2014年のUCIワールドツアー最終戦、ツアー・オブ・北京が10月10日に開幕する。開催4回目にしてフィナーレを迎えるアジア最大のステージレースにはアスタナを除くUCIプロチームが出場。ジャパンカップと連戦出場する選手も多いだけに、その結果には注目が集まる。



2年連続1級山岳の山頂フィニッシュが勝負の鍵 懸念される大気汚染や食物汚染

北京西部の山岳地帯を進むプロトン北京西部の山岳地帯を進むプロトン photo:Graham Watson/Tour of Beijing
ツアー・オブ・北京2014ツアー・オブ・北京2014 image:Tour of Beijing今年で開催4回目を迎えるツアー・オブ・北京は、アジアで唯一のUCIワールドツアーレース。2008年に開催された北京五輪の成功をもとに、UCIと北京市政府がパートナーシップを組んで2011年に初開催された。

ツアー・オブ・北京2014第4ステージツアー・オブ・北京2014第4ステージ image:Tour of Beijing今年も北京を中心に5日間の日程で行なわれる。なお、ツアー・オブ・北京は2014年大会をもって終了することが決まっており、2015年のUCIワールドツアーカレンダーにアジアレースは組み込まれていない。

第1回大会と第2回大会はいずれもトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)の支配に終わったが、第3回大会には1級山岳の山頂フィニッシュが初登場。今年も北京西部に位置する門頭溝(モントウコウ)の妙峰山(ミョウファンマウンテン)にフィニッシュする第4ステージで総合争いは決するだろう。妙峰山は標高1003m、登坂距離12.6km・平均勾配5.7%という本格的な登りだ。

最終日の第5ステージは、天安門広場をスタート後、北京五輪の際に使用された鳥の巣スタジアムを中心にした周回コースを回ってフィニッシュ。北京のど真ん中でレースは締めくくられる。

心配されるのは「最悪レベル」という深刻な大気汚染の影響。市民にマスク着用を呼びかけるほどの汚染された空気の中、選手たちは連日3〜5時間の有酸素運動を強いられる。さらに2013年大会に出場したマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)が汚染肉によって直後のジャパンカップでクレンブテロール陽性になるなど、汚染された食品の影響も懸念される。



ツアー・オブ・北京2014ステージリスト
10月10日(金)第1ステージ 崇礼(チョンリー)〜張家口(ヂャンジャーコウ) 167km
10月11日(土)第2ステージ 崇礼(チョンリー)〜延慶(イェンチン) 147.5km
10月12日(日)第3ステージ 延慶(イェンチン)〜千家店鎮(チャンディアジャン) 176km
10月13日(月)第4ステージ 延慶(イェンチン)〜門頭溝妙峰山(ミョウファンマウンテン)157km
10月14日(火)第5ステージ 天安門広場〜鳥の巣スタジアム 117km



シーズン最後の、そして北京最後のタイトルを手にするのは?

サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji出場するのはアスタナを除く17のUCIプロチーム。当初はUCIワールドツアーランキングのためにアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が出場予定だったが、ジロ・ディ・ロンバルディアで痛めた右膝が思わしくなく欠場。それに伴いランキング首位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)も出場を取り止めている。

2013年、総合優勝に輝いたベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)2013年、総合優勝に輝いたベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) photo:Graham Watson/Tour of Beijing2008年北京五輪ロードレースで金メダルを獲得したサムエル・サンチェス(スペイン)は強力なBMCレーシングを率いての出場。アメリカチームはティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)やフィリップ・ジルベール(ベルギー)らを揃えている。

2013年、最終ステージを制したルーカ・メスゲツ(スロベニア、当時アルゴス・シマノ)2013年、最終ステージを制したルーカ・メスゲツ(スロベニア、当時アルゴス・シマノ) photo:Graham Watson/Tour of Beijingディフェンディングチャンピオンのベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)はバルベルデに代わってスペインチームのエースを担う。直前のジロ・ディ・ロンバルディアを制したダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)や2013年大会総合3位のダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)、元世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)も優勝候補の一角だ。

コロンビアからはリゴベルト・ウラン(オメガファーマ・クイックステップ)やジュリアン・アレドンド(トレックファクトリーレーシング)、カルロスアルベルト・ベタンクール(AG2Rラモンディアール)らが出場。若手のワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)も総合上位に絡んでくるだろう。

平坦ステージではルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)をはじめとするスプリンターに注目。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)とベン・スウィフト(イギリス)、クリストファー・サットン(オーストラリア)を揃えるチームスカイや、サーシャ・モードロ(イタリア)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア)を揃えるランプレ・メリダ、そしてU23世界選手権2位のカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らに注目したい。

text:Kei Tsuji