気管支炎の治療薬を服用したことにより、ドーピング検査でMPCC(サイクルスポーツ倫理団体)が定めるコルチゾンの基準値を下回ってしまったクリストファー・ホーナー。8月23日の開幕前日にディフェンディングチャンピオンとしてタイトルを防衛する予定だったブエルタの欠場を余儀なくされた。



2013年のブエルタ総合優勝に輝いたクリストファー・ホーナー(アメリカ)2013年のブエルタ総合優勝に輝いたクリストファー・ホーナー(アメリカ) photo:Kei Tsuji昨年41歳という年齢でブエルタ・ア・エスパーニャを制した、クリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)。ディフェンディングチャンピオンとしてマイヨロホを防衛するべく努力を重ねてきたベテランライダーが今大会の欠場を決めた。

今年のツール第8ステージを走るクリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)。この時、既に気管支炎を患っていた今年のツール第8ステージを走るクリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)。この時、既に気管支炎を患っていた photo:Makoto.AYANOその理由は気管支炎の治療薬を服用したことによって、ホーナーのコルチゾン値がMPCC(複数のUCIプロチームによって結成されたドーピング撲滅のための団体)の定める基準を下回ってしまったことにある。ランプレ・メリダはプレスリリースで今回の決定について、以下の様に説明している。

「ホーナーはツール・ド・フランス開幕直後からツアー・オブ・ユタ終了まで重度の気管支炎を患っており、8月15日に治療目的に関わる除外措置をUCIから許可された上でチームドクターが治療薬を処方した。つまり、ホーナーはUCIのルール下においてはブエルタに出場できる。しかしながら、治療後に行われたUCIの血液検査でMPCCが定めるコルチゾン値の下限を下回ってしまった。エースとしてブエルタに参加予定だったホーナー自身がMPCCの規則を尊重していることをチームとして再確認し、ブエルタを欠場するものと決定した。」

レース開始前にマイヨロホ防衛のチャンスを絶たれたホーナーは当然のことながら落胆の色を隠さない。

「もちろんこのことについてはとても残念だ。ディフェンディングチャンピオンとして、マイヨロホを防衛するために1年間努力を重ねてきた。それにランプレ・メリダチームも僕がブエルタで再度勝ちたいという意思を尊重して契約してくれた。でも、僕はMPCCのルールを尊重してこの判断を受け入れるし、MPCCに加盟しているチームのメンバーは誰しもがこの様な状況を受け入れなくてはならない。ただ、今回の気管支炎はかなり酷かった。状態が良くなるのに1週間を要したし、チームドクターの処方してくれた薬があったからこそ回復することができた。」

欠場するホーナーの代役はヴァレリオ・コンティ(イタリア)が努め、ゼッケンNo.1を付ける。なお、ホーナーの処分期間については決定されていないものの、昨年のブエルタ開幕前日にホーナーと同じくコルチゾン値が基準値の下限を下回ったため欠場を余儀なくされたテオ・ボス(オランダ、ベルキン)は1ヶ月後にレースに復帰している。

text:Yuya.Yamamoto