2010年にパリ〜トゥールのエスポワール(U23)レースで優勝したイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)が、レース序盤からの逃げメンバーであるトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)をスプリントで打破。UCIプロコンチーム所属の25歳が金星を飾った。



ロワール川を渡り、アンボワーズの街に差し掛かる逃げグループロワール川を渡り、アンボワーズの街に差し掛かる逃げグループ photo:A.S.O.
猟銃を抱えた観客がレースを見守る猟銃を抱えた観客がレースを見守る photo:A.S.O.秋色のロワール渓谷を行く秋色のロワール渓谷を行く photo:A.S.O.



曇り空のフランス中部を南下する曇り空のフランス中部を南下する photo:A.S.O.開始直後、4km地点で形成された5名の逃げグループの中にヴォクレールとワレイスの姿はあった。平坦基調の237.5kmコースで、ヴォクレールらのエスケープが始まる。遅れて2名が追いつき、先頭は7名でローテーションを組んだ。

逃げグループを率いるトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)逃げグループを率いるトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:A.S.O.先頭7名を警戒するジャイアント・シマノとFDJ.frがメイン集団の先頭に立ち、追い風基調の平坦路を高速で巡航。最大7分のタイム差はちょうどレース中間地点の補給ポイントで3分30秒に。その後も着々とタイム差は縮まり続ける。

逃げグループに入ったイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)逃げグループに入ったイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン) photo:A.S.O.残り62km地点のピム・リヒハルト(オランダ、ロット・ベリソル)とマーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)によるカウンターアタックは先頭に届かない。フィニッシュまで25kmを残してタイム差は1分40秒に。すると先頭ではヴォクレール、ワレンス、ケヴィン・ファンメルセン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)の3名が飛び出した。

タイム差がようやく1分を切ったところで始まったフィニッシュ手前のアップダウン。残り10km地点の「ボーソレイユ(400m/8%)」でヴォクレールがアタックするとファンメルセンが脱落する。一方のメイン集団ではセプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)のアタックを切っ掛けにジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を含む10名が飛び出す形に。

雨に濡れたウェットな街中コーナーで集団のペースは上がらず、先頭ヴォクレールとワレイスは30秒のリードを保ったまま続く「レパン(400m/6.3%)」をクリアする。デゲンコルブを含む追走グループはペースが上がらず、カウンターアタックを仕掛けたディラン・テウンス(ベルギー、BMCレーシング)を除いて後続集団に吸収された。

残り3kmを切ったところで一つに戻ったメイン集団はロット・ベリソルとガーミン・シャープ、ジャイアント・シマノのコントロール下に。飛び出していたテウンスは吸収され、残るはヴォクレールとワレイスのみ。しかしタイム差は思うように縮まらず、先頭2人の20秒のリードを与えたままフラムルージュに差し掛かった。



レパンの登りをこなすイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)レパンの登りをこなすイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:A.S.O.


ヴォクレールをスプリントで下したイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)ヴォクレールをスプリントで下したイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン) photo:Tim de Waele最終ストレートのグラモン大通りに入ったところでヴォクレールとワレイスが牽制開始。後方からはスプリンターチームを先頭にして大集団が迫り来る。構わず前を引き続けたヴォクレールが残り200mで腰を上げ、これにワレイスが反応する。勝負に向けて上手く力を貯めたワレイスのスプリントが伸びた。

12秒遅れの集団はイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)を先頭にフィニッシュ12秒遅れの集団はイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)を先頭にフィニッシュ photo:Tim de Waele2010年のパリ〜トゥール・エスポワールレースで優勝し、4年後のエリートレースで勝利したワレイスは25歳。2011年のプロ入り以降ベルギーレースを中心に成績を収めているが、メジャークラシックでの勝利はこれが初めて。

「キャリアで最も美しい勝利だ。残り3kmの時点で2人の闘いになると思った。登りでの彼のアタックを見て、スプリントになれば勝つチャンスがあると踏んでいた。スプリントで彼を追い抜いた瞬間は衝撃的だったよ」とワレイスは振り返る。「この勝利がUCIワールドチーム入りに繋がればと願っている。トップスポートフラーンデレンにはとても満足しているけど、トップチームにステップアップしたい。今日は自分の実力を示すことが出来て良かった」。

表彰台に登ったのは12秒遅れの集団スプリントで先頭を取ったイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)とワレイスの2人。連絡ミスによってヴォクレールは表彰式に出席せず。ヴォクレールには3,760ユーロ(約51万円)の賞金没収と200スイスフラン(約2万2500円)の罰金が科せられている。

残り20kmという悪いタイミングでパンクに見舞われた別府史之(トレックファクトリーレーシング)は集団から脱落。8分51秒遅れの集団でフィニッシュした。



表彰台に登るイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)表彰台に登るイェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:A.S.O.


パリ〜トゥール2014結果
1位 イェーレ・ワレイス(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)      5h26'18"
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
3位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)            +12"
4位 ロイ・ヤンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
5位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
6位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、ワンティ・グループグベルト)
7位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
8位 ピエールルック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)
9位 ギヨーム・ルヴァルレ(フランス、コフィディス)
10位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ベルキン)
104位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)            +8'51"

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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