横山航太(シマノレーシング)と沢田時(チームブリヂストンアンカー)が激しいつばぜり合いを演じた中盤、一気に仕掛けて突き放したのは横山。ワールドカップそして世界選へ出場する前に好感触をつかんだ勝利だ。



C1 3周目、3人パックの先頭は横山航太(シマノレーシング)C1 3周目、3人パックの先頭は横山航太(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
C1 スタートは島田真琴(シマノドリンキング)が先頭にC1 スタートは島田真琴(シマノドリンキング)が先頭に photo:Hideaki TAKAGIC1 4周目、先頭は沢田時(チームブリヂストンアンカー)と横山航太(シマノレーシング)が競り合うC1 4周目、先頭は沢田時(チームブリヂストンアンカー)と横山航太(シマノレーシング)が競り合う photo:Hideaki TAKAGIC1 7周目、横山航太(シマノレーシング)がペースを上げてばらけるC1 7周目、横山航太(シマノレーシング)がペースを上げてばらける photo:Hideaki TAKAGI1月18日(日)、大阪府堺市みなと堺グリーン広場で行なわれた関西シクロクロス2014-2015第9戦。標高差1mほどの起伏はあるがほとんど平坦と言っていいコース。いっぽうで3箇所に集中する砂場は深さ30cm以上にも達し、ここをどう攻略するかが見せ所。場所の利便性もよく当日も720人以上のエントリーを集めて第9戦は行われた。

前日の設営時には冬の嵐を思わせるほど雨風強い荒天だったが、レース当日は日なたならば暖かさを感じるほどに。砂場は前日に十分に掘り返され深いものが作られたが、降雨があったため例年よりは締まった砂の状態に。当日は他会場でもレースがあったため強豪選手が分散したが、堺には女子エリートと男子U23の全日本チャンピオンが出場。

横山航太(シマノレーシング)が圧倒のC1

見どころはU23全日本チャンピオン横山、同じU23でしのぎを削る沢田時(チームブリヂストンアンカー)、中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)ら若手の戦い。そして2月1日の最終戦桂川へ向けて、関西シクロクロスシリーズ戦総合トップの島田真琴(シマノドリンキング)と同2位の伊澤優大(岩井商会RACING)の走りも注目に。

スタートから先頭に立ったのは島田。すぐに横山が追いつき先頭は2人に。さらに中原、松木健治((有)村上建具) 、沢田が続く。そして3周目には沢田が追い上げて先頭は横山、沢田、島田の3人を中原が追う展開に。先頭では横山が一定ペースで走り、沢田が攻撃を仕掛けるが3人は崩れない。そして5周目には中原が追いつき先頭は4人に。
C1 7周目、5位集団は4人のパックにC1 7周目、5位集団は4人のパックに photo:Hideaki TAKAGIC1 7周目、単独先頭に立った横山航太(シマノレーシング)C1 7周目、単独先頭に立った横山航太(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
7周目にここまで一定ペースで走っていた横山がペースを上げると4人はバラバラになる。それまで5分45~50秒ほどのラップライムだったが、その7周目から先頭の横山は5分30秒台を連続させる。後方では松木健治((有)村上建具)と藤川正人(岩井商会RACING)、木村吉秀(JPST MASSA ANDEX)と辻善光(TeamZenko)がパックを作る。8周目以降も横山が快調にラップを刻み、そして沢田と島田も前が見える範囲での走りを続けるが順位は変わらずゴール。これに後方から追い上げた辻が5位で続いた。

際立った横山航太の強さ

終始レースをリードする横山の安定した強さが印象のレースに。「いま、チームの練習で一番強いのは横山」(野寺秀徳シマノレーシング監督)と言うように、シクロクロスシーズンを追うごとに強さを出しているのが横山。
「4人パックになったとき、島田さんのスプリントが怖かったので島田さんだけ離そうとしました。中盤での沢田選手のアタックでばらけたのでそこで自分が踏んだらひとりになった。序盤から余裕を持って走れていました」
C1 横山航太(シマノレーシング)が圧勝C1 横山航太(シマノレーシング)が圧勝 photo:Hideaki TAKAGI
「(沢田選手の”堺は勝つ”宣言に)僕も今日はチャンピオンジャージお披露目でチームの地元堺だし、気合はかなり入って”僕も勝つぞ”と思って臨みました」「今日走った感じでかなり仕上がっていると思います。体調を崩さずもう少し調子を上げられたらと思います。世界選手権では20位以内を狙います。氷や雪ならばいいですね」と語る。横山は1月22日(木)から渡欧、オランダでのワールドカップに出場して世界選手権に備える。

