ツールのTTが暑いのはいつものこと。個人TTを迎えるベルジュラックは、朝のうちは涼しかったものの気温は午後に向けて上昇し、ウォームアップする選手たちの身体をさらにヒートアップさせる。



・暑さ対策にスーパーカー登場? 各チームがアイデアを競いあうTTの準備

チームスカイがこの日投入したサポートカーはジャガーTYPE Fチームスカイがこの日投入したサポートカーはジャガーTYPE F photo:Makoto.AYANO
カーボンモノコック製のタイヤホルダで固定もスマートカーボンモノコック製のタイヤホルダで固定もスマート photo:Makoto.AYANOチームスカイのサポートカー、ジャガーTYPE Fのリアビューチームスカイのサポートカー、ジャガーTYPE Fのリアビュー photo:Makoto.AYANO


大型の扇風機を使用してローラー台の上でアップする選手に風を送りつけるのも、氷入りベストを着用して体感温度を冷やしつつスピニングするのももはや定番になったアイデア。13時からのスタートに向け着々と準備を進める。ピットを歩いて拾った各チームのアイデアを紹介していこう。

チームスカイが投入したのはジャガーのタイプFというスポーツカー。荷物を積むことなど考えない2シーターのスーパーカーだが、この後部を改造することでTTバイクの積載を可能にし、選手をサポートする随行車としてしまった。もちろんチームスポンサーのジャガー社がカスタマイズを行い提供している。リアハッチにかけてはタイヤの収まる窪みがあるカーボンモノコック製で、とにかくクール。レース中は期待をかけたゲラント・トーマスらに随行した。(しかしチームスカイのリザルトはダニー・ペイの11位が最高とあまりホットではなかった)。

優勝することになる絶対優勝候補のトニ・マルティンには世界チャンプカラーのスペシャライズドSHIVが用意された。フレームに息を荒げる牛のイラストが描かれ、ディスクホイールまでアルカンシェルカラーが彩られたカラフルなバイクは、フロントに58Tのビッグギアを装備。しかしアップダウンの多いコースに備えてリアコグにはは32Tを装着してワイドレシオを確保。はやりこの日の主役マルティンとともに最速タイムでペリグーへと駆け抜けた。

ラファル・マイカ(ティンコフ・サクソ)の山岳賞TTジャージはルコック・スポルティフの特別な生地を採用しているラファル・マイカ(ティンコフ・サクソ)の山岳賞TTジャージはルコック・スポルティフの特別な生地を採用している photo:Makoto.AYANO暑さ対策のアイスベストを着てウォームアップするトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)暑さ対策のアイスベストを着てウォームアップするトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ) photo:Makoto.AYANO

ベルキンのピットには大型扇風機が並び選手を待つベルキンのピットには大型扇風機が並び選手を待つ photo:Makoto.AYANOFDJ.frが巨大扇風機を用意したFDJ.frが巨大扇風機を用意した photo:Makoto.AYANO


リーダージャージを提供するルコック・スポルティフは山岳ステージに入った時点からリーダージャージ着用の可能性のある選手の身体の採寸を行い、その個別データによって縫製したリーダージャージデザインのTTスーツをそれぞれの選手に提供したという。つまりこの日のマイヨ・ジョーヌ、ヴェール、アポアルージュ、ブランはその選手にとって最高のボディフィットで作り上げられたものだった。選手の好みに応じた袖の長さや、襟ぐりのカットにも応えたという。

呼吸を助け汗を放出する特殊素材を使用し、水分によって重量が増えない。ワンピーススーツ自体の重量はTT専用設計のパッドを含めてMサイズでわずか150g。

トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が駆るスペシャライズド SHIVトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が駆るスペシャライズド SHIV photo:Makoto.AYANOビアンキの新型TTバイク「AQUILA CV」が発表されたビアンキの新型TTバイク「AQUILA CV」が発表された photo:Makoto.AYANO


「すべては選手のパフォーマンスを最高に引き出すため。リーダージャージのテーラーメイドという、今まで聞いたことのないサービスを行った最初のアパレルサプライヤーとなれたことに我々ルコック・スポルティフ社は誇りを感じています。それは私達が設定した製品開発のゴールでもあります」と、同社のフランク・ヘイサット氏は言う。

ベルキンのバイクスポンサーであるビアンキ社はTTがスタートする13時にあわせて新型TTバイク「AQUILA CV」をベルキンのチームピット横で発表。さっそくバウク・モレマとローレンス・テンダムが乗った。流麗なエアロフォルムのこのTTバイク、同時に振動吸収特性に優れたカーボンコンポジットを素材としている。ハンドル周りやシートポストなどもヴィジョン社と共同開発の専用品を用いてエアロダイナミクスも徹底的に追求している。(モレマのタイムが不振だったことには触れないほうが良いだろう)

