2月8日、中東カタールを舞台に第14回ツアー・オブ・カタール(UCI2.HC)が開幕。初日のスプリントをトム・ボーネンやペーター・サガンをホセホアキン・ロハスが下し、今季の初勝利を獲得した。



今年も開幕したツアー・オブ・カタール 砂漠の中を走り続ける過酷なレースだ今年も開幕したツアー・オブ・カタール 砂漠の中を走り続ける過酷なレースだ photo:ASO


スターターも中東を感じさせるスターターも中東を感じさせる photo:ASO地平線まで続く真っ直ぐな道。逃げるには向いていないだろう。地平線まで続く真っ直ぐな道。逃げるには向いていないだろう。 photo:ASO今年で開催14回目を迎えるツアー・オブ・カタールは、UCIアジアツアーに組み込まれた6日間のステージレース。カテゴリーはHCとなり、プロツアーチームも多く参加する格式高いレースだ。ツール・ド・フランスと同じA.S.Oが主催し、ドバイツアーから始まる中東レースの中で最も歴史のあるレースでもある。

レースの舞台となるのは起伏のない真っ平らなカタール半島。6日間にわたって、縦横無尽にカタール半島をプロトンが駆け巡ることとなる。第14回大会も例年同様に平坦ステージばかりとなっているツアー・オブ・カタール。登りが登場しない代わりに勝負を左右するのは砂漠に吹く強烈な風だ。

出場チームはドバイツアーでも存在感を見せつけたエティックス・クイックステップを始めとした13のUCIワールドツアーチームに、コフィディスやMTNキュベカなどを加えた計18チーム。今年の注目選手はディフェンディングチャンピオンのニキ・テルプストラや過去4度の優勝を飾っているトム・ボーネンをはじめ、キッテルやサガン、カンチェラーラといった一流選手が一堂に会し、砂漠の王冠を競い合う。

第1ステージはカタール西部、サルワ湾を望むドゥハーンからカタール半島を横断し、シーラインビーチにゴールする136km。横風と落車によって、集団は細かく分断され、最終的に先頭集団は51名まで絞り込まれることとなった。


産油プラントを横目にレースが進んでいく産油プラントを横目にレースが進んでいく photo:ASO


過去に4度優勝しているトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)過去に4度優勝しているトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:ASOラスト40kmから逃げにトライしたラース・ボーム(オランダ、アスタナ)とリエーベ・ウェストラ(オランダ、アスタナ)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ)ラスト40kmから逃げにトライしたラース・ボーム(オランダ、アスタナ)とリエーベ・ウェストラ(オランダ、アスタナ)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ) photo:ASOティンコフ・サクソに移籍後初レースとなったペーター・サガンティンコフ・サクソに移籍後初レースとなったペーター・サガン photo:ASOこの日ファーストアタックを決めたのは、ルカ・ステラヴィーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)とヤール・ソロモン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)。一時、7分のリードを築きあげたものの、横風に阻まれ集団に吸収される。

その後の強烈な横風区間でエティックス・クイックステップとトレックファクトリーレーシングがペースアップを図り、集団を分断することに成功。後方にはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やブラッドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が取り残されるものの、向かい風区間に入った後、先頭集団と合流を果たした。

第2中間スプリントポイントで、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)とペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が落車するアクシデントが発生したものの、チームメイトの助けによって無事に集団に復帰している。

残り40km地点で、ラース・ボーム(オランダ、アスタナ)とリエーベ・ウェストラ(オランダ、アスタナ)、マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ)が集団から飛びだした。力強く逃げ続けるものの、スプリントに向けてスピードの上がった集団にラスト14km地点で吸収された。

エティックス・クイックステップとトレックファクトリーレーシング、そしてボーラ・アルゴン18が再びペースを上げると、集団は再び分裂。この動きによって、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)やエドワルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)、ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)らが後方に取り残された。

この集団は先頭に復帰することはかなわず、残った51名の集団でスプリントが争われることとなる。横風によって消耗しきった集団の中で、明確なトレインを組めるチームはおらず。ディフェンディングチャンピオンのニキ・テルプストラの後ろから飛び出したホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)が勝利を掴みとった。



トム・ボーネンやアルノー・デマールを下したホセホアキン・ロハストム・ボーネンやアルノー・デマールを下したホセホアキン・ロハス photo:CorVos


総合リーダージャージに袖を通したホセホアキン・ロハス総合リーダージャージに袖を通したホセホアキン・ロハス photo:ASO「最後はかなり難しいスプリントだった。特にボーラ・アルゴン18とトレックファクトリーレーシングが残り10kmで集団を分断しようとした時には本当にタフだったよ。残り500mでニキ・テルプストラの番手に付けた時、彼にはもう脚が残っていないように見えた。だから残り300メートルで仕掛けたんだ。風が左から吹き付けていたから、一番有利になる右側のラインを突き進んだんだ。」と、リーダージャージを受け取るロハスは語った。

横風によって集団が分断され、多くの優勝候補たちが総合争いから姿を消すこととなった波乱の展開の第1ステージ。明日も平坦なスプリンター向けのステージが続く。今日のステージでスプリントに参加できなかったビッグネームたちの活躍に期待だ。



ツアー・オブ・カタール2015第1ステージ結果
1位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
6位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
7位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
8位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
9位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
10位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3h49'50"











個人総合成績
1位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
4位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
7位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
8位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
10位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
3h49'40"
+04"
+06"
+08"
+09"
+10"






ポイント賞
ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)

新人賞
アルノー・デマール(フランス、FDJ)

text:Naoki.YASUOKA
photo:A.S.O

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