2位の沢田は切磋琢磨するアンダー勢がいい仲間だと言う。「最近すごく楽しく練習もレースもできているので、今日は負けたけれどもいい感じですね。MTBの合宿でベロドローム走ったりで疲れが取れていなかったですがいい経験をしました。2週間後にMTBの開幕戦があるのでシクロクロスは今シーズンこれが最後です。航太が調子いいので世界選でいい成績を出してくれたら、来年自分がそれを越えてやると思えるので頑張ってほしいですね。今シーズンはアンダーのレベルが上がったと思うのでこれからも楽しみです」と語る。



CL1は宮内佐季子(Team CHAINRING)、C2は入江克典(シマノドリンキング)

CL1はスタートから宮内が先頭に。それを坂口楓華(パナソニックレディース)が追う展開に。さらにそれを上田順子(関西ダム部/獣遊)、埜真賢美(川崎医療福祉大学)、水谷有紀子(BUCYO COFFEE CLT)が追う。宮内は4周目に6分22秒でラップするなどペースを維持して優勝。さらにその宮内を追い続けた坂口が2位に。そして後方から抜け出した上田が3位に入った。

CL1 1位の宮内佐季子(Team CHAINRING)CL1 1位の宮内佐季子(Team CHAINRING) photo:Hideaki TAKAGICM1 1位の水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT)CM1 1位の水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT) photo:Hideaki TAKAGI

C2 中位から追い上げ3周目にトップに立った入江克典(シマノドリンキング)C2 中位から追い上げ3周目にトップに立った入江克典(シマノドリンキング) photo:Hideaki TAKAGIC2 ほぼ最後尾スタートで2位になった木村圭佑(シマノレーシング)C2 ほぼ最後尾スタートで2位になった木村圭佑(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI


C2のスタートに立ったのは62人。その中ほどやや後ろからスタートした入江が追い上げて3周目にトップに立ち、そのまま後続を寄せ付けずに圧勝。ほぼ最後尾からスタートした木村圭佑(シマノレーシング)も追い上げ、5周目にC2全体トップの5分57秒のラップを記録するほどのペース。

木村は2位にまでは出たがトップには追いつかず。野寺監督は「入江選手が勝ちますね。木村は最後尾スタートでもこのコースならば前に出られる。でも入江選手には勝てない」とこのレースを予想しそのとおりに。

優勝した入江は「先頭に追いついたときいつ行こうか思っていました。途中から自分のペースで抜け出しました。最終周回で後ろから追い上げがあるのを聞き少し焦りましたが、差はあったので大丈夫と思いました」

「(野寺監督の予想に)わかってますね(笑)。シクロクロスで(シマノ)レーシングのロード選手には負けたくないですからね。今日は久しぶりに来ましたがあちこちで応援してもらえて嬉しかったですね」と語る。トレイルラン、マラソン、山岳で忙しく自転車はあまり乗っていないという入江。だが強さとレース巧者ぶりは健在だ。



関西シクロクロス2014-2015第9戦みなと堺グリーン広場結果
C1 11周
1位 横山航太(シマノレーシング)1時間02分57秒
2位 沢田時(チームブリヂストンアンカー)+24秒
3位 島田真琴(シマノドリンキング)+40秒
4位 中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)+1分42秒
5位 辻善光(TeamZenko)+2分39秒
6位 松木健治((有)村上建具)+2分43秒
7位 藤川正人(岩井商会RACING)+2分52秒
8位 木村吉秀(JPST MASSA ANDEX) +2分54秒
9位 大渕宏紀(DECOJA/NEXTPHASE) +3分16秒
10位 村田憲治(tacurino.net) +3分44秒

CJ 7周
1位 河野玄樹(高松工芸高校) 44分54秒

CL1 6周
1位 宮内佐季子(Team CHAINRING) 38分42秒
2位 坂口楓華(パナソニックレディース)+1分11秒
3位 上田順子(関西ダム部/獣遊) +2分25秒
4位 埜真賢美(川崎医療福祉大学)+2分35秒  
5位 水谷有紀子(BUCYO COFFEE CLT)+3分12秒
6位 三浦涼香(桜花学園)+4分28秒

CM1 7周
1位 水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT) 43分13秒
2位 藤井修(きゅうべえsports)+09秒
3位 羽鳥和重(cycleclub 3UP)+16秒

C2 6周
1位 入江克典(シマノドリンキング)36分57秒
2位 木村圭佑(シマノレーシング)+27秒
3位 小林正明((有)村上建具) +34秒

photo&text:高木秀彰