2009・2012年シクロクロス世界王者ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCP・パワープラス)が5月19日に記者会見を開き、心臓疾患がもとで競技をやめなければならない状況にあることを告白。現役引退を発表した。



現在28歳のニールス・アルベルトは2009年と2012年の2度のシクロクロス世界チャンピオン。2004年にはジュニア世界選チャンピオン、2011年はベルギーチャンピオンにも輝いている。アルベルトは地元ベルギーで開いた記者会見で涙ながらに次のように語った。

「さよならを言わざるを得なくなった。死につながる不整脈がある。僕の情熱は取り上げられた。競技を止めるほかない。自転車レースはいつも僕の最大の情熱だった。でもこのプロ生活は止めるほかない。”プロアスリートとしての生活に別れを告げなさい”というのが、僕が医師から得たたったひとつのアドバイスだった」。

引退を発表した2009・2012年シクロクロス世界王者ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCP・パワープラス)引退を発表した2009・2012年シクロクロス世界王者ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCP・パワープラス) (c)CorVos
プロのシクロクロス選手としては6年間という短い競技生活を送ったアルベルト。昨シーズンはワールドカップで2勝して総合3位、スーパープレステージで2勝して総合2位、UCIランキングでは3位でシーズンを終えた。しかし医師によれば、アルベルトの心臓の不整脈は、激しいスポーツの最中に心臓発作を引き起こし、死につながる可能性があるとして、トップレベルでのスポーツからは身を引くようにすべきという診断がなされた。

アルベルトは語る。「短い選手生活の中で、いくつものハイライトがあった。怪我をしなかったシーズンは1シーズンしか無く、浮き沈みも経験した。しかし2度の世界チャンピオンという最高の瞬間も経験した。しかし僕のシクロクロスへの愛は否定された。100%を捧げてきた僕にとって苦渋の決断だ」。

アルベルトの引退発表をうけて、ベルギーCX界の大ベテラン、スヴェン・ネイス(世界選手権2位)は次のようにコメントしている。

「アルベルトを失ったわけではないが、ショックだ。彼の未来は明るく、この先何年も活躍できたであろうことは疑いようもないのに。私は彼の恵まれた才能とその情熱に、偉大なアスリートとして一目おいてきた。これは彼のチームとファンだけの損失でない。彼は私のライバルである以上に、私がこの先引退した後は、この国のCX界の将来を担う存在だったのに」。

photo:CorVos
text:Makoto.AYANO