1995年に初開催され、20シーズン目を迎える関西シクロクロスが開幕した。年々参加者数を増やし、日本のシクロクロス界を牽引する全10戦の老舗シリーズ。開幕を告げるプロローグで全日本チャンピオンの竹之内悠(ベランクラシックドルチーニ)が参加者全員を周回遅れにする圧倒的な走りを披露した。



40分間のエリートがスタート40分間のエリートがスタート photo:Kei Tsuji


「今期で20シーズン目を迎えることになりました。シクロクロスの盛り上がりに伴い、大会規模の拡大や運営に対する質の向上、大会のグレードアップを年々進めていく必要があります」と、大会オーガナイザーの矢野淳さんは話す。国内シクロクロスの盛り上がりは関西シクロクロスの過去5シーズンの参加者(エントリー)数を見ると明らか。この5年間で参加者が倍増していることが分かる。昨シーズンの最終戦桂川は812名のエントリーを集めた。

関西シクロクロス参加者数(数字は延べ)
2009-2010年シーズン 3,395名
2010-2011年シーズン 4,137名
2011-2012年シーズン 4,675名
2012-2013年シーズン 5,569名
2013-2014年シーズン 6,473名(1大会最多は桂川:812名)

エリート 最前列に並ぶ竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)らエリート 最前列に並ぶ竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)ら photo:Kei Tsujiそんな盛り上がりを歓迎する一方で、会場のキャパシティやスケジュールのタイトさなどに頭を悩ます必要も。参加者の増加に対応するため今シーズンも様々な試みを行なう。

河川敷コースは砂埃に包まれる河川敷コースは砂埃に包まれる photo:Kei Tsuji「一日のキャパシティをこれ以上増やせないので、参加者の増加にどう応えていくか試行錯誤しています。試行的に、第6戦くろんど池と第7戦烏丸半島では一部のカテゴリーを土曜日にも行ないます。我々はボランティア集団なので、設営が一日前倒しになることと土曜日にスタッフを集めることが課題ですが、試しに2日間レースを行ないます」と矢野さん。

次々に選手たちを周回遅れにする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)次々に選手たちを周回遅れにする竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ) photo:Kei Tsuji「11月にマキノで行なわれるUCIレースを関西シクロクロスから独立させ、日曜日にUCIレース、月曜日に関西シクロクロスを行なうことになりました。昨シーズンの全日本選手権で使えなかったフライオーバー(立体交差)を板で覆って使えるようにします。今シーズンは新たに岬町が加わり、昨シーズン台風や花火の事故で自粛した由良川が復活。関西シクロクロスは1995年12月の最初の日曜日に福知山市の三段池公園で始まったので、20年目の今年、同じ12月最初の日曜日、同じ福知山の由良川で行ないます」。

関西シクロクロスではC3とC4が明確に分けられており、他のシリーズ戦でC3に出場している選手は関西のC4からのスタートとなる。

「不公平と言う意見もあるのですが、C3だけで130名前後の方がいる。カテゴリーをピラミッド型にしたいと思っています。近い将来、他のシリーズでもC4を採用せざるを得ない状況になるはずで、足並みを揃えて移行していければと思います」と、老舗シクロクロスを率いる矢野さんは語る。

第1戦は10月26日のビワコマイアミランドで、2月1日の最終戦桂川まで全10戦を開催予定だ。



関西シクロクロス2014-2015シーズン
9月28日 プロローグ 京都府南山城村 大河原河川敷
10月26日 第1戦 滋賀県野洲市 ビワコマイアミランド
11月9日 第2戦 大阪府岬町 岬町せんなん里海公園
11月16日 第3戦 京都府南丹市 スチールの森京都(旧府民の森ひよし)
11月23日 UCI-C2 滋賀県高島市 マキノ高原
11月24日 第4戦 滋賀県高島市 マキノ高原
12月7日 第5戦 京都府福知山市 由良川河川敷
12月20日〜21日 第6戦 奈良県生駒市 くろんど池
12月27日〜28日 第7戦 滋賀県草津市 烏丸半島
1月11日 第8戦 滋賀県野洲市 希望が丘文化公園
1月18日 第9戦 大阪府堺市 みなと堺グリーン広場
2月1日 第10戦 京都府京都市 桂川緑地久我橋東詰公園



砂セクションを駆け抜ける竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)砂セクションを駆け抜ける竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ) photo:Kei Tsuji


エリート2位 久保伸次(岩井商会レーシング)エリート2位 久保伸次(岩井商会レーシング) photo:Kei Tsuji9月28日に京都府南部の南山城村で行なわれたプロローグはAJOCC登録レースではなく、昇格と降格の対象にはならない。周回も規定よりも短い1.1kmで、カテゴリーもエリート40分(C1&C2相当)、マスター30分(CM1&CM2相当)、スポーツ30分(C3&C4相当)、レディース30分(CL1&CL2相当)と簡略されたもの。いわば本格的なシーズン開幕前の足慣らしで、新機材をテストする選手も多い。

