2回めの休息日を迎えたツール・ド・フランス。プロヴァンスのホテルに新城幸也(ユーロップカー)を訪ねた。ツール最終週に臨む意気込みとは?




プロヴァンスのホテルで2回めの休息日を迎えた新城幸也(ユーロップカー)プロヴァンスのホテルで2回めの休息日を迎えた新城幸也(ユーロップカー) photo:Makoto.AYANO
ー めまぐるしく天候の変わるツール・ド・フランスですね?体調はどうですか?

ダメですね(笑)。まあ大丈夫な範囲ですが、呼吸系の調子が悪いんです。もともと喘息の気があるんですが、ちょっと喉をやられている感じです。気温の上げ下げがあったので症状が出てしまいましたね。

ー 体調を崩している選手が多いのでは?

そうですね。集団の全体がちょっと病気がちなところがあります。咳をしている選手や本調子でない選手などが多く居ますね。ペースが上がったとき、いつもは後方に居ない選手がそこにいたりしするのでわかります。「あっ、この選手は(調子悪い組に)新入りだっ、て(笑)」

あと、股ずれができてしまって、これから少し治療してもらいます。できものができたので切ってもらうんです。雨が降って、砂が巻き上がるので仕方ないですね。患部を切ったら上から「セカンドスキン」と呼ぶ名前の絆創膏を貼って擦れを防ぎます。

アマチュア時代にお世話になった「フランスでの両親」ドゥニー・ゴンザレス氏、アニー夫人がホテルを訪問したアマチュア時代にお世話になった「フランスでの両親」ドゥニー・ゴンザレス氏、アニー夫人がホテルを訪問した photo:Makoto.AYANOー 心配ですね。走りに影響はありますか?

暑くなったのは歓迎だが、それまでとの気温差にやや体調を崩した暑くなったのは歓迎だが、それまでとの気温差にやや体調を崩した photo:Makoto.AYANOー 今日のトレーニングは? どれぐらい走りましたか? 1回目の休息日と2回めとは違いますか?

今日はチームの皆で40km走って、そこから一人で20km、合計60km走りました。汗をしっかりかきました。前回の休息日は汗をかかないまま翌日を走ったら、身体から出る汗が詰まっている感じがしたので、今日はしっかり汗をかいて過ごしました。そのあたりの調整はそれぞれ個人で決めることです。ローラー台で調整した選手もいましたね。走ったあとは30人ほどの日本からのツアーの方たちにも会いましたよ。

ー ツール第2週目を振り返ってください。全体的にどうでしたか?

2週目はあっという間でしたね。アルプスは好きじゃないんですが、うまくこなせたと思います。2日だけだったのが助かりましたね。アルプスの特徴の、長い登りで30kmも延々と登るのは好きじゃないんです。

ー アルプス1日めは「1年にあるかどうかの好調」ということでしたが、翌日は調子を落としましたね。なぜでしょう?

その日に股ずれしてしまったんです。あの日は痛くなってから自分の乗車ポジションを探すのに必死でした。30kmずっとダンシングして走っていたので、脚が終わってしまいました。それ以外は良かったかな。問題なかった。昨日のステージも風が強かったですが、なんとかなりました。

ー アルプス初日(第13ステージ)に逃げに乗ろうとして、スタート直後からフォイクトやセルパらとアタックを掛けていましたね。チームから逃げを指示されたのはどのステージだったんでしょうか?

