今年も長い国内ロードレースシーズンを締めくくるツール・ド・おきなわがやってきた。チャンピオンレースは昨年のように小集団による逃げ切りか、それとも集団スプリントか。そして「市民レースの甲子園」たる市民210kmも、例年通りの熱い展開に期待が掛かる。



長い国内ロードレースシーズンを締めくくるツール・ド・おきなわ

26回目を迎えるツール・ド・おきなわがいよいよ明日開幕する26回目を迎えるツール・ド・おきなわがいよいよ明日開幕する photo:Hdeaki TAKAGI
11月8日(土)、9日(日)の2日間にわたって行われるツール・ド・おきなわ。1日目は各種サイクリングが、2日目はそれに加えてロードレースが行われ、レース部門はUCI1.2クラスのチャンピオンレース(210km)を筆頭に、ジュニア国際140km、女子国際100kmという3つの国際レースが、そして市民レースは国内最長の210km、140km、100km、そして50kmという4つのカテゴリーレースが行われる。

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やんばるサイクリング参加者の6割以上は海外から。写真は台湾から参加したグループやんばるサイクリング参加者の6割以上は海外から。写真は台湾から参加したグループ 大いに盛り上がる大会会場大いに盛り上がる大会会場


この大会の特徴的なことのひとつは、順位を競わないサイクリングイベントが充実していること。離島サイクリングやバリアフリーサイクリング、2日間で300km以上を走る本島1周サイクリング、170km超のやんばるセンチュリーライドなどで、1日目に179kmをサイクリングして2日目にロードレースに参加する方も。こんな贅沢な楽しみ方ができるのも、「おきなわ」ならではの魅力だ。今年は一番人気の市民100kmレースがうより多くの人数を受け入れるため、アンダー39とオーバー40の2カテゴリー制となったことも特徴で、全カテゴリーを合わせると、過去最大人数が参加している。

今年のやんばるセンチュリーライドは全体の6割以上が海外からの参加者で、中でも台湾からのエントリーが非常に多いことが目立った。自転車文化が染み渡った台湾では、ここ沖縄でサイクリングを楽しむことが一種のステータスとなっているようだ。

18チームが参加するチャンピオンレース

開会式では18のチャンピオンレース出場チームが顔を揃えた開会式では18のチャンピオンレース出場チームが顔を揃えた photo:Hideaki.Takagi
やんばるのジャングルを行くやんばるのジャングルを行く (c)MakotoAYANOUCI2.2クラスにカテゴライズされるチャンピオンレースには、今年は7つの海外チームと11の国内チームがエントリー。名護市内をスタートすると、隊列は本部半島を回り北部西側海岸線を北上し、与那から普久川ダムへの上りを経て辺戸岬を回る。そしてふたたび与那から普久川ダムへ上って一路東側海岸線のアップダウンの連続を南下、大浦から羽地ダムへ抜けてゴールの名護市内へ戻る210kmコースだ。

Jプロツアーチーム総合優勝を飾った宇都宮ブリッツェンJプロツアーチーム総合優勝を飾った宇都宮ブリッツェン photo:Hideaki TAKAGI2011年大会よりこのコースとなって以降、2011年と2012年は20人以上の集団ゴールスプリントで、そして昨年は10名による勝負で決着がついた。距離そのものは以前よりも10km以上長くなったが「源河の三段坂」よりもアタックが決まりにくい、一定勾配かつ見通しの良い羽地ダムの上りが独走を阻む大きな要素。今年は優勝賞金として100万円が、山岳賞とスプリント賞には5万円が懸けられており、それらを狙う動きから展開が生まれる可能性も高い。

ベンジャミン&エドワード・プラデス兄弟(マトリックスパワータグ)ベンジャミン&エドワード・プラデス兄弟(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki TAKAGI参加チームの中では、やはり今シーズンJプロツアーの核となったチーム右京や宇都宮ブリッツェン、マトリックスパワータグらが最も注目を集めるところだろう。2年連続でルビーレッドジャージを手にしたホセ・ビセンテ、ベンジャミン&エドワード・プラデス兄弟らの力は誰もが認めるところだろう。

ホセ・ビセンテ(スペイン、チーム右京)ホセ・ビセンテ(スペイン、チーム右京) photo:Satoru.KATOそして長年国内レースの中心的役割を担ってきた清水都貴(ブリヂストン・アンカー)にとってはこのおきなわがキャリア最後のレースとなる。清水は「チームの若い選手が頑張ってくれるので、僕は完走を(笑)。展開を読めるレースではないので、残った選手で狙うことになりますね。昨年は最後に初山が一人でしたが、今年は最後の集団に2人以上を残したいですね。」と言う。

もちろん清水のチームメイトで、昨年度のチャンピオンである初山翔も忘れてはならない存在だ。「コンディションは悪くありません。チームメイトが皆力を持っているので、どれだけ自分たちが有利になる展開を作っていけるかですね。チームの誰が勝ってもおかしくないし、2連覇を目指していきたいですね。」とコメントしている。

海外勢としてレースに臨むのはホンコン・チャイナ、オランダ南西選抜チーム、 ジャイアント・チャンピオンシステム、レテウム・デルフィン、チャイニーズ・タイペイ、RTS、そしてタイナショナルチーム。有名選手こそエントリーしていないが、実力が未知数だけに不気味な存在だ。また若手チームとして鹿屋体育大学とEQA・U23がエントリーリストにメンバーを揃えている。

ホビーレーサーの甲子園 市民210kmを制するのは誰?

ホビーレーサーの甲子園 市民210kmを制するのは誰か(写真は2012年大会)ホビーレーサーの甲子園 市民210kmを制するのは誰か(写真は2012年大会) (c)MakotoAYANO
UCIチャンピオンレースのほか、国内ホビーレーサーの頂点を決する市民210kmも目が離せない重要なレース。今年は2回の優勝歴を誇る高岡亮寛らイナーメ・信濃山形勢が市民210kmにエントリーし、まさに群雄割拠といった様相だ。

No.1ゼッケンをつけるのは昨年70kmに渡る独走劇を披露した清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)。ほかに原純一(KMCycle Ibex)、白石真悟(シマノドリンキング)など昨年の上位入賞者のほとんどが今年も再びスタートラインに並ぶ。優勝候補に数えられる強豪レーサーは数多く、その結果は予想がつきにくい。今年の最速ホビーレーサーの称号を勝ち取るのは誰か。

text:So.Isobe
photo:Hideaki.Takagi,So.Isobe