コースプレゼンテーションで発表された2015年の第98回ジロ・デ・イタリア。全長59.2kmのタイムトライアルが設定されるなど、例年よりも山岳の比率が低いのが特徴だ。コースプレゼンテーションに出席した有力選手たちのコメントをお届けします。



コースプレゼンテーションに出席した選手たちコースプレゼンテーションに出席した選手たち photo:Tim de Waele


コース発表記事はこちら → 「長距離TTと7つの山頂フィニッシュ登場 リグーリアで開幕する第98回ジロ」

ジロ出場予定のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

プレゼンテーションでマイクを握るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)プレゼンテーションでマイクを握るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele可能であればジロとツールで総合優勝を狙う。グランツールで一勝するのも大変なのに、二勝なんて本当に大変だ。誰かに強要されているわけではなく、ダブルツールに挑戦したいという気持ちが強い。ダブルツールを狙うにあたり、シーズン序盤から慎重に準備を進めないといけない。キャリアにおける新たなチャレンジだ。厳しい闘いになることは間違いないけど挑戦したい。

2015年大会はこれまで走ったジロと少し趣きが違う。コースマップを見る限りとてもバランスの良いコースだ。ここ数年よりも少し難易度は低いと思う。ここまで長いタイムトライアルはジロにしては珍しい。決して得意とは言えないタイムトライアルの長さだけど、ライバルたちにとってもそれは同じ。7つの山頂フィニッシュがレースの行方を担う。ハチャメチャな斜度の登りは少ないけど、モルティローロなどの難関山岳が脚にダメージを与えるだろう。

2014年大会総合3位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

とても面白そうなコースだ。タフなコースがいくつもある。獲得標高差が3000mに達するリグーリア海岸の前半ステージやとても長いタイムトライアルが設定されているので、総合力のある選手に向いている。近年は(山岳とTTのどちらか一方に特化しない)総合的に強い選手が有利になっている。グランツールで勝つためにはタイムトライアルと山岳を上手くこなし、過酷な気象条件にも負けないタフさが必要なんだ。今年よりも成熟した走りでより良い結果を狙いたい。

ジロのスタートラインに並ぶのが今から楽しみだ。ヴィンチェンツォ(ニーバリ)との関係はとても良いけど、どのレースに誰が出場するかはチームが決めること。揃ってジロに出場することが出来れば素晴らしいし、イタリア自転車界にとってとても良いニュースになると思う。彼と一緒に走ることに何も問題は無いよ。おそらく11月のチームミーティングでレースプログラムがある程度形になると思う。

2014年大会総合2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)

グランツールの中でジロのコースが好きなんだ。ツール・ド・フランスのコース発表を待ってから、チームと相談してジロに出場するかどうかを決めたい。いつも通りジロのコースはハードだ。気象条件が大きなファクターになるだろう。先頭争いに加わることが何よりも大事で、また総合2位でレースを終えることが出来ればハッピーだ。今シーズンは大きなトラブルもなく走り切った。ツアー・オブ・北京を走ってからオフシーズンに入るよ。

来季コンタドールをアシストするイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)

ジロはいつだって特別な存在。イタリア人選手にとって夢の舞台なんだ。コースプレゼンテーションは毎年ワクワクする。まだコースをザッと見ただけなので何とも言えないけど、60km近いタイムトライアルが重要なのは間違いない。それ以外にも危険なステージは沢山有る。これからコースを細部まで研究しないといけない。

世界王者ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

ジロには良い思い出がある。2012年に初出場。自分にとって初めてのグランツールだった。そこで多くのことを学んだよ。コースマップを見ただけでは分からない過酷さがあって、プロフィールの細部にまで目を通す必要がある。コーナー毎にレース展開が変わるのがジロだ。例年より山岳の難易度が低いと言われているけど、2015年もクライマー向きのコースだと思う。2015年のレースプログラムが決まるのは数週間後。自分に何が出来るのかをチームと相談しながら目標を設定しない。全てはツール・ド・フランスのコース発表を見てからだね。

2015年1月に引退するカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)

過去の大会と比べるとバランスが取れていて、より人間的なジロだ。出場したいと思ってしまうほど。興味深いステージもあるし、家の前を通るステージもある。出場しないけどコースを下見しようと思う。2014年大会と比べると厳しい山岳は少ない。全長59.2kmのタイムトライアルが重要なタイム差を生み出すだろう。自転車競技からは多くのことを学んだ。思い出の詰まった年月を胸に、引退後もロードバイクに跨がって友人や家族とサイクリングを楽しみたい。

レースディレクターを務めるマウロ・ヴェーニ氏

過去20年間で最も移動距離が短い。南イタリアをパスしているという批判もあるが、20州全部を通過するのは不可能だ。現実的に13〜14州が限度。北イタリアで開幕と閉幕を迎えるためには仕方のない決断だった。1日でレースが決まるような過酷なステージは設定していない。毎日の積み重ねが総合成績に繋がる。1週目で獲得標高差10000mを登っている計算なので、下手すると2週目が始まった時点で3〜4分遅れている可能性だってある。難関山岳や"落とし穴"が多いので警戒感を解いてはいけない。

数字で見る第98回ジロ・デ・イタリア
1 - 国境を越える回数(スイス)
2 - 休息日の数
4 - リグーリアでの開幕回数
5 - 難関山岳ステージの数
7 - 平坦ステージの数
7 - 中級山岳ステージの数
7 - 山頂フィニッシュの数
29 - イタリア人以外の総合優勝回数
68 - イタリア人による総合優勝回数
76.8 - タイムトライアルの合計距離
136 - 最短ステージの距離
152 - ジーノ・バルタリに捧げるステージの距離
263 - 最長ステージの距離
1,854 - モンターニャパンターニに指定されたモルティローロ峠の標高
2,178 - チーマコッピに指定されたフィレストレ峠の標高
3,481 - 3週間の走行距離合計
43,000 - 3週間の獲得標高差

選手コメントはガゼッタ紙ならびに各チーム公式サイトより。


総合優勝者に与えられるトロフェオセンツァフィーネ総合優勝者に与えられるトロフェオセンツァフィーネ photo:Tim de Waele


text:Kei Tsuji