コロンビアの新鋭スプリンター、フェルナンド・ガヴィリアが再びマーク・カヴェンディッシュを抑えて勝利を達成。今年のツール・ド・サンルイスは例年以上に南米選手が活躍中だ。



晴天に恵まれたサンルイス第3ステージ。6名の逃げグループが先を急ぐ晴天に恵まれたサンルイス第3ステージ。6名の逃げグループが先を急ぐ photo:toursanluis.com


スタートを待つNIPPOヴィーニファンティーニスタートを待つNIPPOヴィーニファンティーニ photo:toursanluis.com豪華スター選手が多く集ったアルゼンチンで開催中のツール・ド・サンルイス(UCI2.1)。第3ステージはコンカランからサンルイス郊外の街ファナ・コスライへと至る176.3kmで争われた。

アルゼンチン内陸部を走るプロトンアルゼンチン内陸部を走るプロトン photo:toursanluis.comスプリントステージではあるもののコースは細かいアップダウンが続き、ゴール前およそ3kmは緩い登り基調だ。

集団内では落車が発生。幸い大きな事故には繋がらなかった集団内では落車が発生。幸い大きな事故には繋がらなかった photo:toursanluis.comこれまでの2ステージと異なり、長引いたアタック合戦からエスケープを決めたのは、ジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)やキエル・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)ら6名。巡航モードに切り替えた集団に対してすぐさま5分のリードを稼ぎだした。

集団のコントロールを担ったのは昨ステージを勝ちリーダージャージを手にしたダニエル・ディアス(アルゼンチン)を擁するファンヴィック・ブラジルインベスト。ここにカヴのシーズン初勝利を狙うエティックス・クイックステップが加わり、タイム差を詰めながら距離を消化していった。

中盤を過ぎると横風がプロトンを襲い、クイックステップがこれに乗じたペースアップを開始する。この攻撃で決定的な分断は生じなかったが、一度上がった集団のペースは落ちること無く後半戦へと移行する。

世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)もペースアップに加わる中、逃げを飲み込んだ集団はクイックステップやランプレ・メリダを中心にスプリントへ。カヴェンディッシュは絶好のポジションを確保したが、別ラインからガヴィリアを連れて加速したたコロンビアトレインが主導権を奪った。

勢いを失ったクイックステップを尻目に早いタイミングでガヴィリアがスプリントを開始。爆発的な加速でリードを築いたガヴィリアは、スプリント中に何度も振り返りながらゴールへと飛び込む。後方から追い上げたカヴェンディッシュを大きく突き放し、驚きの2勝目が決まった。



再びマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)を下したフェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)再びマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)を下したフェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、コロンビアナショナルチーム) photo:CorVos


リーダージャージをキープしたダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)リーダージャージをキープしたダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト) photo:toursanluis.com20歳のカヴィリアは「アルゼンチンに来るまではまさか1勝もできるとは思っていなかった。ツールでカヴェンディッシュが勝つのを、自宅のテレビで見ていたのを思い出すよ。」と驚きを隠さない。ヨーロピアンの調子がまだ上がっていないとは言え、その実力は本物だ。残りステージでも勝つ可能性は少なくないだろう。

一方ゴールラインでいらつきを見せたのはカヴェンディッシュ。「最後はサバティーニがためらってしまい、その間にガヴィリアが届かないところまで行ってしまった。」と歯車が噛み合わなかったことを悔やむ。「彼はトラック出身だからハイスピードを長時間維持できる。そのスピードに驚かされた」とガヴィリアを称えた。

またこの日ゴール1km手前で落車があったものの、救済処置によって総合順位に大きな変動は無し。アシストとしてエデュアルド・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)の5位に貢献した山本元喜は77位でフィニッシュしている。



ツール・ド・サンルイス2015第3ステージ結果
1位 フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)        3h48'44"
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、ブルターニュ・セシェ)
5位 エデュアルド・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 ニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
7位 マルコ・カーノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
8位 ジュリアン・ガダイ(アルゼンチン、ブエノスアイレスプロヴァンシア)
9位 エマヌエル・ゲバラ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)
10位 ディエゴ・ミラン(キューバ、MMR)

個人総合成績
1位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
2位 ロドルフォ・トーレス(コロンビア、コロンビア)
3位 クレベル・ラモス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
4位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)
5位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、ブルターニュ・セシェ)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 セルジオ・ゴドイ(アルゼンチン、アルゼンチン・ソモストドス)
9位 ダニエル・ハラミロ(コロンビア、ジェイミス・ハーゲン)
10位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)
13h02'23"
+06"
+24"
+27"



+29"
+36"


山岳賞
ダニエル・ディアス(アルゼンチン、ファンヴィック・ブラジルインベスト)

スプリント賞
レナルド・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、コロンビアナショナルチーム)

チーム総合成績
ファンヴィック・ブラジルインベスト

text:So.Isobe
photo:CorVos