6月27日、トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)が今シーズンのロード世界選手権をもって引退すると発表した。ここ数年ずっと伝染性単核球症に苦しめられた2010年の世界チャンピオンが現役を退く。



ノルウェーチャンピオンジャージを着るトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)ノルウェーチャンピオンジャージを着るトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム) photo:Riccardo Scanferla「ウイルス、つまり伝染性単核球症のウイルスにノックアウトされた。時には好成績を残すことが出来たものの、身体の中にウイルスを蓄えながら走ることで、身体的にも精神的にも参ってしまった」。記者会見を開いたフースホフトはそう語った。現役最後のレースは9月にスペインで開催されるロード世界選手権になる見通し。フースホフトはツール・ド・フランスのメンバーに選ばれていない。

2010年ロード世界選手権で勝利したトル・フースホフト(ノルウェー)2010年ロード世界選手権で勝利したトル・フースホフト(ノルウェー) photo:Kei Tsuji1998年にU23世界選手権タイムトライアルやパリ〜ルーベエスポワールで勝利を収め、2000年にクレディアグリコルでプロデビューしたフースホフトは、2009年からサーヴェロテストチーム、2011年からチームガーミン、そして2012年からBMCレーシングで現役生活を送ってきた。グランツールではステージ通算14勝(ツール10勝、ブエルタ3勝、ジロ1勝)。2005年と2009年にはマイヨヴェールに輝いている。クラシックレースでは2006年ヘント〜ウェベルヘム優勝。ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベでは2度表彰台に登っている。

キャリア最大の勝利は2010年のロード世界選手権。しかしその1年半後の2012年に伝染性単核球症が発症する。記者会見でフースホフトは「2012年3月12日、高い熱で目が覚めた。それから2日間半ずっと寝込んでいた。それが悪夢の始まりだった」と語っている。

病に苦しめられた2012年シーズンは0勝。2013年はノルウェー選手権やツール・ド・ポローニュでのステージ2勝、ツアー・オブ・北京ステージ優勝を含めて9勝を飾ったものの、「病魔は身体だけでなく精神も蝕んだ」と言う。

今シーズンはヘント〜ウェベルヘムで9位に入り、ツアー・オブ・カリフォルニアで2度トップ10入り。しかし「走り続けたい気持ちも強いが、もう充分だと判断した」とフースホフト。36歳になった今、4年前に栄光を掴んだ世界選手権を最後に現役にピリオドを打つことを決めた。

text:Kei Tsuji