スタートからの独走、そして泥を対処しての圧勝。「スタート前から優勝候補の筆頭と言われていて、プレッシャーを感じていたんですが、そのプレッシャーがあってこその嬉しさです。本当に嬉しい」。横山航太(シマノレーシング)が前年の悔しさを晴らすU23タイトルを手にした。



男子U23 先頭で1周目のウォッシュボードをこなす横山航太(シマノレーシング)男子U23 先頭で1周目のウォッシュボードをこなす横山航太(シマノレーシング) photo:Kei Tsuji
男子U23 スタートを待つ横山航太(シマノレーシング)男子U23 スタートを待つ横山航太(シマノレーシング) photo:Kei Tsuji男子U23 12名がスタート男子U23 12名がスタート photo:Kei Tsuji



男子U23 モトクロスコースを使用したダイナミックなレイアウト男子U23 モトクロスコースを使用したダイナミックなレイアウト photo:Kei Tsuji今年初めて独立したカテゴリーとして開催されたシクロクロス全日本選手権のU23レース。参加資格をもつのは1993〜1996年生まれの男子で、かつ2014年11月3日までにシクロクロスC1登録完了の者とある。普段C1でエリートレーサーと肩を並べて走る若手たちが一堂に会した。

男子U23 「忍者返し」を駆け上がる横山航太(シマノレーシング)男子U23 「忍者返し」を駆け上がる横山航太(シマノレーシング) photo:Kei Tsuji午前11時20分、先頭で泥コースに駆け出したのは今シーズンからシマノレーシングで走る横山航太。先頭でシケイン、キャンバー、忍者返し、ウォッシュボードを駆け抜ける横山に前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM)が食らいつく形で1周目を完了する。

男子U23 2番手を走る前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM)男子U23 2番手を走る前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM) photo:Kei Tsuji2周目に入ると横山の独走が始まり、2番手の前田には沢田時(ブリヂストンアンカー)がジョイン。その後方に木村吉秀(JPST MASSA ANDEX)と中井唯晶(瀬田工業高校)、中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)らが続く展開に。

男子U23 泥のキャンバーを走る中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)男子U23 泥のキャンバーを走る中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji先頭横山が快調に飛ばす一方で、後続パックは泥詰まりによるトラブルで慌ただしく順位を変える。安定した走りで前田が再び2番手単独となり、3番手には中原が浮上。沢田や中井、木村らは泥に苦しみ、その後方では小橋勇利(JPST MASSA ANDEX)がバイクを降りている。

50分レースの後半に差し掛かると泥が粘性を増してトラブルを誘発。先頭横山も例外ではなく、立ち止まってフレームとホイールの間に詰まった泥をかき出す作業に追われてしまう。対して高い乗車率でありながら毎周回のバイク交換で泥に苦しめられることが少なかった前田のペースは安定し、先頭横山とのタイム差を30秒にまで詰める。しかし横山が泥トラブル後にペースを戻すと、再びタイム差は広がった。

「今日はピットでのバイク交換が欠かせませんでした。前半は普通に乗れたんですが、コンディションが徐々に変わって、開始30分を過ぎた辺りで泥が一気に詰まり始めた。そこで前田選手に30〜40秒詰められてしまったんですが、強引に行かずに冷静に対処出来ました」と語る横山が最終的に1分48秒差で勝利。最初から最後まで先頭を譲ることはなかった。

「最後にこうして勝てて良かった。大阪から(シマノレーシングの)スタッフに来ていただいて、本当に助けられました」と横山。シマノレーシングの野寺秀徳監督も全身泥だらけになりながら2つあるピットエリアの間を駆け回った。

横山は2週間前のUCI野辺山シクロクロスでU23内トップの成績を残し、前週の信州シクロクロス飯山では土日2連勝。好調ぶりを示していただけに、周囲からの期待度は高かった。「スタート前から優勝候補の筆頭と言われていて、プレッシャーを感じていたんですが、そのプレッシャーがあってこその嬉しさです。本当に嬉しい」。2013年全日本選手権(エリートと混走)で横山はU23対象選手の中で3位(全体の5位)。沢田と小橋に敗れた悔しさを1年後の全日本で晴らした。



男子U23 3番手を走る沢田時(ブリヂストンアンカー)男子U23 3番手を走る沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji男子U23 5位に入った木村吉秀(JPST MASSA ANDEX)男子U23 5位に入った木村吉秀(JPST MASSA ANDEX) photo:Kei Tsuji
男子U23 バイクを掲げてフィニッシュする横山航太(シマノレーシング)男子U23 バイクを掲げてフィニッシュする横山航太(シマノレーシング) photo:Kei Tsuji


男子U23表彰台男子U23表彰台 photo:Kei Tsuji2位に入ったのは「ジュニアの時代から数えて今回初めてシクロクロス全日本選手権の表彰台に登りました。でもやっぱり航太は速かった。来年は勝ちたい」と語る前田。「脚が痛かったので出来るだけバイクから降りたくなかった。逆に降りるとペダルが嵌らなくなるので、極力乗って走るようにしていました。(横山)航太とのタイム差が30秒縮まった時、自分のペースが上がっている感覚がなかったので、おそらく泥でストップしたんだろうなと思っていました。でもタイム差を詰め切れなかった。後ろに迫ることが出来れば展開が変わっていたと思うので残念です」。

3位争いは中原、沢田、木村らによる争いになり、3週間前の関西マキノUCIレースU23で勝利した中原が終盤に抜け出して表彰台獲得。トップと同一周回でレースを終えたのは5名だった。


男子U23 闘いを繰り広げた横山航太(シマノレーシング)と前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM)男子U23 闘いを繰り広げた横山航太(シマノレーシング)と前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM) photo:Kei Tsuji男子U23 泥だらけになって横山航太をサポートした野寺秀徳監督男子U23 泥だらけになって横山航太をサポートした野寺秀徳監督 photo:Kei Tsuji


シクロクロス全日本選手権2014男子U23結果
1位 横山航太(シマノレーシング)        47'46"
2位 前田公平(BIORACER OFFROAD TEAM)    +1'48"
3位 中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)   +5'49"
4位 沢田時(ブリヂストンアンカー)        +9'12"
5位 木村吉秀(JPST MASSA ANDEX)       +9'25"
6位 山田誉史輝(PAX PROJECT)         -1Lap
7位 重田兼吾(Team CUORE)           -1Lap
8位 中井唯晶(瀬田工業高校)           -1Lap
9位 金子楓(SNEL CYCLOCROSS TEAM)     -1Lap
10位 比護任(PAX PROJECT)           -1Lap

text&photo:Kei Tsuji