その日は絶対に逃げに乗るという使命だったんですが、叶わなかった。捕まってから分かったんですが、ホイールが曲がってついていた。フレームの内側にタイヤが擦れていたんです。途中でバイクは替えましたが、それが無ければ逃げに乗れていたのに。小さな声で言うと、メカニシャンのミスでした(笑)。

ー 逃げが決まりにくいツールのようですね。

「休息日空けは辛かった」「休息日空けは辛かった」 photo:Makoto Ayano昨日のステージでも「最初に数人の逃げが決まったら、あとは最後の横風区間だけ注意すれば大丈夫だ」と言われていたんですが、そんなことはナイナイ(笑)。100km過ぎから激しい攻撃が始まって厳しい状態に。ツールは毎日何かがありますね。もう「今日はゆっくり行く日だよな」と言うのは止めました(笑)。

「アスタナは信じられないほどに強い。」「アスタナは信じられないほどに強い。」 photo:Makoto.AYANOー 今回のツールはなぜ平均時速がそれほどまでに速いんでしょう? コースのせい? それとも選手のせい? フルームやコンタドールが居なくなったことは関係有るんでしょうか?

いや、関係はないと思いますが、選手のせいですね。アスタナの走りのスタイルが「大きな逃げは行かせない」というコントロールの仕方なので。逃げがあっても差を大きくは開かせない。ずっとコントロールしていますね。アスタナが強いんです。ずっと自分たちで引いて、マイヨジョーヌを守っています。山へ入ってもずっと引いています。アスタナは信じられないほど強い。道が複雑になると一度ペースが上がると前に上がれないんですよ。あと、「この日は逃げ切りが決まるんじゃないか」という日にキャノンデールが動いて逃げを潰したり。

ー これからのチームの走りはどうなりますか?

ユーロップカーはピエール(ロラン)の総合10位を守ることが最重要なので、ケビンとコカールは2人でスプリントに臨んでくれという指示です。ピエールの調子はいいと思います。僕も明日のサン・ジロンまでの道はすべて知っているし、明日はヴォクレールの日になると思います。明日のゴール地点周辺はトマが2回ステージを勝っているんです。しかも休息日明けにトマは勝つので、いいジンクスの日です。

ー 自分の目標は? 逃げを狙いますか?

僕はまだ逃げに乗れていないんです。マイカが勝った日も僕が逃げに乗る予定の日だったんですが、乗れなかった。ユーロップカーはなかなか複数を逃げに乗せることができない。いや、正確には1度に5人が逃げに乗ったことがありますので、ゼロか大勢か(笑)。

ー 最終週についてのプランは?

実質、あと4日です。あと4日頑張ります。ピエール(ロラン)はトップ10以上を狙います。まずトップ10は確実だと思います。怖いのはファンデンブルックと、ベルキンの2人(バウク・モレマとローレンス・テンダム)が居ること。2人は3週目は良くないと思いますので、僕の予想ではピエールの総合7位は堅いと思います。もちろん個人T.T.での走り次第ですが。

ピエールはジロのときのように3週目に入って調子を上げてきているので、総合5位を狙わせたいですね。1年に2つのグランツールでトップ5以内に入れば素晴らしいと思います。

「喉の調子が今ひとつだが、脚の調子はとても良い」「喉の調子が今ひとつだが、脚の調子はとても良い」 photo:Makoto.AYANO僕達にはあまり関係がないと思います。でもマイヨヴェール争いで(ブライアン)コカールと(アレクサンダー)クリストフの差がたった11ポイントなので、もしもサガンが怪我でリタイヤしたりしたら、シャンゼリゼでポイント争いをしなければいけなくなる。そのあたりも考えながらチームは走ります。シャンゼリゼで引くなんて考えられない(笑)。観る方には面白いかもしれませんが、もしそうなると楽しいシャンゼリゼが楽しめなくなる(笑)。

ー 最終週への意気込みをお願いします。

明日からは僕が待ちに待ったピレネーです。自分とは相性がいいので、何かしたいですね。ここまで転ぶこと無くいい状態で来れたのもチャンスだと思います。何かあるんじゃないかと自分で予想しています。
僕らにとってのツールは実質あと4日。ツール・ド・リムザンなど小さなステージと同じです。4日頑張ればいいだけ。集中して走るだけです。良い予感がありますね。いつもいいことしか考えないようにしていますが、予感が当たるといいですね(笑)。

photo&text:Makoto.AYANO in FRANCE

最新ニュース(全ジャンル)