圧倒的なステージ3勝目を決めたキッテルは、「ハイペースで、非常にまとまって走るのが難しかった」と振り返る。ほか落車で怪我を負ったクリス・フルームや、パヴェステージを危惧するファビアン・カンチェラーラのコメントを紹介する。



ステージ3勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

先行したアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)に並びかけるマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ)先行したアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)に並びかけるマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ) photo:MakotoAYANO
キッテルの勝利を知って喜ぶトム・フィーラースとクーン・デコルトキッテルの勝利を知って喜ぶトム・フィーラースとクーン・デコルト photo:MakotoAYANOゴールのリプレイに見入るマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ)ゴールのリプレイに見入るマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ) photo:MakotoAYANO早くも3勝目を挙げたマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ)早くも3勝目を挙げたマルセル・キッテル(ジャイアント・シマノ) photo:MakotoAYANO長いステージでは無かったが、とても速く、そしてナーバスだった。残り30kmあたりからはとてもハイペースで、非常にまとまって走るのが難しかったよ。常に集団前方に位置することを心掛けていて、クリストフの番手につけようとしたけれどかなり困難だった。彼は今日とてもパフォーマンスが良かったので注意する必要があったんだ。

事前にコーチ陣と打ち合わせをしていて、最後の250mからスプリントを開始しようと考えていた。どんな状況でも、誰も僕らを打ち負かす事なんてできないと証明できた。本当にキツい一日だった。明日はまたとても難しい一日になるだろうけど、パリ〜ルーベで2位フィニッシュしているデゲンコルブが良い走りをしてくれるはずだ。

それから、今日は髪型に関してプランBを使った。昨日イギリスから飛行機に乗る時にヘアジェルを没収されてしまったんだ。でももう一つをバッグに入れていたから、今日もヘアスタイルは問題無し!

ステージ2位のアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

今日は勝利まで本当にあと僅かだった。ルーカ(パオリーニ)は終盤まで素晴らしい働きをしてくれたし、その後のアレックス(ポルセフ)の働きも信じられない。彼は本当に速かったから、そのままゴールまで行ってしまうのではないかと思ったほど。僕は残り350~400mで前に出て、やや後ろと距離が空いているのが分かった。そこからはできる限りの力でスプリントした。ちょっと仕掛けが早過ぎたと思うけれど、良いチャレンジだった。単純にキッテルが強かったんだ。でも僕にも可能性はあるし、トライし続けていく。

スプリントについて語るマーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)

凄く難しい判断を迫られるスプリントだった。フィニッシュまで500m地点で、カチューシャの二人と共に少し早いタイミングで飛び出してしまった。トラック競技の経験からクリストフまで追いつくことができたけれど、残念なことにキッテルを打ち負かすだけの脚が無かった。チームとしてはとても上手く走れていたし、シーズンを通してもこれだけ上手くトレインを組めたことはあまり無かったと思う。

落車をしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

序盤に落車したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)。擦過傷と手首を打撲序盤に落車したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)。擦過傷と手首を打撲 photo:A.S.O.
治療を終えたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)治療を終えたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Cor.Vos僕の前にいた選手が別の選手にホイールをハスってしまい、彼のリアホイールが僕のフロントホイールにぶつかった。回避する間も無くて、あっという間に地面に転がってしまった。でも自転車競技とはそういうものだ。

打撲と擦り傷は大したことなくて良かったが、落車した時は手首に大けがをしてしまったかと思っていた。ドクターに診てもらったけれど大きな問題はない。でも問題の手首はずっと痛んでいるので、明日のパヴェセクターでは辛い思いをするだろう。でも僕には素晴らしいチームがついてくれているし、この数日間を彼らと共に乗り切りたいと思う。明日もレースができるので本当に良かった。また自転車に乗ることが楽しみだ。

敢闘賞を獲得したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

逃げが評価されて敢闘賞に輝いたトマ・ヴォクレール(ユーロップカー)逃げが評価されて敢闘賞に輝いたトマ・ヴォクレール(ユーロップカー) photo:MakotoAYANO今朝からエンジンがかかっていたので逃げに乗ろうと思った。僕は35年ものの古いディーゼル(エンジン)だから、ウォームアップが必要なんだ。もちろんゴールまで逃げ切れるとは思っていなかったけれど、今日はとても楽しむことができた。