ジャイアント・シマノの選手のボトルの中身はスポーツドリンクのスラーピーだ(美味しいらしい)ジャイアント・シマノの選手のボトルの中身はスポーツドリンクのスラーピーだ(美味しいらしい) photo:Makoto.AYANOイタリア人スタッフたちは選手出走前にピッツァで腹ごしらえイタリア人スタッフたちは選手出走前にピッツァで腹ごしらえ photo:Makoto.AYANO

中野マッサーとの入れ替わりで仕事にあたるティンコフ・サクソの宮島正典マッサー中野マッサーとの入れ替わりで仕事にあたるティンコフ・サクソの宮島正典マッサー photo:Makoto.AYANOタイヤトレッドをタオルで拭ってパンクのリスクを減らすユーロップカーのメカニシャンタイヤトレッドをタオルで拭ってパンクのリスクを減らすユーロップカーのメカニシャン photo:Makoto.AYANO


ジャイアント・シマノのチームピットにはコンビニに置いてあるようなスラーピーマシンが置かれていた。中身はチームのニュートリションスポンサーであるBORN社のスポーツドリンク。これをマシンでスラーピー(シャーベット)状にしたものを選手のボトルに詰めた。「暑い日にはもちろん冷たくて美味しいドリンクのほうがいいだろう?」とスタッフは笑って真面目に応えてくれた。

アップダウンが多かったこの日、各チームは軽量のディスクホイールを揃えてきた。「コンタドールに最適」と評されていた難しいTTコースに、上位を狙うエースクラスの選手にはスポンサー社外製品でもステッカーチューンしたものを使用させるケースが多く見られた。それでもディープリムやロードバイクを使用する選手が居なかったのは、このコースが依然TT向きの平坦系ローリングコースであったということ。

しかしサポートカーのキャリアに積むバイクはノーマルバイクの選手も多く、そこは「賭けてない部分」として理解すべきだろう。



アップヒルの人垣を行くヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)アップヒルの人垣を行くヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Makoto.AYANO
今年のツールで主催者ASOが設定したタイムトライアルはたった一つだけ。これはツールの歴史において、1950年代から数えて初めてのこと。それが最終日前に設定される。しかも1位以下は15秒差以内に3人がひしめき合う状態。ツールは最後までサスペンスを残した。しかも自国の選手2人にポディウムの可能性があるという、大きな期待を沿道のフランス人ファンたちに抱かせて。

用意されたコースは標高100m〜200mの丘を登っては下る起伏に富んだ54km。疲労が蓄積した選手たちにとって3週間の最後にくるレースとしては、もしレースを放棄しないならばとてつもなく長く・厳しいものになる。「真実のレース」と形容されるとおり、脚の有る・無しが勝敗を決める。

ステージ2位・+1'39ステージ2位・+1'39" トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleウォーミングアップする新城幸也(ユーロップカー)ウォーミングアップする新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto.AYANO9位のタイムを出したマルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング)9位のタイムを出したマルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング) photo:Makoto.AYANOスタート前、トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)は試走しながらリムハイトの異なるホイールの組み合わせを試したり、ギア比を変えるなどしていた。メカニシャンも要望に応えて忙しく作業する。「悩んだけれど結局はスタンダードな組み合わせに落ち着いた。ちょっと神経質になっているんだ」と話すドゥムランは、この日ステージ2位の好結果を出した。

一方でリラックスした表情の新城幸也(ユーロップカー)はローラーにまたがりアップするも「今日頑張ったところで何も変わらないし、今の順位が前後で入れ替わっても大したことじゃないから、順位を上げようというモチベーションはありません。流しますよ」と、割り切った感じ。それよりも最終日のシャンゼリゼで動けたほうが面白い。この日ユキヤは結果的に2つ順位を落とすも、総合65位は過去最高位をマークすることに。

午後2時から6時にかけてうだるように暑さが増していくフランスの夏。14時13分スタートのユキヤは沿道のどこからともなくかかる日本人による「幸也ガンバレー!」の声援に笑顔を浮かべる。フランス人もつられて「アレ・ユキヤ!」。
レース後のユキヤは言う「ここまで来たらもうゴールが見えたので、昨日から気分的には終わったぁ〜、っていう感じだったので、やる気モードにするには難しかった。走り出してからは、たくさんの応援を聞きながら、日本人取材陣を探したりして(笑)リラックスして、最後は楽に走った。後一日、明日は楽しんで走りたい」

ユキヤの次はマイヨヴェールのサガン、グランツール連続出場記録更新中のアダム・ハンセン(ロット・べリソル)、ジェレミー・ロワ(FDJ.fr)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)、マイヨ・アポアのラファル・マイカ(ティンコフ・サクソ)と人気ライダーが続くゴールデンタイム。(続いたのは偶然だが)。そして世界チャンピオンジャージを着たトニ・マルティン(オメガファーマ・クイックステップ)が登場。勝つことに最大の期待が集まるマルティンへの声援は大きい。第9ステージでの独走勝利でさらに人気は高まっている。



