ツアー・オブ・カタールが「砂漠のレース」であるならば、ツアー・オブ・オマーンは「山のレース」だ。世界屈指のオールラウンダーが集まる中東レースの開幕ステージでスプリントを制したのはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)だった。



レース前半はオマーンの内陸部を進むレース前半はオマーンの内陸部を進む photo:Tim de Waele


バイト・アル・ナマン・キャッスルをスタートする143名バイト・アル・ナマン・キャッスルをスタートする143名 photo:Tim de Waeleツール・ド・フランスと同じASOが主催する中東2連戦カタールとオマーン。2レースは同じキャラクターに捉えられがちだが、その内容は全く異なる。猛烈な横風が勝負を決めるカタールとは異なり、オマーンには本格的な山岳が設定されているのだ。

沿道からはアラビア語の声援が飛ぶ沿道からはアラビア語の声援が飛ぶ photo:Tim de Waele中でも第4ステージに登場する平均勾配10.5%・登坂距離5.7kmのジャバル・アル・アクダル(通称グリーンマウンテン)の山頂フィニッシュは大会の名物となっており、シーズン入り間もない選手たちの脚を試す。カタールからの連戦選手も多いが、グランツールで活躍するオールラウンダーがこぞってオマーンを目指すのも頷ける。

逃げグループを率いるジョハン・ファンジル(南アフリカ、MTNキュベカ)逃げグループを率いるジョハン・ファンジル(南アフリカ、MTNキュベカ) photo:Tim de Waeleツール覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)をはじめ、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らが総合優勝候補に挙げられる。

スプリントを繰り広げるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)とトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)スプリントを繰り広げるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)とトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleその他にもペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)と言ったクラシック組も顔を揃えた。

なお、昨年大会2連覇を果たしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)は、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)とともに同時期にスペインで行われるブエルタ・ア・アンダルシアでシーズンデビュー予定だ。

バイト・アル・ナマン・キャッスルから首都マスカット近くのアル・ワタヤーに至る第1ステージはスプリンターの独壇場だった。161kmコースはほぼフラットでKOM(カテゴリー山岳)は無し。序盤からUCIプロコンチネンタルチームの4名が逃げグループを形成したものの、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)の勝利を狙うカチューシャの集団コントロールがレースを支配した。

終盤に独走したジョハン・ファンジル(南アフリカ、MTNキュベカ)も残り35kmで吸収され、アタックを許さないスピードで143名のプロトンがアル・ワタヤーに向かう。カタールを制したエティックス・クイックステップがボーネンのためにトレインを組んだ。



スプリントで先着したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)スプリントで先着したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele


リーダージャージを手にしたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)リーダージャージを手にしたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleカタールと比べてスピードマンが少ないオマーンのスプリントバトルは混戦模様。リードアウトに失敗したクリストフやナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、アルノー・デマール(フランス、FDJ)らが後方に埋もれる中、ボーネンとグアルディーニが先頭でフィニッシュラインへ。低い体勢でもがき続けたグアルディーニが先着した。

「カタールで上位に絡めていたので良い感触があった。この2年間は勝利数を伸ばせていなかったので、来シーズンに向けた契約においてもこの勝利は好材料だ」と語るグアルディーニが今シーズン初勝利を飾るとともにリーダージャージを手にしている。



ツアー・オブ・オマーン2015第1ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)       3h45’38”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
4位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
7位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
9位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)

個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)       3h45’28”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)     +04”
3位 パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)     +05”
4位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)          +06”
5位 ジョハン・ファンジル(南アフリカ、MTNキュベカ)          +07”
6位 シモーネ・アンドレッタ(イタリア、バルディアーニCSF)       +09”
7位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)     +10”
8位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
9位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
10位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

ヤングライダー賞
パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)

チーム総合成績
ジャイアント・アルペシン

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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