僕らの目標はピエールを安全な状況に保ち、可能な限りロスタイムを食らわないようにすること。彼は一流のステージレーサーとして認識されているけれど、今はもう一段階上のレベルに上がってきている。昨日は若干のミスを犯したけれど、特に問題は無いはずだ。またコカールは走り方を学んでいる最中だから、もうじき結果を出してくる。

ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

第4ステージを走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)第4ステージを走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:A.S.O.パヴェそれぞれが明日にかけて状況を変えていくはず。雨が降ってウェットコンディションだったら、それはもうルーレット。誰が上手くパヴェをこなすか分からないし、運任せだ。大集団でパヴェに入ることになるだろうし、そうした場合どういうことが起きるかは今日分かっただろう。中央分離帯に、市街地に...。そこには危険しか無い。自転車競技は変わらなければならない。明日のステージ以降、この問題は立ち上がっていくだろう。

事前に各チームはパヴェの試走を行っていた事前に各チームはパヴェの試走を行っていた photo:Omegapharma Quickstep/TDW Sport明日はパリ〜ルーベとは完全に違うシチュエーションになる。2010年は暖かくドライだったにも関わらず、4番手を走っていたフランクが落車してツールを去った。状況だって2つのレース(総合争いとステージ争い)が混在しているし、パリ〜ルーベでは全てのチームが同じゴールに向かっているけれど、ツールでは様々な思惑を持ったチームが共に走っている。天気予報も良くないし、間違いなく大惨事になるし、間違いなくカオスになる。

石畳をツールに組み込むべきかというのは良いクエスチョンだ。ASOはショーを見せたくてパヴェを組み込んだんだろうが、明日は自転車競技の全てが変わりはじめる歴史的な一日になるはずだ。晴れだったら悪くないと思うけれど、明日はどうだろう?まったくどうなるか分からない。笑っているかもしれないし、涙をこぼすかもしれない。明日のレース後にまたどうだったか答えるよ。

誰がウェットコンディションのパリ〜ルーベを走った事があるだろう?少なくとも今年のツールのプロトン内にはいないと思う。僕はパヴェのスペシャリストではあるけれど、ウェットコンディションだとまったく状況が違ってくる。この世に10〜15人くらいしか石畳を本当に速く走る方法を知らないだろうし、今はツール。パリ〜ルーベでは無いし、4月でもない。

ロット・ベリソルのアンドレ・グライペル(ドイツ)、グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)、チームドクター

スタートに向かうバルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)スタートに向かうバルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Cor.Vosグライペル:まず、勝利を目指しトレインを組んでくれたチームに感謝したい。ヘンダーソンがリタイアとなり、これからレースは難しくなるけど我々は勝利を諦めないよ。今日のレースに勝ったキッテルにおめでとうと言いたい。

落車したニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)落車したニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vosヘンダーソン:お見舞いのメッセージありがとう。クラッシュで膝を打ち付けてしまい、切ってしまったんだ。これから手術のためにオフに入るよ。

チームドクター:ヘンダーソンは右膝を12cmも深く切ってしまっていたので、レース後すぐに傷を縫合した。レースをリタイアして、これからベルギーの病院で傷口についた菌を除去する手術を行う予定だ。バクは頭を打ち付け、左半身に擦り傷ができてしまっている。レースは完走したが、少しめまいがしていた様だ。デクレルクも肩から膝にかけての右半身を強打した。バクとデクレルクに関しては明日もレースを走るよ。

リタイアしたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)とチームドクター

リタイアしたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)。写真は第2ステージリタイアしたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)。写真は第2ステージ (c)Makoto.AYANOシュレク:とてもショックだ。ルテュケ(第4ステージのスタート地点)に到着してすぐ、ウォーミングアップのためにローラー台に乗ったが、痛みがひどすぎた。スタートの瞬間まで我慢してみたけれど、無視できないほどの痛みだった。とても落ち込んでいるよ。フランクと共にツールに参加できたことがとても嬉しかったのに。ツールに参加できていてハッピーだったし、調子も良かったし、戦う準備もできていた。チームを失望させてしまったし、フランクをも失望させてしまって悲しい気分だ。彼の総合順位をサポートする準備もできていたし、第1線で戦うレベルまでもどってきていたのに。

ドクター:アンディは膝のMRI検査を受けて、その結果で必要ならば治療の方法を決めていく。明らかに彼はひどく膝を痛めているし、スタートは絶対に良くなかった。できる限りの治療を試みたが、怪我は思ったよりも悪く、彼をレースキャンセルに追い込んでしまった。

text:So.Isobe