ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)による独走勝利に終わったツール・ド・フランス第19ステージ。ステージで活躍した選手や翌日の個人タイムトライアルを見据える総合上位陣のコメントを紹介します。



ステージ初優勝を飾ったラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)

独走するラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)独走するラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waele毎日チームミーティングでシャールズ・ウェゲリュース監督による綿密な作戦が発表された。今日はアタックでステージ優勝を掴む最後のチャンス。全てが作戦通りに行った。序盤から逃げグループに選手を送り込んで、4級山岳でアタックする作戦だったんだ。

逃げ切りでステージ初優勝を掴んだラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)逃げ切りでステージ初優勝を掴んだラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waeleトムイェルテ(スラグテル)の走りはインプレッシブだった。200km近くを逃げていたにも関わらず、最後の4級山岳では前を引いてくれた。とても勇敢な走りだった。ジャック(バウアー)とセバスティアン(ラングヴェルト)は集団前方でパトロールしてくれたし、自分に出来ることはTTスペシャリストのように独走を続けることだった。

何日か前(第15ステージ)にジャック・バウアーに起こったようなこと(フィニッシュ直前で吸収)が自分に起こるんじゃないかと心配したよ。残り10kmの時点で20〜25秒のリードを得ていたけど、後方の集団が一体どんな状態なのか分からなかった。自分の後ろでは5人のスプリンターが全開でスプリントを開始。彼らのスピードには驚かされたけど、何とか先頭を守り抜いた。ジャックの二の舞はごめんだと、ただ速く走ることだけを考えていた。振り返るのが恐かった。もっと良い走りが出来ていたんじゃないかと悔やむことだけはしたくなかった。もっている力を全てぶつけた。

開幕直前に、体調不良のデーヴィッド・ミラーに代わって急遽出場が決まった。健康な選手で挑むのがチームの方針だった。デーヴィッドから「誰かが自分の抜けた穴を埋めなければならない。それが君だと聞いて嬉しいよ」というメッセージをもらったんだ。彼のためにも勝利することが出来てよかったと思う。彼が出場していたとしても今日のような走りで活躍していたと思う。

序盤から逃げて敢闘賞を獲得したトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)

逃げグループから飛び出したトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)逃げグループから飛び出したトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ) photo:Tim de Waeleこれ以上望めないような結果だ。今年ガーミン・シャープは強力なメンバーでツールに挑んだものの、総合争いから早々に脱落したので、ステージ優勝狙いに切り替えていたんだ。そして今こうして勝った。チームの中で誰が勝ったかなんて関係ない。チームメイトの勝利はいつだって最高だ。

逃げグループの中で協調体制を築けていたものの、メイン集団が近づいていることを感じて早めにアタック。終盤のレイアウトは自分よりもTTが得意なナヴァルダスカス向きだと思っていた。だから彼のために4級山岳の登りで引いたんだ。ステージ優勝したから今晩はシャンパンを開けるよ。

最初に落車したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

残り3kmを切って落車したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ら残り3kmを切って落車したペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ら photo:Tim de Waele9番手を走っている時、コーナーの出口でホイールが滑って落車してしまった。路面が完全に濡れていてどうしようもなかった。でも大きな怪我は負っていない。古傷を少し痛めてしまったけど大きな問題ではない。骨折しなくてよかったよ。パリまでたどり着いて、ツールの目標であるマイヨヴェールを獲得したいと思う。

マイヨブランを着る総合2位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)

雨の影響で油断ならないステージになった。最後の(残り3km)の落車は自分のすぐ横で発生。やはり落車を避けるためには集団前方をキープしないといけない。

タイムトライアルは好きなので全開で走る。疲れているかって?120%疲れているよ。でも怖がることなんてない。ニーバリに次いで強い2人が表彰台に登るだけだ。一日の最後の笑えるように、今日は今からチームカーでコースを試走する。

落車に巻き込まれた総合3位のジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)

ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Makoto Ayano落車を避けようと踏ん張ったが、避けきれなかった。目の前で落車したロメン(バルデ)に衝突する形になったんだ。雨が降り続き、コーナーが連続するレイアウトだったので非常にナーバスな状況だった。でも落車はロードレースの一部なんだ。タイムトライアルのコースはまずチームカーでチェックする。(落車した)昨年のタイムトライアルのようにはならないことを願う。

TTでジャンプアップを目指す総合4位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

明日は重要な闘いになる。ペローとピノから少ししか遅れていないので、総合2位は狙える位置にある。ピノよりもペローのほうがTTが得意なのは知っている。全長50km以上で、アップダウンのアル厳しいコース。上手く走り抜く自信はあるよ。すでに試走済みだけど、明日改めてコースをチェックしたい。

落車した総合5位のロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)

残り3kmを切ってから発生した大落車残り3kmを切ってから発生した大落車 photo:Tim de Waele大丈夫。少し擦過傷を負ったけど問題ない。とにかく終盤はナーバスな状態で、コーナーでの落車が連鎖的に広がった。残り3km以内の落車で良かったよ。ペローと僕のために働いてくれたチームの走りが台無しにならずに済んだ。風は弱かったけど、雨でコースは濡れていた。どのアタッカーにとっても最後のチャンスだったので殺気立っていた。とてもストレスフルだった。

タイムトライアルのコースはジャンクリストフ(ペロー)と一緒に今晩のうちにチェックするつもり。チャンスはあると思うし、モチベーションも高い。出来る限り速く走ってこの3週間を締めくくりたい。フィニッシュラインに向かって全開で走ることだけに集中するよ。

7分以上のリードを得たまま最終TTに挑むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

落車の影響を受けるも無事だったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)落車の影響を受けるも無事だったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Makoto Ayano今日はスプリンター向きの平穏なステージだった。4km地点で逃げグループを見送ってからは集団後方に下がってリラックス。今日はリスクを避けながら走ることが最優先事項だった。でも雨のおかげで難しいフィナーレだったよ。

明日のタイムトライアルでもリスクを負わないつもり。マイヨジョーヌとツール・ド・フランス、アスタナチームに敬意を払いながら、リーダーとしての自覚をもってスタートしたい。ここまでのステージの中で、苦しんだステージは無かった。もちろん毎日コンディションの波はあったものの、脚はいつだって良い反応を見せてくれた。

text:Kei Tsuji