9月21日から28日まで、スペイン・ポンフェラーダを舞台にロード世界選手権が開催される。男女全カテゴリー合わせて12レースが繰り広げられ、日本からは合計11名が出場する。



ブエルタの熱気を残すスペインで開催

エリート男子個人タイムトライアルエリート男子個人タイムトライアル photo:www.mundialciclismoponferrada.comスペイン北西部、カスティーリャ・イ・レオン州の中でもガリシア州に近い山間部にポンフェラーダはある。人口7万人の地方都市が第87回ロード世界選手権の舞台となる。

開催されるのはチームタイムトライアル、個人タイムトライアル、ロードレースの三種目。個人タイムトライアルとロードレースはそれぞれ男女ジュニア、男子U23、男女エリートの5カテゴリー行なわれる。

全カテゴリーともにポンフェラーダ市内のアストゥリアス通りをスタートし、同地点にフィニッシュする。短い登りが設定されているものの、タイムトライアルのコースはいずれも平坦基調。エリート男子の47.1kmコースは中盤までフラットな幹線道路で、後半にかけてアップダウン(ロードレースと共通)を繰り返す。獲得標高差は458mだ。

ロードレースで使用されるのは18.2kmの周回コースだ。ポンフェラーダ市内と北部の山岳を結ぶ周回コースには登りが2カ所設定されており、最大勾配は11%。中盤にかけてバルセナ貯水池のダムサイトを通過する。

最後の登り「ミラドール」の頂上はフィニッシュラインの4.7km手前に位置。1周につき306m登るこの周回コースを、ジュニア女子は4周、ジュニア男子とエリート女子は7周、U23は10周、そしてエリート男子は14周する。つまりエリート男子は全長254.8km/獲得標高差4,284mで争われる。

エリート男子ロードレースエリート男子ロードレース photo:www.mundialciclismoponferrada.com


ロード世界選手権2014スケジュール(出場する日本人選手)
9月21日(日)エリート女子・チームタイムトライアル 36.15km/198m
       エリート男子・チームタイムトライアル 57.10km/386m
9月22日(月)ジュニア女子・個人タイムトライアル 13.90km/125m(坂口・梶原)
       U23男子・個人タイムトライアル 36.15km/198m
9月23日(火)ジュニア男子・個人タイムトライアル 29.50km/172m(草場)
       エリート女子・個人タイムトライアル 29.50km/172m(萩原・與那嶺)
9月24日(水)エリート男子・個人タイムトライアル 47.10km/458m

9月26日(金)ジュニア女子・ロードレース 72.80km/1,224m(坂口・梶原)
       U23男子・ロードレース 182.00km/3,060m
9月27日(土)ジュニア男子・ロードレース 127.40km/2,142m(石上・孫崎・松本・草場)
       エリート女子・ロードレース 127.40km/2,142m(萩原・與那嶺)
9月28日(日)エリート男子・ロードレース 254.80km/4,284m(新城・土井・清水)



カテゴリー別レースプレビュー
エリート男子/エリート女子チームタイムトライアル 9月21日(日)


昨年トップタイムで大会連覇を果たしたオメガファーマ・クイックステップ昨年トップタイムで大会連覇を果たしたオメガファーマ・クイックステップ photo:Kei Tsuji/TDWsport世界選手権はいわゆる国対抗戦。どの選手もナショナルジャージを着て出場するのが通例だが、チームタイムトライアルに限り、出場権を得たUCIチーム(世界選手権ではトレードチームと呼ばれる)によるチーム戦。通常のチームジャージを着用して争われる。

ブエルタ初日のチームTTで優勝したモビスターブエルタ初日のチームTTで優勝したモビスター photo:Tim de Waele出場するのは全てのUCIプロチームに加えて、各UCIコンチネンタルサーキットの上位チーム(ヨーロッパのトップ20、アジアとアメリカのトップ5、アフリアとオセアニアのトップチーム)。各チーム6名ずつの出場で、エリート男子は57.10km、エリート女子は36.15kmを駆ける。

世界選手権ではあるがアルカンシェルは設定されていない。代わりに出場選手とチームマネージャーにはメダルが贈られ、優勝チームは世界チャンピオンを示すロゴを1年間チームジャージに配することが出来る。

トニ・マルティン(ドイツ)やミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)を揃えるオメガファーマ・クイックステップが今年も優勝候補の筆頭だ。ベルギーチームの大会3連覇を阻止すべく、昨年2位のオリカ・グリーンエッジやチームスカイ、トレックファクトリーレーシングが優勝争いに絡んでくるだろう。ブエルタのチームTTを制したスペインのモビスターにも注目だ。エリート女子は現在スペシャライズド・ルルレモンが3連覇中。今年もラボ・リブと一騎打ちを繰り広げるはずだ。

ジュニア女子個人タイムトライアル 9月22日(月)

1995年に初開催されたジュニア女子個人タイムトライアル。昨年はセヴリーヌ・エロー(フランス)が優勝した。近年オーストラリアなど新興国の台頭が目覚ましい一方で、地元スペインは1997年に3位を獲得した以外表彰台には一度も登っていない。日本からは坂口聖香(日本体育大学)と梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)がエントリーしている。

U23男子個人タイムトライアル 9月22日(月)

