長野県、富士見パノラマで開催されたJシリーズダウンヒル第2戦は納車されたばかりのトランジションの新型DHバイク、TR500に乗る加藤将来(ラブバイクス/アクセル)が切れ味の鋭い走りを決め、Jシリーズ初優勝を挙げた。



優勝した加藤将来(ラブバイクス/アクセル)、決勝のラン。最終コーナーを抜けてフィニッシュラインへ進む優勝した加藤将来(ラブバイクス/アクセル)、決勝のラン。最終コーナーを抜けてフィニッシュラインへ進む photoHiroyuki.NAKAGAWA
5月31日に開催されたダウンヒルは晴天に恵まれ、コースは完全ドライコンディション。コースセッターの内嶋氏によると「今回はあえて常設区間を多用しました。奇をてらった設定ではなく、王道の攻め方、その中でも多彩なラインが選べるようにしてあります。」との言葉通り、Aコース下部のスタート地点から、通常営業で使用されているコースが今回の主なレースコース。しかし、コーステープの張り方に工夫があり、いくつものラインが選択可能な中で、ライダー達はコンマ差のレースを競い合った。

上部のS字コーナーを大胆なラインで走る加藤将来(ラブバイクス/アクセル)上部のS字コーナーを大胆なラインで走る加藤将来(ラブバイクス/アクセル) photoHiroyuki.NAKAGAWA午後1時から行われた予選では、井本はじめ(ラブバイクス)が2位以下に1.8秒差をつける走りでトップ通過、2位に井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)、3位には青木卓也(ジャイアント)が続いた。井本は前日のタイムドセッションでも2.3秒差でトップタイムをマークしており、加藤と同様、届いたばかりのTR500のシェイクダウンとしては上々の結果で戦闘力の高さを見せつける走りを見せた。

大会期間を通して、抜群の切れ味を見せていた井本はじめ(ラブバイクス)大会期間を通して、抜群の切れ味を見せていた井本はじめ(ラブバイクス) photoHiroyuki.NAKAGAWA予選に続き開催された決勝では予選5位通過の加藤が2分23秒台の好タイムをマーク。スタート地点に残るライダー達は無繊によって告げられた加藤のタイムに少なからず動揺してしまった。今期、安定して好調を維持している青木は、自身の予選タイムを3秒以上短縮する走りを見せたが、加藤のタイムには0.8秒及ばず暫定2位、残るライダーは井本だけとなった。だが井本はスタート直後のS字を直線的に抜けるラインで大きく転倒、このミスで優勝に絡む事が絶望的となってしまった。井本が転倒したこの場所は、練習時から抜群の速さを見せていたコーナーだった。

ロックセクションに進入する浅野善亮(ジャイアント)ロックセクションに進入する浅野善亮(ジャイアント) photoHiroyuki.NAKAGAWAゴール地点で井本を待っていた暫定1位の加藤は、なかなか更新されない井本の中間タイムを見て勝利を確信。やがて、それは現実のものとなった。2位には青木、3位には同じくジャイアントの浅野善亮が入った。

ハードパックされた常設区間を走る青木卓也(ジャイアント)ハードパックされた常設区間を走る青木卓也(ジャイアント) photoHiroyuki.NAKAGAWA表彰式終了後には加藤のJシリーズ初優勝を影で支え続けた父親と共に、表彰台の上で喜びを分かち合った。

優勝した加藤将来(ラブバイクス/アクセル)

テーブルトップからS時に進入していく九島勇気(玄武/ターナー)テーブルトップからS時に進入していく九島勇気(玄武/ターナー) photoHiroyuki.NAKAGAWAなんかこう、心臓が爆発しそうになりました。いつも攻めまくっていますが、今日はミスなくゴールまで走りきれたので、これはやったか!と思ったらドキドキしちゃって。スタート前、今日は不思議と緊張感が無くて、さぁやってやるぜーっと楽にスタートできました。まだ優勝争いに加わっているっていう意識がないんです。目標タイムも2分25秒出せたら合格だなって。いつも大きなミスがあって最後まで決めれた事もないですからね。今日は快心の走りだったと思います。勝つってこういう事なんだなぁって。今年、あと何回か勝ちたいですね。それぐらい気持ち良いです。

新しいバイクはとにかく良いです。コーナーの抜け、当て込んでからの立ち上がりが最高なんですよ。まだ1週間しか乗ってませんけど、違和感はまったくなくて、それでいて速いバイクだと思います。

2位 青木卓也(ジャイアント)

(3位となった前回の)箱館山は、かなり思い通りに走れてたんです。ところが今回は思い通りにいかない事が多かった。なかなか順調に決勝に向けて仕上げていく感じには至らなかったんですよね。そうなると気持ちを維持するのも大変で、今日も朝からいくつかのラインを変えてみたり。体調と言うよりもメンタル的にキツいレースでした。

そんな中で攻めつつも、冷静に、うまくまとめる事はできたんでしょう。そのバランスがとても難しいコンディションだったと思います。去年、一昨年は今思うとスランプでしたよね。どうしたら速く走れるか見つけられないっていうか。今年はまたちょっと違う、どうしたら良いかっていう方向性と、結果がリンクしてきました。そういうのがちょっと新鮮で、楽しくレースに取り組んでますよ。

伐採によって太陽の光が届くようになったエーダッシュ。女子優勝の中川弘佳(ラブスポドットコム)伐採によって太陽の光が届くようになったエーダッシュ。女子優勝の中川弘佳(ラブスポドットコム) photoHiroyuki.NAKAGAWA
男子表彰式男子表彰式 photoHiroyuki.NAKAGAWA
3位 浅野善亮(ジャイアント)

感触はかなり良い。勝てそうなイメージが湧いてくる中でレースをしています。(チームメイトの)卓也君とも良いコミュニケーションが取れていて、それで気持ちは凄く楽になっています。近いうちに、必ずチームでワンツー。もう卓也君でも僕でも、どっちが勝っても良いんですけど、とにかくチームは好調なので、これは目標というより、今期、必ずそういう日がきます。

女子は末政実緒、中川綾子が不在の中でのレース、ある意味、誰が勝ってもおかしくない状況の中で、ベテランの中川弘佳が勝利した。

女子エリート優勝 中川弘佳(ラブスポドットコム)

(優勝は)たぶん6年ぶりぐらいでしょうか。ここ数年、腰を痛めて、それで2回の手術があって。それでも応援してくれている人がいて。なのでとても感慨深いものがあります。素直に喜びたい優勝になりましたね。

トランジションの新型DHバイク、TR500と共にトランジションの新型DHバイク、TR500と共に photoHiroyuki.NAKAGAWA表彰式後は父親と共にステージに上がり、祝福を受けた表彰式後は父親と共にステージに上がり、祝福を受けた photoHiroyuki.NAKAGAWA




Jシリーズダウンヒル 富士見パノラマ 結果
男子エリート
1位 加藤将来(ラブバイクス/アクセル)
2位 青木卓也(ジャイアント)
3位 浅野善亮(ジャイアント)

女子
1位 中川弘佳(ラブスポドットコム)

photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm