ヴィットリアのロード用タイヤのセカンドラインナップであるDiamante(ディアマンテ)シリーズ。今回はそのスタンダードモデルとして位置づけられる「Diamante Pro」のロングタームインプレッションを行った。



プロレーサーが愛用するハイエンドモデル・Corsa(コルサ)シリーズの下に位置づけられるディアマンテシリーズ。そのラインナップは、ラジアルケーシング構造を採用し話題を呼んだ「Diamante Pro Radiale」と、ハイスピードに特化した軽量の「Diamante Pro Light」、そして今回インプレッションを行ったスタンダードモデルの「Diamante Pro」という3種類だ。
ヴィットリア Diamante Pro(25c)ヴィットリア Diamante Pro(25c)
控えめなロゴはバイクのイメージを邪魔しない控えめなロゴはバイクのイメージを邪魔しない ディアマンテシリーズの特徴は、軽く柔軟な220TPIのナイロンケーシングを採用していることだろう。レーシングモデルとしての高機能と、デイリーユーザブルなコストパフォーマンスを両立しているクリンチャータイヤラインナップである。

コンパウンドはCORSAシリーズと同じ「Isogrip SC」を使用している(写真はOPEN CORSA CX)コンパウンドはCORSAシリーズと同じ「Isogrip SC」を使用している(写真はOPEN CORSA CX) タイヤの品質を左右するコンパウンドは、2012年モデルのコルサシリーズより採用された「Isogrip SC」だ。これに220TPIのケーシングを組み合わせることで、コルサシリーズに匹敵するしなやかさとグリップ性能を求めている。同価格帯のライバル製品に対し、220というTPI値は大きなアドバンテージと言えるだろう。コンパウンドの名称ともなっている「SC」とは、Servizio Corse(レーシングサービス)のこと。つまりレースシーンでの使用を第一に開発されたピュアレーシングコンパウンドである。

コルサシリーズではそのほとんどがクラシックな杉目状のトレッドパターンだが、ディアマンテシリーズはスリックパターンを基本としている。Diamante Proはセンターがスリックトレッド、サイド部はグリップ力を狙った独特のパターンだ。

タイヤ幅は2種類が用意されており、今回はレース界でスタンダードとなりつつある25cのインプレッションを行った。重量は220gと比較的軽量で、23cでは210gとなる。カラーはブラック1色のみの設定だ。



—インプレッション

今回のインプレッションで使用したのは25cタイプ。プロレース界でスタンダードの座に置き換わったサイズで、実測重量は225gと223gで、カタログスペックとの誤差は5g。この数値から工業製品としてとても優秀な部類に入ると言えるだろう。超軽量タイヤではないものの、常用に不安の無い数値であり、どこか安心感も高い。

今回のインプレッションでは私物のホイールにセットし、取材や週末ライドでおよそ1500kmほどを走りテストを行った。指定空気圧は7-10barだが、25cということもあって6気圧以下での走行もチェック済み。舗装路はもちろんだが、ダート林道やガレたシングルトラックも相当な距離を乗り込んでいる。

「ケーシング剛性が高く、クリーンな路面で高い転がり性能を発揮する」「ケーシング剛性が高く、クリーンな路面で高い転がり性能を発揮する」
これはリムとの相性にもよるものだが、ホイールへの取り付けは比較的楽に行うことができた。デイリーユースでの使用を考えればパンクによる脱着のしやすさはありがたい。指でつまんでみたところ、トレッド面は比較的厚めかつ硬めな印象だ。サイドは中央部分に比べて薄く、軽い走りが期待できそうだ。

実測幅は25.1mmだった実測幅は25.1mmだった 走り出しての第一印象は「かなりしっかりとした、硬めで転がりの良いタイヤ」といったところだろうか。触った通りコンパウンドが硬めでケーシング剛性が高いため、クリーンな路面では軽い走りが楽しめる。

最初から言っておくと、このタイヤはベストな空気圧を探すのがやや難しい傾向にある。つまり硬めであるため圧が高すぎれば車体が跳ねてしまい、低すぎれば不自然なヨレがでてしまう。しかしひとたび「美味しい範囲」にハマれば、グリップ感と振動吸収性がちょうど良いバランス感で収まってくれる。

ディアマンテシリーズ独特のトレッドパターンを装備ディアマンテシリーズ独特のトレッドパターンを装備 同社トップモデルの「Open Corsa」がしなやかさでグリップを稼いでいるのに対し、このDiamante Proはガッチリとした剛性感でコンパウンド表面を路面に食い付かせているようだ。ただし完全に硬いかと言うとそうではなく、トレッド面がやや肉厚であるため僅かながら弾力がある。

そのためコーナリングで車体をバンクさせてもタイヤの断面形状が大きく変化せず安定し、ハンドリングに変化が現れるようなことも無い。ただし路面の凹凸を拾いやすいため、例えば舗装がめくれていたり、小石が浮いている場所では注意を払っていた方が良いだろう。

耐久性に関しては、およそ1500kmを走ってダートでのサイドカットによる後輪パンクが一回なので優秀といって良いはず。うっすらとリアタイヤの中央部がフラット化し、その部分のトレッドパターンはほぼ消えた。同シリーズの「Diamante Pro Radiale」よりは耐摩耗性が優秀で、ひび割れなども全く発生せず。通勤通学や日々のトレーニングユースとしても良いだろう。

レース用途として考えるならば、例えばサーキットのような路面コンディションが整ったシチュエーションに最適なはずだ。同シリーズにはより良いコンディションでのスピードを高めた「Diamante Pro Light」が用意されており、こちらの乗り味も気になるところだ。硬めのタイヤが好きな方、比較的体重のあるライダーにオススメしたい。



ヴィットリア Diamante Pro
サイズ:23c、25c
重 量:210g(23c)、220g(25c)
ケーシング:220TPI
価 格:6,400円(税抜)

text:So.Isobe