U23男子個人タイムトライアルの初開催は1996年。コースはエリート男子チームタイムトライアルと共通の36.15kmコースだ。同カテゴリーで最多11個のメダルを獲得しているのはオーストラリアで、過去6年間は必ずオージー選手が表彰台に登っている。昨年優勝したダミアン・ハウソン(オーストラリア)がオリカ・グリーンエッジ入りしたように、ここで結果を残した選手が翌年プロ入りするのが通例となっている。

ジュニア男子個人タイムトライアル 9月23日(火)

過去の優勝者リストにファビアン・カンチェラーラ(スイス)やマルセル・キッテル(ドイツ)の名前が並ぶジュニア男子個人タイムトライアル。事実として、ここで優勝した選手が5〜6年後にはエリートのトップ争いに絡んでいる。昨年はイゴール・デクラーン(ベルギー)が優勝。日本からは全日本選手権個人タイムトライアル2位の草場啓吾(北桑田高校)がエントリーしている。

エリート女子個人タイムトライアル 9月23日(火)

午前中のジュニア男子と共通の29.50kmコースで争われるエリート女子個人タイムトライアル。近年上位を独占していたドイツやアメリカを押さえて、昨年はエレン・ファンダイク(オランダ)が優勝した。5年連続で表彰台に登っているリンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド)は雪辱なるか。日本からは萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)と與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)がエントリーしている。

昨年大会連覇を達成したトニ・マルティン(ドイツ)昨年大会連覇を達成したトニ・マルティン(ドイツ) photo:TDWsport/Kei Tsujiエリート男子個人タイムトライアル 9月24日(水)

世界最速を決めるエリート男子個人タイムトライアルは全長47.10km、獲得標高差458mのコースで争われる。優勝候補の筆頭はもちろん現在大会3連覇中のトニ・マルティン(ドイツ)。ブエルタの個人タイムトライアルでも優勝し、コンディションは整っている。

過去に4度優勝に輝いているファビアン・カンチェラーラ(スイス)はロードレースに集中するためタイムトライアルを欠場する。マルティン最大のライバルはブラドレー・ウィギンズ(イギリス)だ。なお、日本からのエントリーは無い。



ジュニア女子ロードレース 9月26日(金)

ポンフェラーダを発着する18.2kmの周回コースを4周する72.80km/1,224mで争われるジュニア女子ロードレース。これまでオランダが5回、イギリスが4回優勝に輝いているが、近年は北欧出身選手の活躍が目立つ。昨年はアマリー・ディデリクセン(デンマーク)が優勝。タイムトライアル同様、坂口聖香(日本体育大学)と梶原悠未(筑波大学附属坂戸高校)が出場する。

U23男子ロードレース 9月26日(金)

新興国の活躍が顕著に現れるU23男子ロードレース。昨年はスロベニア、南アフリカ、ノルウェーが伝統国を駆逐して表彰台に登った。昨年優勝したマテイ・モホリッチ(スロベニア)はその後キャノンデールでプロデビューしている。近年フランスが盛り返している一方で、最多4回の優勝を果たしているイタリアは過去11年間表彰台に登れていない。地元スペインは優勝未経験だ。

ジュニア男子ロードレース 9月27日(土)

日本から石上優大(横浜高校)、孫崎大樹(北桑田高校)、松本祐典(明治大学)、草場啓吾(北桑田高校)の4名が出場するジュニア男子ロードレースは、18.2km周回コースを7周する全長127.40km/2,142mで行なわれる。昨年優勝したマテュー・ファンデルポール(オランダ)はU23カテゴリーへ。スペインは20年ぶりのタイトルを目指す。

エリート女子ロードレース 9月27日(土)

エリート女子ロードレースのコースはジュニア男子と共通。ポンフェラーダ周回コースを7周する。2007年から続いた5年連続2位を脱して2012年に初優勝し、昨年大会連覇を果たしたマリアンヌ・フォス(オランダ)が優勝候補の筆頭。日本からは萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)と與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が出場する。

昨年ゴールスプリントを繰り広げたホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル)昨年ゴールスプリントを繰り広げたホアキン・ロドリゲス(スペイン)とルイ・コスタ(ポルトガル) photo:TDWsport/Kei Tsujiエリート男子ロードレース 9月28日(日)

直前のカナダレースで連勝したサイモン・ゲランス(オーストラリア)直前のカナダレースで連勝したサイモン・ゲランス(オーストラリア) photo:gpcqm.ca世界選手権の最後を飾るのがエリート男子ロードレース。世界一を決める舞台として全長254.8km/獲得標高差4,284mのコースが用意された。直前のGPケベックとGPモントリオールで調子の良さを見せた新城幸也(ユーロップカー)と土井雪広(チーム右京)、清水都貴(ブリヂストンアンカー)の3名が勝負に挑む。

毎年のように表彰台に登りながらも、過去9年間優勝から遠ざかっている開催国スペインは2年連続3位のアレハンドロ・バルベルデをエースに立てる。イタリアはツール覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ、オーストラリアはカナダで連勝を飾ったサイモン・ゲランス、最多26勝しているベルギーはフレフ・ファンアフェルマートを中心に闘うだろう。

もちろんディフェンディングチャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル)も忘れてはいけない存在だ。個人TTを欠場したロードレースに集中するファビアン・カンチェラーラ(スイス)やペーター・サガン(スロバキア)、トニー・ギャロパン(フランス)、トム・ドゥムラン(オランダ)、ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア)ら役者は揃った。

text:Kei Tsuji

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