第49回高石杯・関東地域自転車道路競争大会が、2月15日に埼玉県さいたま市で開催された。高石杯が懸かった高校生男子は、中村圭佑(昭和第一学園高等学校)が昨年に続き連覇。一般男子は、残り100mで逃げを捕まえた風間博之(サイクルフリーダム・レーシング)が優勝した。



広大な東京健保組合大宮運動場のポプラ並木広大な東京健保組合大宮運動場のポプラ並木 photo:Satoru.Kato
高校生男子 3周目、単独で飛び出した中村圭佑(昭和第一学園高等学校)高校生男子 3周目、単独で飛び出した中村圭佑(昭和第一学園高等学校) photo:Satoru.Kato埼玉県で3回目の開催となる高石杯・関東地域自転車道路競争大会。今年も荒川河川敷の「東京健保組合大宮運動場」で開催された。完全フラットな1周2.9kmのコースは昨年までと同様だが、3回目にして関東名物「からっ風」が本領を発揮する。

高校生男子 逃げ切ってガッツポーズを見せる中村圭佑(昭和第一学園高等学校)高校生男子 逃げ切ってガッツポーズを見せる中村圭佑(昭和第一学園高等学校) photo:Satoru.Kato午前中に行われた予選までは良かったものの、午後の決勝レースでは最大風速が10mを越えるほどの暴風が吹き荒れた。この為、時間+2周で行われる予定だった決勝レースは変更され、高校生男子は7周、一般男子は10周で行われる事になった。

高校生男子 中村圭佑が高石杯連覇

高校生男子 表彰高校生男子 表彰 photo:Satoru.Kato3組に分けて行われた予選を勝ち上がった45人でスタートした高校生男子。3周目に、前年優勝の中村圭佑(昭和第一学園高等学校)が単独で飛び出し、後続に10秒の差をつける。

追走するメイン集団はペースアップと強風で中切れが多発。周回が進むごとに人数を減らしていくが、逃げる中村との差は詰まりそうに見えてなかなか詰まらない。中村は単独のまま最終の7周目に突入するも、差がみるみる縮まる。ホームストレートに現れた中村の背後に、川上祐平(栃木県立真岡工業高校自転車競技部)が迫る。しかし、半車身ほどの差で中村がかろうじて逃げ切り優勝。

開口一番「(連覇は)狙ってました」と言う中村。「1人で逃げ切って強さを見せつけるレースをしたいと思っていた。飛び出した後は橋詰先輩が集団をチェックしてくれていたので心強かった」とレース後に語る。4月から高校3年生になる中村は「昭和第一学園としてインターハイで勝つ事が最大の目標でもあるけど、卒業後はヨーロッパで活躍出来るような選手になりたい」と、早くも「その先」を見据えている。

高校生 結果 20.3km
1位 中村圭佑(昭和第一学園高等学校) 27分24秒786
2位 川上祐平(栃木県立真岡工業高校自転車競技部) +0秒
3位 隈園郷史(チーム・Y) +4秒
4位 中川 涼(埼玉県立浦和工業高等学校) +4秒
5位 渡辺慶太(埼玉県立浦和工業高等学校) +4秒
6位 石原悠希(栃木県立真岡工業高校自転車競技部) +4秒
7位 橋詰 丈(昭和第一学園高等学校) +4秒
8位 小野寛斗(横浜高等学校) +5秒



一般男子 残り100mで小山貴大を捕まえた風間博之が優勝

一般男子 残り100mの逆転劇を制した風間博之(サイクルフリーダムレーシング)一般男子 残り100mの逆転劇を制した風間博之(サイクルフリーダムレーシング) photo:Satoru.Kato
一般男子 レモネードベルマーレレーシングチームがメイン集団を率いる一般男子 レモネードベルマーレレーシングチームがメイン集団を率いる photo:Satoru.Kato宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム)や、山本雅道、伊丹健治(キナンサイクリングチーム)ら有力選手が名を連ねた一般男子。2組に分けて行われた予選から50人が決勝に進んだ。

一般男子 残り2周 単独で逃げ続ける小山貴大(前橋育英高等学校)一般男子 残り2周 単独で逃げ続ける小山貴大(前橋育英高等学校) photo:Satoru.Katoスタート直後、池邊聖(慶応義塾大学自転車競技部)が飛び出し、後続に約10秒の差をつける。2周目、小山貴大(前橋育英高等学校)が単独で追走して池邊に合流し、2人で逃げ続ける。メイン集団はレモネードベルマーレレーシングチームとキナンサイクリングチームがコントロールするも、逃げる2人との差は一時20秒近くまで開く。

