強化選手たちが激しく動いた5周目。アタックの仕掛けあいでできた11人の先頭集団は紛れもなく全員が強者。5人に絞られたスプリントを制したのは齊藤瞭汰(前橋工)。学校対抗総合は北桑田が優勝。



スタート前スタート前 photo:Hideaki TAKAGIスバル・レヴォーグのマヴィックニュートラルサービスカーがインターハイロードでデビュースバル・レヴォーグのマヴィックニュートラルサービスカーがインターハイロードでデビュー photo:Hideaki TAKAGIレースが大きく動いたのは5周目。JCF強化指定選手を中心に激しいアタックが繰り広げられ、11人の先頭集団が再編。ここに乗れた選手だけが勝負に絡むことができた。

100.8kmのレース

山梨県笛吹市郊外の1周12.6kmを8周する100.8kmのレース。コースの中盤に標高差120mほどの丘があり一部勾配は10%を超える。コースの半分は見通しの少ないカーブなどが連続し逃げが決まりやすい。半分は緩い勾配の直線区間だ。前日までの40度ほどの好天猛暑から、30度を超える程度の曇天でレーススタートの朝9時を迎えた。

1周目からアタックがかかるが決まらず19分40秒のラップで2周目へ。数名が抜け出すも10秒ほどの差で決まらない。4周目に8人が、さらにそこから3人が抜け出し、先頭の中本優司(奈良北)、尾形尚彦(東北)、近祐汰(栄北)3人に。孫崎大樹(北桑田)、中村魁斗(作新学院)、奥村十夢(榛生昇陽)、小川智也(千原台)、釘尾真幸(南大隅)の追走5人、それにメイン集団が続く。
5周目、野本空(松山工)、齊藤瞭汰(前橋工)らがメイン集団からアタック5周目、野本空(松山工)、齊藤瞭汰(前橋工)らがメイン集団からアタック photo:Hideaki TAKAGI
大きく動いた5周目の攻防
5周目、後方から合流した草場啓吾(北桑田)ら5周目、後方から合流した草場啓吾(北桑田)ら photo:Hideaki TAKAGI
そして5周目。メイン集団前方では激しいアタックのかけあいが繰り広げられる。ここから野本空(松山工)、齊藤瞭汰(前橋工)、中村圭佑(昭和一学園)の3人が抜け出し追走の5人に追いつき追い越す動きを見せる。後方では石上優大(横浜)、吉岡衛(奈良北)らが抜け出しを計るが届かない。草場啓吾(北桑田)が最後に合流し追走集団は10人に。
5周目、上り頂上でさらに加速する齊藤瞭汰(前橋工)、中村圭佑(昭和一学園)5周目、上り頂上でさらに加速する齊藤瞭汰(前橋工)、中村圭佑(昭和一学園) photo:Hideaki TAKAGI
6周目の上りで中村魁斗が仕掛けるが下りで脱落。いっぽう先頭の3人は中村だけとなり6周目の下り区間を経て吸収、先頭は10人となる。メンバーは齊藤、草場、橋詰丈(昭和一学園)、成海大地(普天間)、中村圭佑、水谷翔(南大隅)、野本、中本、武智気吹(松山中央)、日野竜嘉(松山聖陵)の10人。この5周目の攻防で優勝者の生まれる10人の逃げが6周目に完成。
7周目、上りでペースを上げる橋詰丈(昭和一学園)7周目、上りでペースを上げる橋詰丈(昭和一学園) photo:Hideaki TAKAGI
5人の先頭集団でゴールへ

7周目の上りで橋詰がペースを上げると先頭集団は分断、中村圭佑と野本は復帰するが日野が脱落し9人に。カーブでで水谷が単独落車するがやがて復帰する。そして最終周回の8周目。先頭の9人は上り区間に入り仕掛け合いが続く。ここで前方に出るのは齊藤、成海。それを中村と橋詰そして草場が追う。上りピークを過ぎて先頭はこの5人に絞られる。

