多くのプロ選手から絶大な支持を集めるイタリアのサドルメーカーの名門サンマルコ。「ロールス」「リーガル」「コンコールライト」といった名作を生み続けてきた同社が自身を持ってリリースした最新作が、ここに紹介する「マントラ」だ。果たして、マントラはどんな点が優れているのだろうか?

サンマルコ MANTRAサンマルコ MANTRA

長時間バイクに乗ると、「尿道が圧迫されてしびれる」「尻が痛くなる」「股ずれする」など、さまざまな問題が現れることがある。これらは一概にサドルだけに原因があるとも言えないのだが、多くの場合サドル選びにも問題があるようだ。

「サドルを交換したら、驚くほど楽になった」という話も多く聞くから、これらの症状が出たら、まずはサドルを交換してみるのが手っ取り早い解決法であると言えるだろう。そこでオススメしたいのが、ここに紹介するサンマルコの最新サドル「マントラ」だ。

マントラに満載された機能を、順を追ってご紹介しよう。まずは「ノーシャッフル」と名付けられたサドル先端付近の形状だ。サドル先端の側面形状を見直すことで、ペダリング時のサドルと内股との摩擦を85%も軽減しているのである。

かつてない大きな穴があくフォルムかつてない大きな穴があくフォルム 航空機を思わせるフォルム航空機を思わせるフォルム


また、コーナリングの際にも内股をサドルにしっかりと当てて、安定させることができるというメリットも持っている。この形状に関してはサンマルコ社が特許を取得しており、他社がマネをすることはできない。

サドル中央の穴に開いた長円形の穴は「アローヘッド」と呼ばれる。世の中に穴の開いたサドルは数多くあるが、このアローヘッドはライダーの乗車ポジションを解剖学に分析することにより、会陰部の痛みをやわらげ、長時間乗っても快適さが維持されるように設計されている。これもやはり、サンマルコ社の特許だ。

ベース素材は「C.F.R.P.(カーボンファイバー強化プラスチック)」製だ。プラスチック素材にカーボンを加えることにより強化しているのだが、意外にもプラスチックよりもしなりやすくなっている。そのため、乗り心地がよく、さらにベース形状も崩れにくく、さらに軽量で超寿命でもある。

ハートに見えるリアビューハートに見えるリアビュー 縦方向にボリュームのある形状がユニーク縦方向にボリュームのある形状がユニーク


「ビオフォーム」と名付けられたパッドは、ジェルの代わりに開発されたもの。ジェルよりも軽量で、高い耐久性を持っている。ペダリング中の骨盤の動きをサポートし、快適なペダリングを約束する。この「ビオフォーム」技術が確立されたことによって、サンマルコのサドルからはジェル入りモデルがなくなったほどの自信の技術だ。

表皮素材は「マイクロフィール」と呼ばれるもの。通気性が良い上に極めて摩耗に強いのが特徴だ。これまでサドルに最適とされてきた人工皮革・ロリカより5%軽量で、さらに35%も耐久性が高い。おまけに、マイクロフィールは環境にも優しく、廃棄時にも生態系に悪影響を与えないという。

レールの素材は「エクシライト」だレールの素材は「エクシライト」だ 「ノーシャッフル」と名付けられたサドル先端付近の形状「ノーシャッフル」と名付けられたサドル先端付近の形状


レールは「エクシライト」という最新素材からできている。エクシライトとはチタンををベースとしてカーボンやシリコンを混ぜ合わせた合金で、チタンよりも軽量高剛性にできる特徴がある。通常のチタンレールと同等の高強度・高耐久性を保ちながら、10%も軽量にできているというから驚きだ。

さて、それではさっそくインプレッションをお届けしよう!




