トーマス・デッケル(オランダ)が自身のウェブサイト上で引退を発表した。2006年にティレーノ~アドリアティコを制したオールラウンダーは、先月のアワーレコード挑戦を最後に現役を退いた。



2006年にティレーノ〜アドリアティコで総合優勝2006年にティレーノ〜アドリアティコで総合優勝 photo:CorVos1984年生まれ、現在30歳のデッケルは2005年に19歳の若さでラボバンクに加入。2004年、2005年とオランダTT王者に輝き、その年の世界選手権U23個人TTで銀メダルを獲得。勢いそのままに2006年にティレーノ~アドリアティコ、2007年はツール・ド・ロマンディの総合優勝を飾るなど、最も将来を将来を有望視されていた。

キャリア終盤はガーミンで過ごし、2015年のチーム合併時の契約更新には至らなかったキャリア終盤はガーミンで過ごし、2015年のチーム合併時の契約更新には至らなかった photo:CorVosしかしラボバンクを離脱した2008年を境に暗転し、やがてEPO(エリスロポエチン)陽性で2年間の出場停止処分を受ける事態に。復帰後はガーミンと契約を交わしたものの成績は浮上せず、キャノンデールと合併した2015年、契約更新には至らなかった。

そして所属するチームが決まらないまま、今年の2月には「まだ第一線級の走りができると証明するべく、選手を続けたいのかを自分自身に問うべく走った」とメキシコでアワーレーコード挑んだが、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)の記録には僅か270m及ばない52.221kmでフィニッシュ。このことが結果的に引退への引き金となった。

「アワーレコード挑戦のあと、自分が持っている選択肢を時間をかけて1つ1つ慎重に考え、自分の気持ちも慎重にまとめてみた。その結果が引退だったんだ。」とデッケルは自身のウェブサイトにコメントする。

「自転車選手としての生活で勝利や負けなど多くのことを経験し、レースの良いことも悪いことも、グレーな部分、自分自身についても多く学ぶことができた。特に若い頃は何をしてでもレースに勝つことにこだわっていたが、それは強みであった反面弱みでもあり、結果として僕自身を闇に落としこんでしまった。

しかしここ数年は、勝利に執着すること以上に大切なことが人生にはたくさんあると気づいた。地球上全てのレースで勝つためではなく、この競技を愛しているが故に走っていたんだ。だから僕は自身の過去を明らかにして、若いライダーに自分と同じ過ちを犯さないよう警鐘を鳴らしたい。僕のキャリアは美しく、愚かで、激しく、そして(ドーピング)啓発に満ちていた」と記した。

text:Gakuto.Fujiwara,So.Isobe
photo:CorVos


最新ニュース(全ジャンル)