・得意のTTで突き進んだ Panzerwagen(装甲車)

観客の大声援に応えるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)観客の大声援に応えるトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO
TT世界チャンプジャージに身を包んだトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)TT世界チャンプジャージに身を包んだトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO最速タイムを叩きだしたトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)最速タイムを叩きだしたトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Makoto.AYANOウェアもバイクもアルカンシェルをあしらったマルティン。期待通りの他を寄せ付けないトップタイムで優勝。2つ目のステージ勝利は、今度こそ得意の個人TTで。このところPanzerwagen(装甲車)というニックネームがお気に入りのマルティンは、すでに勝利の緊張感に動じない術を身につけた。

「今日はプレッシャーが大事だった。誰もが僕に勝利を期待していた。僕は階段を登らなきゃならなかったんだ。でも正直言ってそれはいつものこと。ともかく僕はプレッシャーをアドバンテージに変えることができることを学んだんだ」。

カヴェンディッシュが去ってからチームは最大の目標を失ったが、その代わりの勝利を目指そうとチームは士気を高めてきた。マルティンは言う。「第1ステージではカヴがクラッシュしてレースを続けられなくなって、僕らのやる気は失せてしまった。しかしそのことがチームに強い団結力を生み出した。”カヴのために闘う”、”常に前でレースをする”、”ステージ勝利に向けてトライする”という意思を持つことができたんだ。一体になって闘ったチームを誇りに思うよ」。

マッテオ・トレンティンによる第7ステージの勝利、そしてマルティンの第9ステージの逃げ切り勝利に加え、今回の勝利がチームの3勝目、マルティン自身の2勝目になった。ティンコフ・サクソ、ガーミン・シャープ、そして再びオメガファーマ・クイックステップと、「チームのエースを失ってなお成功に向けて諦めずにトライする」ということが、今回の「落車で主役たちが居なくなるツール」における代替テーマとなった感がある。



・感涙のペロー、ピノは3位で満足、パンクに失望したバルデ

早い時間にとんでもないタイムを出して、この日のステージ優勝争いは「もはやマルティンにかなう選手は居なさそうだ」となった。すると俄然ホットになるのは総合上位のポディウム争いだ。この日、沿道の観客の熱気は最高潮に達した。なにしろフランス人2人がポディウムに向けての死闘を繰り広げているのだから。

バルベルデが早々と第1計測地点でタイムを落としたことがわかると、やはり沿道には喜びの声が上がる。コース後半のゴールまで残り6km地点のクルニエ・シャミエの丘(距離1.4km、平均勾配6.5%)は、山岳ポイントこそつかないが急勾配の上りが待っていた。そこには多くの観客が詰めかけた。とくにバルデ、ペロー、そしてピノと続く3人のフランス人が通る際のその熱狂ぶりは、近年のツールにないほど熱いものだった。改めてフランスのツール・ド・フランスを実感した。

パンクに見舞われながらもステージ7位で総合2位に上げたジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)パンクに見舞われながらもステージ7位で総合2位に上げたジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Makoto.AYANO
もっとも大きな応援を受けたであろうピノは言う。「観客たちの応援がすごくて、54kmのうち40kmは鳥肌が立ちっぱなしだったんだ! あまりにすごい声援で、監督カーからの指示がまったく聴こえなかったんだ」。この日、ピノには「歓喜のガミ声」で有名なマディオ監督はつかず、第2監督がチームカーで追走した。しかしその指示はラスト10kmまで「バルベルデとは15秒差しかないぞ!」という嘘の脅迫だった。たぶん聴こえないほうが良かったのかも!

ピノのタイムを上回っていることは走っている最中に知らされていた。54kmを走り終えたペローは、フィニッシュした直後から泣き出してしまった。涙を流して感激にむせび泣くペローにコメントをもらおうとメディアが一斉にカメラとマイクロフォンを向けるが、ペローは感情が高ぶってコメントが出来ない状態に陥っていた。

ステージ26位で総合を一つ落としたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)ステージ26位で総合を一つ落としたロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Makoto.AYANO総合28位で表彰台に割り込めなかったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)総合28位で表彰台に割り込めなかったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Makoto.AYANOステージ140位と大きく遅れたバウク・モレマ(オランダ、ベルキン)ステージ140位と大きく遅れたバウク・モレマ(オランダ、ベルキン) photo:Makoto.AYANOステージ6位で総合も5位に上げたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)ステージ6位で総合も5位に上げたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Makoto.AYANO「やった、やったんだ」とだけ繰り返すペロー。それでも「何か一言」と要求するTVカメラに向かって、ペローは震える声で謝りながら断った。「今何か言おうとしたってできない。だって僕は泣いているんだから」と。ペローを支えるラヴニュ監督も同じような状態に。

