ベルギーのワロン地方でセミクラシックレース、ル・サミン(UCI1.1)が開催され、ゴール手前のパヴェで絞られた5名の精鋭グループによる登りスプリントをクリス・ボックマンスが制した。



ワロン地方で開催されたル・サミン。トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がパヴェ上を逃げ続けるワロン地方で開催されたル・サミン。トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がパヴェ上を逃げ続ける photo:CorVos


集団を牽引するヘルト・ステーグマンス(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)集団を牽引するヘルト・ステーグマンス(ベルギー、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVosUCI1.1にカテゴライズされるセミクラシックレース、ル・サミン。基本的には平坦基調ながら三ツ星難易度のパヴェ(石畳)や急坂が登場し、ゴールはパヴェをクリアして3km後の緩やかな登坂をクリアした先にある。毎年50名程度のスプリントに持ち込まれるのが通例だが、今年は違ったシナリオが用意されていた。

濡れた石畳に集団内では落車も発生する濡れた石畳に集団内では落車も発生する photo:CorVosレースはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、ガティス・スムクリス(ラトビア、カチューシャ)、ルドウィグ・デウィンター(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)という3名の逃げを伴って幕を開ける。

積極的に動いたタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)積極的に動いたタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ) photo:CorVosその後ろを追いかける集団ではジャコモ・ニッツォロ(イタリア)を擁すトレックファクトリーレーシングとジャンニ・メールスマン(ベルギー)をエースに据えるエティックス・クイックステップが逃げとの間隔を調整し、タイム差は6分を超えたところから徐々に縮小していく。

レースが中盤に差し掛かった頃、先頭ではデヘントが2名を切り離して先行し、ゴール手前20kmまでのおよそ30kmを単独で駆け抜ける。「デヘントの逃げはとても強力だったし、集団にとっては危険な存在だった。だから集団内で温存でき最終盤のアタック合戦にも加われた」と優勝したボックマンスは後に語っている。

ヨアン・レボン(フランス、FDJ)やタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)らが次々とアタックを繰り返すものの、平坦路であることも影響し決定的な逃げは生まれない。40名ほどの集団をトレックファクトリーレーシングやエティックス・クイックステップが牽引する形でゴールまでの平坦区間を駆け抜けていった。

そしてゴール手前3kmに控える三ツ星難易度の石畳(750m)で集団前方を固めたエティックス・クイックステップが最終攻撃を仕掛けると、先頭でクリアしたのはただ8名(エティックス4名、ロット・ソウダル2名、コフィディス2名)のみだった。

そのままエティックスがゴールまで牽き続けたが、メールスマンの背後からボックマンスがいち早くスプリントを開始する。この動きに合わせて追い込んだメールスマンだったが、追い抜くには僅かに距離が足りず。登りスプリントを得意とする両者の争いはボックマンスに軍配が下った。



ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)に先着するクリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル)ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)に先着するクリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:CorVos


今期2勝目を飾ったクリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル)今期2勝目を飾ったクリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:CorVos「石畳では前の選手が遅れ、そこで何とか前方に飛びつき5番手でクリアできたことが勝負の分かれ目だった。最後はメールスマンを上手く出し抜くことができた」と言うボックマンス。今期は既にエトワール・ド・ベセージュで勝利を飾っており、金曜から始まる西フランドル3日間レースに向けて意気込みを見せる。

一方、最終局面で人数を揃えながらも勝利に繋げることができなかったエティックス・クイックステップ。スポーツディレクターのリック・ヴァンスライク氏は「今日の目標は最終局面でジャンニを先頭に送り込むこと。その後は上手くいかなかったが、若手選手中心の布陣ながらよく動いてくれた。」と評した。



ル・サミン2015結果
1位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
4位 ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
6位 スティーブ・シェネル(フランス、コフィディス)
7位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 タナー・プット(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 バプティスト・プランカールト(ベルギー、ルーベ・リールメトロポール)
10位 オリヴィエ・カイセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
4h47'01"


+03"
+13"







text:So.Isobe
photo:CorVos