下りから平坦区間となり齊藤と草場が抜け出す場面もあるが5人に戻ってゴールへ向かう。ゴール前の直線、先頭は中村、そして齊藤、成海、草場、橋詰の順でスプリント態勢へ。ここで齊藤が先行、これを草場が追い込むが届かず齊藤が優勝。3位は橋詰に。

先頭集団に入り、あるいはメイン集団の前方で動いた選手の中心はJCFの強化指定選手たち。国内合宿で選考されたメンバーによって海外遠征を重ねてきた選手たちだ。指定は随時入れ替えとなっているため齊藤のように以前の指定選手も含むと上位のほとんどが現在または以前の指定選手たち。互いの脚質をわかっているからこその高いレベルでの戦いができる。攻撃した選手だけが前に残り勝負することを許されたレースとなった。
最終周回へ向かう先頭10人最終周回へ向かう先頭10人 photo:Hideaki TAKAGI
優勝した齊藤瞭汰(前橋工)

きつい上りでもほかの選手より先頭を牽き続けられたので、安心してゴールスプリントに持ち込めると思いました。逃げをまとめて得意のスプリント勝負をしました。最後5人になったとき、スプリントの一番あるのは草場選手なので彼だけを見てもがきました。強化合宿では草場選手にスプリントで勝てていなかったのですが、今日は調子が良かったです。全国大会での優勝は初めて。今回のインターハイでの目標はトラックの4km速度競走で勝つことしたが、準決勝落ちしてしまい、後がないと思ってこのロードを走りました。

2位の草場啓吾(北桑田高)

今回はもちろん優勝を狙っていたのですが。上りがきついので5周目の上りで勝負をかけようと思っていたところ周囲も同じで、完全に強化選手のメンバーで逃げが決まりました。スプリンターの水谷を(橋詰)丈が上りで千切って、あとはスプリント力の一番ある齊藤との勝負でした。彼が先行したのですが僕が追いつけなくて。展開はよかったのですが。彼が強かったです。

ゴールは半車輪齊藤瞭汰(前橋工)が先着ゴールは半車輪齊藤瞭汰(前橋工)が先着 photo:Hideaki TAKAGI
3位の橋詰丈(昭和一学園)

中村圭佑と2人先頭集団に入れたのはよかったが、スプリント力のある齊藤と草場を千切れませんでした。最後はロード総合を取ろうと2人とも上位で入ることを最低限としました。

2015年大会は大阪・岸和田競輪場と鈴鹿サーキットで

来年2015年のインターハイ自転車競技の概要が発表された。
競技日程:2015年8月7日(金)~9日(日)トラック、大阪 岸和田競輪場400m
        8月10日(月)ロード、鈴鹿サーキット5.81kmx20L=116.2km

JCFロード部会の柿木孝之氏から祝福される齊藤瞭汰(前橋工)JCFロード部会の柿木孝之氏から祝福される齊藤瞭汰(前橋工) photo:Hideaki TAKAGI学校対抗総合優勝の京都府立北桑田高等学校学校対抗総合優勝の京都府立北桑田高等学校 photo:Hideaki TAKAGI
結果 ロードレース 100.8km

1位 齊藤瞭汰(前橋工)2時間42分55秒7
2位 草場啓吾(北桑田高)
3位 橋詰丈(昭和一学園)
4位 成海大地(普天間)
5位 中村圭佑(昭和一学園)+01秒
6位 水谷翔(南大隅)+50秒
7位 野本空(松山工)+1分52秒
8位 中本優司(奈良北)+2分10秒
9位 武智気吹(松山中央)2分28秒
10位 中川涼(浦和工)

学校対抗総合成績

1位 京都府立北桑田高等学校 34点
2位 鹿児島県立南大隅高等学校 25点
3位 岡山県立岡山工業高等学校 24点
4位 暁高等学校 21点
5位 昭和第一学園高等学校 20点
6位 青森県立八戸工業高等学校 19点
7位 大分県立日出暘谷・日出総合高等学校 15点
8位 和歌山県立和歌山北高等学校 15点

photo&text:高木秀彰

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