実力派4名による逃げ切りが決まったブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ。逃げメンバーの主役アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)やライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)らのコメントを紹介します。



ステージ優勝を果たしたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)

チョップと先行するアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)チョップと先行するアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール) photo:Tim de Waeleこの成功に至るまで、数えきれないほどアタックしてきた。いつもステージ優勝に届かなかった。初出場のブエルタでステージ初優勝することは運命だったのかも知れない。今日は全てが完璧に動いた。幸せな気持ちに包まれているよ。

独走でフィニッシュに飛び込むアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)独走でフィニッシュに飛び込むアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール) photo:Tim de Waele集団にいつ捕まえられるのか気が気じゃなかった。決してタイム差は大きくなかったけど、残り12kmからフィニッシュまで登りが続いたので、僕にチャンスがあると思っていたよ。落車したヘシェダルには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。それまで彼と僕の2人が逃げグループをリードしていたから。前を引く時間も他の2人より長かったと思う。だから彼とステージ優勝を争うことになると予想していたんだ。彼が落車した時、ペースを落としてしばらく待った。でもそれ以上は待てなかった。ステージ優勝を逃すわけにはいかなかった。

(月曜日に亡くなった元イタリア代表監督の)アルフレード・マルティーニのために天を指差した。彼はイタリア自転車界の重鎮で、多くの逸話を聞いていたし、実際に短いながらも話す機会もあった。残り数キロを走りながら、今年のブエルタ最初のイタリア人による勝利は彼に捧げるべきだと思ったんだ。

シャンゼリゼで総合敢闘賞を受け取るのとこのステージ優勝のどちらが良いかって?すごく難しい質問だ。でも仮にもう一度2014年のツールを走るチャンスがあったとしても、ステージ優勝に届かないのが運命であり、パリで表彰を受けることが勝利のようなものだった。ツールの総合敢闘賞と今回の勝利を同じレベルの功績と捉えている。

来シーズン別のチーム(BMCレーシング)と契約済みなので、冷静に走ることが出来ている。世界選手権に向けて日々コンディションを上げたいという思いを胸に、プレッシャーを感じることなくブエルタに出場している。ロードレースには予知不能なことばかりある。ステージ優勝に向けて何度もアタックすることが自分の運命。チームが変わっても、キャプテンに仕える役目は変わらない。今はまだキャノンデールの選手なので、移籍先チームの名前は挙げたくない。

落車でチャンスを失ったライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)

肩を落としてフィニッシュするライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)肩を落としてフィニッシュするライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waele何故落車したのか分からない。いくつもの街を抜ける曲がりくねったコースで、ずっと協調体制を崩さず快適に逃げていたんだ。数メートル先を走るデマルキと同じスピードでコーナーに差し掛かった時に突然タイヤが滑った。そこまでスピードは出ていなかったのに、為す術もなく転んだ。ステージ優勝のチャンスがすぐそこにあり、苦しみながら全力で走っていただけに残念でならない。フラストレーションの溜まる結果になった。

逃げに乗って3位に入ったユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)

逃げグループを率いるユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)逃げグループを率いるユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Unipublic逃げグループの中でデマルキとヘシェダルの力が飛び抜けていた。一日中お尻を叩かれながら走っている気分で、目標をステージ3位にシフトしなければならなかった。でもUCIワールドツアーレースでのトップスリーは悪くない。もし明日のステージで風が吹けば、今日のダメージに苦しむことになると思う。

ステージ4位のヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)

ステージ結果には満足している。連日の熱波に身体がどう反応するのか分からなかったけど、このステージは開幕前から目を付けていた。ヘシェダルとデマルキには時折平地で振るい落とされそうになった。それでも全力を尽くして、山岳ポイントを稼ぐことが出来た。チャンスがあれば山岳賞争いに絡めるかも知れない。今日の走りが残りのステージに向けた自信に繋がるのは間違いないよ。

集団先頭でフィニッシュしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)

開幕後しばらくは苦しんだけど、ここにきて調子を取り戻しつつある。(世界選手権に向けて)このブエルタを良い状態で終えたいし、もちろんステージ優勝も果たしたい。すでに2回ステージ優勝を逃しているけど、まだまだチャンスは残されている。集団スプリントで先頭を取ったのは良いサインだ。

落車しながらも7位に入ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

落車で右半身に打撲を負ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)落車で右半身に打撲を負ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele大丈夫。フィーリングは悪くない。つまり大きな怪我を免れたということだ。今日という一日を終えることが出来て良かった。今日はすぐ前を走るジャイアント・シマノの選手が落車して、避けることが出来ずに巻き込まれてしまった。そこからチームメイトに先導されて、およそ15kmかけて集団復帰。それでもフィニッシュラインで2秒のタイムを獲得出来た!3週間の最後に必要なのはそんな小さなタイム差かも知れない。これからも攻撃を仕掛けながら、タイムトライアルに備えたい。

総合5位につけるエスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)

グランツールの総合争いに加わっていることが夢のようだ。オリカ・グリーンエッジに加入以降ずっとこのチャンスを目指してトレーニングを積んできた。腕の負傷によって昨シーズンを棒に振った僕に、チャンスとノウハウを与えてくれたチームに感謝している。まだ普段の生活に支障があるけど、バイクに乗る分には問題ない。チームは僕を信頼してくれている。出来る限り上位でこのブエルタを終えたい。

text:Kei Tsuji