引退まで残り4日。実にイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)らしい独走劇は、無情にも残り1kmで終了した。USAプロチャレンジ第4ステージのゴールスプリントをエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)が制した。



コロラドスプリングス近郊の山岳地帯を走るコロラドスプリングス近郊の山岳地帯を走る photo:Tim de Waele


USAプロチャレンジ2014第4ステージUSAプロチャレンジ2014第4ステージ image:USA Pro Challengeコロラドスプリングスの周回コースを舞台にしたUSAプロチャレンジ第4ステージ。25km周回コースは最大勾配17%のKOMガーデン・オブ・ザ・ゴッドを含んでおり、決してスプリンター向きとは言えない。

山岳周回コースを走るリーダージャージのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)山岳周回コースを走るリーダージャージのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waele何時間にもわたってアタックが繰り返されたここまでのステージとは異なり、この日はスタート直後に11名の逃げが形成される。UCIプロコンチネンタルやUCIコンチネンタルチーム所属選手に混ざって、このアメリカレースをもって現役を引退するイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)の姿が逃げグループの中にあった。

大歓声を集めるイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)大歓声を集めるイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele4分までリードを広げた11名を、ユナイテッドヘルスケアやガーミン・シャープ、オプティム・ケリーベネフィットが集団を率いて追撃。先頭ではベン・ジャックメイネス(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンスベルマンス)が積極的にKOMを先頭通過し、ヴァンガーデレンに奪われていた山岳賞ジャージを奪い返すことに成功する。

着々とメイン集団とのタイム差が縮まる中、フィニッシュまで40kmを残した3つ目のKOMでレースは動く。山岳賞狙いのジャックメイネスとフォイクトが登りで先行。頂上通過後にフォイクトの独走が始まった。

逃げグループを1分30秒、メイン集団を2分30秒引き離して最終周回に入るフォイクト。引退の花道を行く大ベテランには盛大な応援が投げかけられたが、無情にもスプリンターチーム率いるメイン集団とのタイム差は縮まって行く。

トレックファクトリーレーシングのメンバーが他チームのローテーションを阻んだが、残り5kmでタイム差は35秒に。ヒンカピースポーツウェアやキャノンデール、オプティム・ケリーベネフィット率いる60名ほどの集団は、残り2km地点でフォイクトの20秒後方にまで迫った。



終盤にかけて独走するイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)終盤にかけて独走するイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele


スプリントを繰り広げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)らスプリントを繰り広げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)ら photo:Tim de Waele闘志溢れるフォイクトの独走は、残り1kmを切ってすぐ、フィニッシュまで900mを残して終了。そこからスプリンターたちが矢継ぎ早に勝負を開始する。ロングスプリントを仕掛けたタイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)にヴィヴィアーニが落ち着いて反応した。

ゴールスプリントで圧勝したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)ゴールスプリントで圧勝したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Tim de Waele「およそ10番手で最後のコーナーを曲がり、事前にチェックしていたヒンカピーの選手(マグナー)のホイールを捉えた。残り300mで彼がスプリントを開始。まさにパーフェクトな状況だったよ。自分の理想は残り200mのスプリント。だから残り200mから全開でスプリントしたんだ」と振り返るヴィヴィアーニが、先行するマグナーを段違いのスピードでパス。ピュアスプリンターを欠く集団の中でヴィヴィアーニのスピードは圧倒的だった。

惜しくも独走勝利を逃し、1分近く遅れてフィニッシュしたフォイクトは「全力で挑んだ。負える限りのリスクを負って、ベストを尽くしたので悔いは無い。これ以上の走りは出来なかった。もちろんステージ優勝を果たしたかったが、それを許してくれる選手なんてどこにもいない。レースの中にプレゼントなんて存在しないから」とコメント。フォイクトの現役レースは残すところ3ステージとなった。

選手コメントはレース公式サイトより。






USAプロチャレンジ2014第4ステージ
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
2位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシング)
3位 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ジェリーベリー・マキシス)
4位 タイラー・マグナー(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
5位 キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ユーレ・コチャン(スロベニア、スマートストップ)
7位 アレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)
8位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、ドラパックプロサイクリング)
9位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
10位 ライアン・アンダーソン(カナダ、オプティム・ケリーベネフィット)
2h28'52"










個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
3位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
4位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
5位 セルゲイ・トヴェトコフ(ルーマニア、ジェリーベリー・マキシス)
6位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、トレックファクトリーレーシング)
7位 カーター・ジョーンズ(アメリカ、オプティム・ケリーベネフィット)
8位 ジョゼフ・ロスコプフ(アメリカ、ヒンカピースポーツウェア)
9位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンデューラ)
10位 ジュリアン・カイヤー(アメリカ、スマートストップ)
13h03'45"
+20"
+23"
+34"
+37"
+46"
+49"
+55"
+1'09"
+1'22"


ポイント賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

山岳賞
ベン・ジャックメイネス(アメリカ、ジェーミス・ハーゲンスベルマンス)

ヤングライダー賞
クレメン・シェヴリエ(フランス、ビッセルデヴェロップメント)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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