エリート3位 水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT)エリート3位 水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT) photo:Kei Tsuji60分間ではなく40分間で行なわれたエリートには、ベルギーから帰国した竹之内悠(ベランクラシックドルチーニ)が出場。2周目に猛烈にペースを上げた竹之内は他の参加者27名を全員ラップしてフィニッシュした。

「毎回思うのですが、やはりシクロクロスはしんどいですね」とシーズン初戦を終えた竹之内は笑う。例年よりも早めに切り上げて帰国した竹之内は「ロードシーズンはリズムに乗れず、自分の走りが出来ない焦りと不安がありました。膝の問題も抱えていたので、悔しいですけど一旦日本に帰ってリセットしてシクロクロスに向けて出来ることをやろうと、8月中旬の時点で帰国を決めました」と語る。

翌週にはまたベルギーに戻ってシクロクロスレースを転戦する。「今年はロード選手ではなくシクロクロス選手としてチーム登録しているので、トラックやキャンパーなどシクロクロスに集中出来る環境が整いました。初戦は10月12日のbpost bank trofeeで、翌週のUCIワールドカップにも出場。1クラスのレースが続き、11月下旬にまた帰国します。気を引き締めて良いシーズンにしたい」と、故郷とも言える関西シクロクロスで動き出した竹之内は語った。



エリート優勝 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)エリート優勝 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ) photo:Kei Tsujiエリート表彰台 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が優勝エリート表彰台 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)が優勝 photo:Kei Tsuji
マスター 優勝の南條太郎(チームアラヤ)マスター 優勝の南條太郎(チームアラヤ) photo:Kei Tsujiシングルスピード 優勝した藪内靖弘シングルスピード 優勝した藪内靖弘 photo:Kei Tsuji
90分耐久レースで優勝したソロ参加の福田透(ナカガワAsK'デザイン)90分耐久レースで優勝したソロ参加の福田透(ナカガワAsK'デザイン) photo:Kei Tsujiレディース 優勝した鹿取裕子(エスキーナレーシング)レディース 優勝した鹿取裕子(エスキーナレーシング) photo:Kei Tsuji

その他の写真はフォトギャラリーにて。



エリート
1位 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)   41'00"
2位 久保伸次(岩井商会レーシング)        -1Lap
3位 水谷拓也(BUCYO COFFEE CLT) 
4位 野島遊(cycle☆Lover's) 
5位 平尾浩一(662-496部) 
6位 松村孝一  
7位 石山幸風(エスキーナレーシング) 
8位 田口純也(662-496部)
9位 日比正明(ホネつき数珠`Sは劇団です) 
10位 金森修一(パナソニック) 

マスター
1位 南條太郎(チームアラヤ)          27'19"
2位 竹本知博(Golosa)              +06"
3位 倉橋孝太郎(チーム泥んこプロレス)      +07"
4位 佐藤貴徳                   +36"
5位 相良晶一(CーWASP)            +55"

スポーツ
1位 大西徹郎                  28'10"
2位 小倉隆志(SKRK CX)            +20"
3位 橋本寛記(グランデパール播磨)        +28"
4位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)      +55"
5位 辻寛(エスキーナレーシング)         +56"

レディース&ユース
1位 鹿取裕子(エスキーナレーシング)      30'51"
2位 藤野直美(Teamまんま)           +1'19"
3位 守屋洸希                  +1'22"
4位 新田さおり(662-496部)           +2'08"
5位 才村裕(EURO WORKS Club-La.sista)   +2'49"

キッズ
1位 堀池野吹(CHARGE CYCLING CLUB)  7'38"
2位 佐藤雄大(チームyyy)           +50"
3位 堀池風吹(CHARGE CYCLING CLUB)  +1'02"

シングルスピード
1位 藪内靖弘                  28'10"
2位 佐野光宏                   +11"
3位 腰山雅大(PLAYDESIGN)          +12"
4位 一色寛之                  +1'13"
5位 吉廣創                   +2'33"

90分耐久
1位 福田透(ナカガワAsK'デザイン)      1h30'08"
2位 CHARGE CYCLING CLUB         +11"
3位 中川隆司(つうばいつうR)          +39"
4位 KUCC                   +1'31"
5位 C-WASP                  +1'48"
6位 Team Speed                +2'09"
7位 佐藤貴徳                  +2'15"
8位 Team スクアドラ カラチョコ        +2'16"
9位 RITCHEY BREZZAカミハギRT        +2'24"
10位 泥プロGolosa               +2'35"

text&photo:Kei Tsuji

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