― インプレッション ―


サンマルコ MANTRAサンマルコ MANTRA 「サドル選びに王道はない」というのが、私の根本的な考えだ。人の尻のカタチは千差万別。さらに乗り方やポジション、その日の体調などによってもサドルのフィーリングは変わってくる。

だから、いくつかのサドルを試して自分に最適なモデルを見つけるというのが、いちばん真っ当なサドル選びの方法であると思っている。

しかし、一人でいくつものサドルを購入するのは経済的な負担が大きいのも事実。そこで良い指標となるのが「世間での定評」だ。

多くのベテランライダーが選んでいるサドルを試してみれば。自分に合ったサドルの方向性がわかりやすいのではないかと思う。例えば、有名プロ選手が使っているサドルを見てみよう。最新の超軽量モデルを使っている選手ももちろんたくさんいるが、意外とクラシックなサドルを使い続けている選手が多いことに気づかされる。

サンマルコ MANTRAサンマルコ MANTRA サンマルコの超定番サドル「リーガル」などはトム・ボーネンやステイン・デヴォルデルなどが使い続けていることで有名だ。引退したマリオ・チポッリーニやヨハン・ムセーウもリーガルの信奉者だった。

同じくサンマルコの「コンコールライト」も多くの一流プロ選手に愛されている。有名なところではランス・アームストロングやパオロ・ベッティーニ、アルベルト・コンタドールなどがコンコールライトの愛用者として知られている。

このように1年で数万kmも乗るようなプロ選手がこだわって選ぶサドルには、やはり「選ばれる理由」があると思う。私もリーガルは大好きなサドルのひとつだ。今の軽量サドルと比べると少々重たいのだが、シッティングで回したときの安定感、長距離を乗っても尻が痛くならない快適性、長く使っても壊れない堅牢さは、圧倒的なアドバンテージだと思ってる。

さて、前置きが長くなったが、そんなプロ選手達にジワジワと人気を集めているのが。サンマルコの最新作「マントラ」だ。まず最初に使ってみて、その座り心地はリーガルに似ていると思った。しっかりと骨盤をサポートし、実にペダリングがしやすいのである。ドカッと座って、ずっとシッティングで乗りたい人にとって、これはなかなか良いサドルだと思った。

軽量なのに快適性がある軽量なのに快適性がある しかし、たった一日程度のインプレでは「ファーストインプレッション(第一印象)」しかわからない。そこで、代理店にお願いして、1ヶ月ほど使い続けてみた。その間には、東京~山中湖往復など、かなり長距離ライドも行ってみた。

結果、このサドルには、かなり惚れ込んでしまった。まずは月並みな意見なのだが、長距離を乗っても尻が痛くならないところが良い。これは骨盤の幅や形状などとの相性もあると思うのだが、「ビオフォーム」のおかげで、たいていの人にフィットするように思った。

どんなに優れたサドルでも、長時間のシッティングでは尿道が圧迫されるものだと思っていたが、このマントラではそれも心配いらない。

「アローヘッド」」は単なる穴ではない。しっかりとアナトミカルに解析されており、ちゃんとうたい文句通りの働きをしているのである。雨の日に後輪が跳ね上げた水がこの穴から尻へと入ってきたが、そんなことはこの快適さを考えると取るに足らぬことだ。

サンマルコのサドルはどれも股ずれを起こすことはないのだが、もちろんこのマントラも股ずれの心配は皆無だ。

何と言っても「ノーシャッフル」と呼ばれる先端側面の形状が採用されているのである。わざと脚をサドルにこすりつけてペダリングしても、股ずれを起こさせることは不可能だろう。それほどに、快適なペダリングを約束してくれる。

軽量オタク的観点から見ると、このサドルの軽さも大いに魅力だ。これだけの快適さが約束されていて、重量はわずか200gしかないのである。世の中に200gを切るサドルはいくつもあるが、それらはほとんどが座り心地を犠牲にしている。

持って軽いことにだけ満足を感じる人ならいざしらず、ガンガン乗る人にとってはマントラこそが最軽量サドルであると言えるかもしれない。

サイドからも目立つ個性的なデザインサイドからも目立つ個性的なデザイン

エントリーグレードの完成車についているサドルは、比較的クッションが多く入ったコンフォート系のものが多い。しかし、クッションが多く入っているからといって、必ずしも長距離を楽に乗れるというものではない。尻がしっかりと落ち着いてこそ、スムースなペダリングが可能となるからだ。また、あまりクッションの多いサドルは、逆に股ずれも起こしやすいのも事実。サドル選びに悩んだ時には、まずはマントラを試してみてはいかがだろうか?

サンマルコ MANTRA
サドル幅  135mm
サドル長  290mm
重量    200g
レール素材 エクシライト
カラー ブラック、ホワイト、イエロー、レッド
価格 25,000円
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