOPEAK ERGON RACING TEAM USA)
松尾純(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)
小笠原 崇裕(THE BIKE JOURNAL)
山中 真(MilePost BMC Racing)
佐藤誠示
鈴木智之
松本駿(Team SCOTT)
※その他のクラスはホームページでご確認ください。


photo&text:Makoto.AYANO
photo:Hiro.AYANO

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