国内唯一のラインステージレースのツール・ド・北海道。今年は帯広を中心とした道東で9月13日から3日間3ステージで行われる。山岳の少ない今年の北海道。久しぶりにボーナスタイムの争いとなるか。



第3ステージ フィニッシュまで37.4kmは一直線第3ステージ フィニッシュまで37.4kmは一直線 photo:Hideaki TAKAGI
第28回目となる今年のツール・ド・北海道(UCI2.2)は道央、道東地域を中心に3日間3ステージ計543km、20チーム各5名合計100名の選手で行なわれる。

今年のコースの特徴は山岳が少ないこと。コースの起伏で大きなレース展開が決まるのではなく、選手たち自身の動きによって展開が決まるのが全3ステージの特徴だ。多くの場合は秒差の争いとなり、ホットスポットでのボーナスタイムの獲得にも興味が移る。しかしながら展開によってはレースを決定付けるポイントが各ステージにあり、積極的なレースが展開されるならば、決定的なタイム差が少人数グループで付く可能性がある。

そして3ステージともにフィニッシュは平坦でのゴールスプリント。これが大集団によるものか、少人数あるいは単独でのフィニッシュかはまさに展開次第。5年ほど前までは山岳を含んでも秒差の争いだった北海道。しかしここ数年はコースや展開により大きな差が生まれていた。今年がふたたび秒差の争いとなるのか、注目される。

第1ステージ 9月13日(土)194km、千歳市~新得町

第1ステージ狩勝峠。ここからフィニッシュまで18kmの下り第1ステージ狩勝峠。ここからフィニッシュまで18kmの下り photo:Hideaki TAKAGI今大会の最長ステージは標高差を稼ぐ大きな上りが配される。KOMである日高峠と狩勝(かりかち)峠は北海道らしい緩やかで直線状の上りが長く続き、ラスト2kmほどからは6、7%程度のようやく峠らしい勾配になる。日高峠で集団が分かれてもその後が長く、集団はまとまる可能性が高い。

フィニッシュまで18km地点に設定される2つ目のKOMの狩勝峠の上りと下りがポイントだろう。上りは勾配が緩くともゴール地点を目指してのアタックは必ずかかる。そして序盤こそワインディングだがその後は踏み続けなければならない直線状の下り区間。パワーのあるTTに強いタイプの選手を含む数人が抜け出すと逃げ切る可能性がある。

第2ステージ 9月14日(日)183km、幕別町~幕別町

十勝平野を巡る平坦ステージ。雄大な田園地帯、牧草地帯を走りぬけ、日高山脈や太平洋がコースから望むことができる。中盤までコースに少しの起伏はあるが逃げグループとメイン集団がレースを進める展開だろう。

フィニッシュに向かう終盤にかけては細かなアップダウンが続く丘陵地帯。上り後も下らず平坦な箇所もあり、アタックは必ずかかる。フィニッシュまで20kmほどの距離を残し、抜け出した小集団が逃げ切れるかどうかという展開の可能性も。プロフィールマップ上では単なる平坦コースに見えるが、展開次第では絶対的なタイム差が生まれる可能性のあるのがこの第2ステージだ。

第2ステージ晩成温泉へ向かう第2ステージ晩成温泉へ向かう photo:Hideaki TAKAGI第2ステージ 大樹町晩成から太平洋を望む第2ステージ 大樹町晩成から太平洋を望む photo:Hideaki TAKAGI

第3ステージ 9月15日(月)166km、帯広市~音更町

最終表彰式  同15時00分、音更町希望が丘運動公園特設会場

中盤に2つのKOMが控え、序盤と後半が平坦のステージ。とくにフィニッシュまで37kmが、緩い下りから平坦で遠く先までが見通せるほとんど一直線の道路。個人総合、ステージ、各賞ジャージそしてUCIポイント獲得など諸々の思惑が交錯する最終ステージ。多くの場合ゴール地点までにすべての逃げは吸収され集団ゴールとなるだろう。

37.4km地点のKOMは小さいものの十分な勾配があり集団は分断されるがそののちに集団は再編されるだろう。2つ目のKOMは緩やかな勾配が続きKOMまで1.5kmくらいが6、7%程度の勾配があり差が付く区間。そしてこのステージのポイントはフィニッシュまで36.7km地点にあるピーク。直線状に上って下るが、ここでのアタックがフィニッシュまで差を保てるかどうかが見もの。平坦コースでは強力な逃げが決まると二度と復帰できないのが常。個人総合優勝をかけたリーダーチームと、それを攻撃するチームの動きが注目される。

第3ステージのミルクロード周辺には羊や牛が第3ステージのミルクロード周辺には羊や牛が photo:Hideaki TAKAGI第3ステージフィニッシュ直前に上りがある第3ステージフィニッシュ直前に上りがある photo:Hideaki TAKAGI

各ステージごとのHS、KOMは

ボーナスタイムは中間にあるHS(ホットスポット)で3秒2秒1秒で、各ステージ1箇所ずつ。ゴールは各ステージ10秒6秒4秒。いっぽう山岳賞(KOM)は山岳ポイントのみで第1ステージ2箇所、第2ステージ1箇所、第3ステージ2箇所。

公道も使う市民ステージレースが同時開催

市民レースも同日程で行われる。第1ステージは帯広市十勝川河川敷での1.8kmタイムトライアル。第2ステージはUCIレースコースの一部を使う137kmと90kmの2種類が設定、いずれも幕別町がスタート・フィニッシュ地点。第3ステージは札幌市モエレ沼での22kmクリテリウム。UCIレースと同様に、各ステージ表彰と3ステージ総合での表彰がある。

見どころチーム・選手編は、9月12日のライセンスコントロール後に出走リストが確定されてからお届けします。

photo&text:Hideaki TAKAGI

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