「こんなにも伝説的で、多くの観客がいる山で勝てたことを誇りに思っている。チームが勝てる最後のチャンスだから、全力を尽くしたんだ。」と語るのは、ステージ優勝の栄冠に輝いたマイケル・ロジャース。総合優勝を決定づけたナイロ・キンタナのコメント他と共に紹介する。



独走勝利を飾ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)

モンテゾンコラン頂上に近づくマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)モンテゾンコラン頂上に近づくマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsujiとてもキツいクライミングだったし、何度も何度も自分自身と戦っていた。でも最後ボンジョルノと一緒に登っているときに、先行して独走に持ち込めるかもしれないと思っていた。頭を下げて低いポジションをとって、僕はフルスピードで駆け上がったんだ。こんなにも伝説的で、多くの観客がいる山で勝てたことを誇りに思っている。チームが勝てる最後のチャンスだから、全力を尽くしたんだ。

2勝目をアピールするマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)2勝目をアピールするマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji今朝のチームミーティングで、ビャルネ(リース)は逃げに2名を送り込みたいと言った。僕は最後に逃げに加わったんだ。ともに逃げたニコ(ロッシュ)が素晴らしい働きをしてくれて、僕たちは十分なアドバンテージをキープしたままゾンコランの麓に到着したんだ。そして僕はそこから自分の展開に持ち込むことができた。

ゾンコランでは後続とのアドバンテージがどれだけあるかなんて分かっていやしなかった。クルマからの情報も無く、多分ラジオコルサからも限られた情報しか入っていなかったんだろう。それは頂上までのタイムトライアル。初めてゾンコランを登ったから、どんな登りかも把握していなかったよ。全力を尽くして登ったし、全く簡単なことでは無かった。ラスト100mでようやく勝てると自信を持つことができたんだ。

僕らは勝利のために走っている。全力を尽くして勝利するのは僕にとってまだスリリングなこと。チームのために仕事をするのも好きだし、チームのみんなに僕の経験を教えていくことも好きだ。勝利に向かって突き進んでいくことはスポーツの醍醐味だと思う。

今大会2本目のスプマンテを開けるマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)今大会2本目のスプマンテを開けるマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji
全ての勝利が美しいけれど、特に今日はゾンコランというジロの歴史に輝くステージでの勝利だった。ステルヴィオやガヴィア、ゾンコラン…。これらの山で勝利することは全てのサイクリストにとっての夢だと思う。

アクシデントで遅れたフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)

ロジャースを追うフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)ロジャースを追うフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF) photo:Cor.Vos怒っている。ファンは僕らの力の源だけれども、自分のポジションから出てきて選手に触ってはいけないよ。僕は今日のステージのことをジロの開幕からずっと考えていた。ゾンコランステージをずっと待っていたし、最終盤に決定的なアタックを仕掛けようと思っていたんだ。多分それでもロジャースが勝っただろうけど、対等に彼と戦いたかった。一つの可能性に過ぎないけれど、僕はジロのクイーンステージで勝ちたかったんだ。

(twitterでメッセージをくれたファンに対して。)励ましのメッセージを送ってくれたみんな、本当にありがとう。これまでも何度も言ってるけれど、みんなが僕を強くしてくれている。自転車レースは、最高のスポーツだ!

マリアローザを決定づけたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ウランとともにフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ウランとともにフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsujiマリアローザを着て表彰台の上に立ったとき、泣きそうなほどうれしかった。いま人生の中でも本当に大切な目標をつかんでいる。イタリア人、コロンビア人そして世界中のファンと共にこんな素晴らしいレースで勝利できるのは本当に誇らしいよ。

モンテゾンコランの大型モニターにマリアローザが映し出されるモンテゾンコランの大型モニターにマリアローザが映し出される photo:Kei Tsujiもう総合順位は動かないだろう。明日の最終ステージはほぼ平坦だし、今日のステージを見ればわかるように僕らのチームは本当に強いからね。僕らは、最後のリザルトを確定させて、このジロを走り切りたいと思っているよ。

ゾンコランは魔の山と呼ばれるにふさわしいほどに厳しかった。レースのぺースがここ数日非常に高かったから、多くの選手が最後の登り区間に入るまでにかなり疲労していた。チームはこの結果に喜んでいるし、満足しているよ。第一週の終わりと第二週の初めのほうは、体調が思わしくなくて、みんなの期待に応えられることが出来なかった。

いくつかのつなぎのステージを苦戦しつつも、なんとかやり過ごしたんだ。そして、体調を回復させて、今は完全な調子に戻っている。僕らはすでにマリアローザを着ているし、ライバルにほぼ確実なタイム差を着けている。最後まで冷静に走っていくよ。


リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)

メイングループのペースを上げるワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)メイングループのペースを上げるワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji今日はチームとして素晴らしい働きができたと思う。みんなは僕のために一日中戦ってくれた。最初から逃げにメンバーを乗せておいて、最後の山で僕のアシストを務める役にはセリーが入ってくれたし、僕のそばではワウト(ポエルス)が良いテンポを刻んでくれたんだ。セリーに追いついてからは彼も全力でアシストしてくれたよ。

あんな多くのファンが集った山岳を登ることは素晴らしい経験になった。僕は総合2位という順位をとても喜んでいるよ。チームはジロの期間中完璧に働き通してくれたし、(総合の)ポディウムに登ることができて満足している。考えうるチャンスの全てを自分のものにできたし、できる限りのことができたと思っている。

オメガファーマ・クイックステップにとってグランツアーの総合表彰台は初めてのことなんだ。これからの(グランツアーでの)活躍の第一歩になれば良いと思う。僕らはいつでもチャンスを狙って走るけれど、今夜は僕らが成し遂げたことをお祝いしたい。明日はジロの最終ステージを楽しんで走りきりたいと思う。

69位でフィニッシュした別府史之(トレックファクトリーレーシング)

笑顔でモンテゾンコランを登る別府史之(トレックファクトリーレーシング)笑顔でモンテゾンコランを登る別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiジロを締めくくるゾンコランの山頂ゴール。最大勾配22%に備えて34x32Tを付けてスタートした。チームメイトのリカルドとホンドが逃げに乗り、自分はロバートと山まで集団で待機した。メイン集団はキャノンデールとコロンビアが全開で引き、山岳までにタイム差を縮めた。山岳に入ってモビスターとユーロップカーが先頭を引き、前を追う展開に。山を越えるたび、集団は30〜40人くらいに絞られる。自分もそこに残り山岳ポイントを越えた。

笑顔でモンテゾンコランを登る別府史之(トレックファクトリーレーシング)笑顔でモンテゾンコランを登る別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiゾンコラン入り口前では、ロバートのための最後の仕事(ポジション取り)のために前にあがった。むやみに前に出るのではなく、リーダーの脚を温存させながら、いい位置、いいタイミングで前方に送り込むことが大切。マリアローザチームのモビスターのすぐ後ろにロバートが入ったのを確認して、後方に下がった。

ここからは自分とゾンコランとの戦い。地獄とも呼ばれるゾンコランは2011年のジロで登ったことがある。そのときは地獄に相応しい厳しい山だと感じたけど、実は今回はそれほどキツく感じなかった。3週間、好調を維持でき、最後のゾンコランも楽しむぐらいで登れた。沢山のファンにも励まされて登ったゾンコランは、ジロを締めくくるに相応しいステージだった。


各コメントはチーム/個人公式ウェブサイトなど、新城幸也のコメントはTeamユキヤ通信より。

text:So.Isobe