一般男子 決勝を走る宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム)一般男子 決勝を走る宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム) photo:Satoru.Kato7周目、池邊が遅れて小山単独の逃げになる一方、メイン集団からは金子智哉(早稲田大学)の飛び出しに同調して風間博之(サイクルフリーダムレーシング)、浦佑樹(東京大学自転車部競技班)、宮澤崇史(レモネードベルマーレレーシングチーム)らが小山を追い、差をジリジリと詰めていく。

最終周回、粘る小山は先頭のままホームストレートに現れる。しかし直後には風間、金子、宮澤が続き、残り100mで小山を捕らえる。追いついた勢いのまま小山の前に出た風間が優勝。逃げ続けた小山は、金子にもかわされて3位に終わった。

「今日はチームメイトのアシストをするつもりだった」と言う風間。「小山選手を捕まえられそうになったところで宮澤選手が行ったので、これは行かないと!と思って反応した。公式戦では初勝利なので、とても嬉しい」と喜ぶ。

一方、レース距離の9割を逃げた小山は「最後がスプリントになったら勝てないので、イチかバチか逃げ切るつもりで飛び出した。最後は足が残っていなかったので、捕まるなと思っていた」と、意外とサバサバとした表情。「勝てるのが一番ではあるけど、逃げを打って魅せるレースをするのが自分のスタイル」と言い切る。4月からシマノレーシングに加入する事が決まっているが「与えられた役割をこなしつつ、チャンスを物に出来るようにしていきたい」と抱負を語った。

一般男子 結果 29km
1位  風間博之(サイクルフリーダム・レーシング) 39分26秒896
2位 金子智哉(早稲田大学) +2秒
3位 小山貴大(前橋育英高等学校) +2秒
4位 宮澤崇史(レモネードベルマーレ レーシングチーム) +4秒
5位 高木三千成(立教大学自転車競技部) +8秒
6位 浦 佑樹(東京大学自転車部競技班) +26秒
7位 水野恭平(キナンサイクリングチーム) +28秒
8位 山本雅道(キナンサイクリングチーム) +28秒



オープン女子 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校)が高橋吹歌(Ready Go JAPAN)を抑えて優勝オープン女子 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校)が高橋吹歌(Ready Go JAPAN)を抑えて優勝 photo:Satoru.Katoオープン女子 細谷夢菜が昨年2位の雪辱を晴らす

5周で争われたオープン女子には12人が出走。レース終盤、細谷夢菜(浦和工業高等学校)と高橋吹歌、小沼美由紀、高橋由圭、須藤むつみ(以上Ready Go JAPAN)の5人が残る。「1人で逃げ切りたかったけど、風が強かったのとReady Go JAPANのチェックが厳しかったので作戦を変えた」と、状況を冷静に判断した細谷。最後は追いすがる高橋吹歌(Ready Go JAPAN)を振り切って優勝した。

オープン女子 結果 14.5km
1位 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校) 21分57秒975
2位 高橋吹歌(Ready Go JAPAN) +1秒
3位 小沼美由紀(Ready Go JAPAN) +11秒
4位 高橋由圭(Ready Go JAPAN) +11秒
5位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) +18秒
6位 小林彩乃(群馬県立前橋工業高等学校) +1分14秒
7位 石井菜摘(作新学院高等学校) +1分54秒
8位 島崎真美(イマイ・スプロケッツ) +1分56秒



中学生  多田れおん(GROWING R/T)が田原一機(都立大泉高等学校付属中)をスプリントで下す中学生  多田れおん(GROWING R/T)が田原一機(都立大泉高等学校付属中)をスプリントで下す photo:Satoru.Kato中学生 多田れおんが優勝

3周で争われた中学生は、多田れおん(GROWING R/T)が田原一機(都立大泉高等学校付属中)とのスプリント勝負を制して優勝した。

中学生 結果 8.7km
1位 多田れおん(GROWING R/T) 13分5秒203
2位 田原一機(都立大泉高等学校付属中) +0秒
3位 半田敏規(成城中学校) +2秒
4位 松井一真(立教新座中学校) +47秒
5位 橋本汰一(さいたま市立原山中学校) +49秒
6位 小沼良太郎(伊奈町立伊奈中学校) +54秒

text&photo:Satoru.Kato