「総合を5位に上げた時、フルームとコンタドールが居なくなって僕に表彰台の可能性が回ってきた。それからというもの、少しづつ2位に近づくように考えてきた。これは僕にとって小さな勝利だよ」。

「今引退してもいいよ!」と冗談めかしく言う37歳のペローは、次の夢も語った。「まだまだ未知のことに挑みたい。例えばジロにはまだ出たことがないんだ。この先あと2年ぐらいは猶予がある」。

総合2位の座をペローに譲り、3位に落ちたピノ。しかし3位のポディウムの確保とマイヨブラン獲得に満足気だ。
「今日の僕はバルベルデとのポディウム争いのレースだったんだ。僕が24歳で彼が年上(34歳)で、たぶん僕の若さが有利に働いたんだろうと思う。ペローが僕を追い抜くだろうことは最初から判っていたこと。

でもペローにそれほど大きなタイムを失ったわけじゃないし、僕は総合3位に満足。2人のフランス人が表彰台に上るんだ!。まったくがっかりなんかじゃない。僕は24歳でツール・ド・フランスの3位、そして新人賞だ。最高クラスの選手たちと山で闘っての結果だ。とても誇りに思うよ」。

総合5位でスタートしたバルデは、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とのタイム差を辛うじて維持する好走を見せていたが、パンクでタイムを失い、総合を6位に落とした。TJとの総合順位は2秒差で逆転。「それが誰にでもあったことだと思うけど、今日は脚にまったく力が入らなかったんだ。メカトラで止まったバルデを見て、彼に申し訳ないと思ったんだ。このツールは本当に誰もが不運に見舞われたね」とヴァンガーデレン。

バルデは言う「今日は最初の2km以降で無線の調子が悪くなって何も情報がないままに走っていたんだ。僕のコンピューターもストップしたよ(バルデは法律の学士号を持っているインテリ)。3週間続けてきた努力が、そのパンクで水の泡に返した。グランツールの総合5位のリザルトが、たった2秒差で6位に落ちた。それがパンクのせいでなんて、本当に腹立たしいよ!。

皆は僕が10分ぐらい失うんじゃないかって思っていたようだけど、結局はうまく走れた。パンクがなかったらグランツールで5位だった。2回めのツールでそれは悪くないよ。でも今日良かったことはペローの2位だよ」。
「もしポディウムに乗ることを考えるなら、もっとツールに優先度を置いたプランで走る必要があると思う。今年、僕はリエージュ(〜バストーニュ〜リエージュ)で10位だった。スペシャリスト達を差し置いて」。



新人賞ジャージと総合3位を守りパリへ向かうティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)新人賞ジャージと総合3位を守りパリへ向かうティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr) photo:Makoto.AYANO
最終日前日記者会見に臨むティボー・ピノ(FDJ.fr)最終日前日記者会見に臨むティボー・ピノ(FDJ.fr) photo:Makoto.AYANOフランス人による1997年以来の表彰台登壇についてコメントするツール5勝の英雄ベルナール・イノーフランス人による1997年以来の表彰台登壇についてコメントするツール5勝の英雄ベルナール・イノー photo:Makoto.AYANO明日、フランス人2人がシャンゼリゼのポディウムに登壇する。1997年のリシャール・ヴィランク以来の快挙だ。2人のフランス人がポディウムに上るのは、ベルナール・イノーと故ローラン・フィニョンの時代に遡る。

総合優勝をほぼ確定させたマイヨジョーヌの話を聞くために最終日を残して開かれるプレスセンターでの記者会見には、ニーバリの登場につづいてピノとペローも呼び出された。これも近年にないオプションだ(通常マイヨジョーヌのみ)。

フランス人にとっての将来のツールの希望、期待を一身に背負うことになるピノ。二重まぶたが眠そうな顔つきとは正反対に、答える内容はシャープだ。しかし、答えは慎重で分析的でもある。

ピノは言う。「今僕がわかるのは、予想以上の結果になったとはいえ、ともかく僕が望んだレベルの走りができたということ。ツールに勝てるかと言われれば、見ての通り、ニーバリには8分以上遅れている。まだまだツールを勝てるレベルには程遠い。間には、断然たる隔たりがある。『ツールの勝利を狙う』と言うことができるまでには、まだまだ長い道のりが待っているよ」。

しかしピノはこうも言う。「今年、本来ならフルームとコンタドールとニーバリがポディウム争いをしたと思う。でも、ツール・ド・フランスの筋書きは誰もつくることができないんだ」。


photo&text:Makoto.AYANO in FRANCE
photo:CorVos,TimDeWale,A.S.O,
※新城幸也のコメントはユキヤ通信より