ツアー・オブ・ブリテン第6ステージで総合成績に変動をもたらす大逃げが決まった。歓喜のステージ2連勝を飾ったのはマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)。「人生で一番キツい一日」の最後にアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)がリーダージャージを獲得した。



バースのロイヤルクレッセント前をスタートバースのロイヤルクレッセント前をスタート photo:www.tourofbritain.co.uk


ツアー・オブ・ブリテン2014第6ステージツアー・オブ・ブリテン2014第6ステージ photo:www.tourofbritain.co.uk第6ステージはバースからヘメル・ヘンプステッドまでの205km。大きな山岳は登場しないが、終盤にかけて小刻みなアップダウンを繰り返す。前日にステージ優勝を挙げたばかりのマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)とアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)、トーマス・スチュアート(イギリス、マディソンジェネシス)の3人がコースに飛び出した。

逃げるアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)ら3名逃げるアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)ら3名 photo:www.tourofbritain.co.uk逃げに乗ったダウセットはスタートの時点で総合21位・1分25秒遅れ。総合で危険な存在であるにも関わらずフィニッシュまで82kmを残した地点でタイム差は最大9分15秒をマークする。リーダージャージ擁するオメガファーマ・クイックステップが集団牽引を本格化させたがタイム差はあまりにも大きかった。

オメガファーマ・クイックステップが牽引するメイン集団オメガファーマ・クイックステップが牽引するメイン集団 photo:www.tourofbritain.co.ukマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)までローテーションに加わる積極的な集団牽引。チームスカイが力を貸したものの先頭3名もペースを上げて対抗する。タイム差2分が縮まらず、最終的に1分51秒差で3人の逃げ切りが決まった。

懸命に逃げ続けるアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)ら懸命に逃げ続けるアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)ら photo:www.tourofbritain.co.uk2日連続エスケープのブランドルがステージ優勝を飾り、1秒差でフィニッシュしたダウセットが総合首位に浮上。大逃げがイギリスレースの総合成績に変動をもたらした。

逃げ切りを成功させたダウセットは「キャリアの中で一番調子が良い状態と言っていいけど、それでも人生で一番キツい一日だった。一日中ずっと向かい風が吹いていた。日曜日の個人TTを見据えて力を出し切らないように走っていたものの、タイム差が9分を超えたところで気持ちを切り替えた」とコメントする。

「マティアス(ブランドル)と話をして、逃げ切れば彼がステージ優勝、僕が総合リーダージャージを獲得することに同意して協力を開始。リスキーだったけど、彼もトーマス(スチュアート)も全力で協力してくれたんだ。彼らと一緒じゃなければ逃げ切れていなかっただろう。あと、彼のチームカー(マディソンジェネシス)でハンドルを握っていたロジャー・ハモンドが地元ならではの的確なアドバイスを逐一入れてくれた。彼らには本当に感謝しているよ」と新総合リーダーは逃げメンバーに感謝する。

第6ステージを終えて総合1位ダウセットと総合2位ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)の総合タイム差は34秒。「今は出来る限りリカバリーして明日からの闘いに備えたい。間違いなくクヴィアトコウスキーが総合におけるライバルになる」とダウセット。総合優勝を決めるのは最終日の午前中に行なわれるロンドン個人タイムトライアルだ。

選手コメントはレース公式サイトより。



2日連続で逃げ切ったマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)2日連続で逃げ切ったマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング) photo:www.tourofbritain.co.uk
リーダージャージを獲得したアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)リーダージャージを獲得したアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター) photo:www.tourofbritain.co.uk


ツアー・オブ・ブリテン2014第6ステージ結果
1位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)           4h44'49"
2位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)                  +01"
3位 トーマス・スチュアート(イギリス、マディソンジェネシス)
4位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)              +1'51"
5位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
6位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
7位 マーティン・コーラー(スイス、BMCレーシング)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)
10位 トム・フィーラース(オランダ、ジャイアント・シマノ)

個人総合成績
1位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)               25h07'53"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)  +34"
3位 エドアルド・ザルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)            +40"
4位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)             +50"
5位 ディラン・テウンス(ベルギー、BMCレーシング)                 +51"
6位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)                   +1'00"
7位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)               +1'02"
8位 ダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)                +1'04"
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)         +1'06"
10位 セバスティアン・レイヘンバッハ(スイス、IAMサイクリング)

ポイント賞
ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)

山岳賞
マーク・マクナリー(イギリス、アンポスト・チェーンリアクション)

チーム総合成績
IAMサイクリング

text:Kei Tsuji
photo:www.tourofbritain.co.uk

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