「北米最大のステージレース」はいよいよ最終日。登りを含む周回コースで、途中遅れたマーク・カヴェンディッシュがスプリント勝利。危なげなく走りきったブラドレー・ウィギンズが総合優勝の栄冠に輝いた。



マルホランド・ハイウェイのコーナーを走るメイン集団マルホランド・ハイウェイのコーナーを走るメイン集団 photo:www.amgentourofcalifornia.com
チームメイトに守られて走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)チームメイトに守られて走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:www.amgentourofcalifornia.comツアー・オブ・カリフォルニア(2.HC)はいよいよ州南部のサウザンドオークスへと到達し、フィナーレを迎えた。5月18日に行われた最終第8ステージは、サウザンドオークスの市街地と郊外を使ったサーキットコースを駆け巡る。

エスケープを決めたイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)らエスケープを決めたイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)ら photo:Cor.Vos逃げたニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)とジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ベルキン)逃げたニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)とジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ベルキン) photo:www.amgentourofcalifornia.com途中には平均勾配7%、距離4.2kmの4級山岳「ロックストア」が組み込まれており、レース距離は122.4kmだ。この日は気温が高くなることを見込み、朝8時45分と早いタイミングでスタート。総合優勝に王手をかけたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はイエローのヘルメットを被って登場した。

スタート後に逃げグループを形成したのは、最後のシーズンを走るイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)やジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ベルキン)など7名。ここにカルロス・ヴェローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ)が加わり、8名の逃げグループが地元サイクリストやオートバイライダーから人気の高い「ミルホランド・ハイウェイ」を駆け抜けていく。

集団とのタイム差が4分ほどまで広がると、先頭グループからボブリッジとニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が抜け出し、その他の逃げメンバーに対しておよそ1分をリード。集団コントロールはウィギンズ擁するチームスカイやキャノンデールが担った。

集団は早めのタイミングで全てのエスケープをキャッチすると、そこからイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)やエロイ・テルエル(スペイン、ジェーミス・ハーゲン)らが代わる代わるアタックを繰り出す。

しかしスプリント体制を築き上げる集団の勢いには太刀打ちならず、残り5kmで集団は一つに。BMCレーシングやジャイアント・シマノ主導のまま、最終右コーナーを駆け抜けた。


ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を抑えて勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を抑えて勝利したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com


ウイリーで戻ってくるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)ウイリーで戻ってくるペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:www.amgentourofcalifornia.comジャイアント・シマノのアシスト選手が退いたと同時に、カヴェンディッシュと前日優勝を挙げたペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)がスプリント。後方から勢い良く迫るジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)をかわし、カヴが第1ステージに続く2勝目を挙げた。

祝福を受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)祝福を受けるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vosカヴェンディッシュ:「正直言うと、今日はスタートしないつもりだった。でも気が変わってスタートすることに。多分登りで遅れるだろうから、それからトレーニングのつもりで走れば良いと思っていた。実際のところ1周目で苦しむ選手はほとんどいなかったけれど、2周目でパンクしてしまった。ニュートラルサービスを使ってホイールを交換し一人で登ったけれど、脚にはパワーがあって追いつくことができた。3周目の登りでは遅れてしまったが、レンショーや他のチームの数人と強力して下りを飛ばし、寸前まで追いついた。それからチームメイトが降りてきてくれて合流できたんだ。

最終盤ではテルプストラやトレンティンがパーフェクトジョブをしてくれてスプリントに集中できた。ジャイアントトレインが上げてきたので飛び乗って、サガンの発車とともにスプリント。ジョンが僕を負かしそうだったけれど、勝つことができた。自分のコンディションに満足している。」



リーダージャージを最終日まで守りきったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)リーダージャージを最終日まで守りきったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor.Vos
チーム総合優勝を果たしたガーミン・シャープチーム総合優勝を果たしたガーミン・シャープ photo:www.amgentourofcalifornia.com各賞ジャージ受賞選手が表彰台に並ぶ各賞ジャージ受賞選手が表彰台に並ぶ photo:www.amgentourofcalifornia.com




シャンパンを空けるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)シャンパンを空けるブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:www.amgentourofcalifornia.comそして終止チームメイトに守られたウィギンズは危なげなくゴールし、総合優勝を達成。得意の個人TTで鵜端リードを山岳でキープし、それを最終ステージまで守りきった。

ウィギンズは「いつも言ってきたことだが、チームメイトの力なくしては勝利は無かった。」と言う。「例えば個人TTでの力がどんなに優れていようとも一人では成し遂げられないものだし、チームは一週間を通してずっと働き通してくれた。特に若いアメリカ人-ジョー、イアン、そしてダニーは今日、逃げ集団との差を詰めてくれた。チームとして素晴らしい勝ち方だった。

ここで総合優勝できたことにとても満足している。イエローのジャージを着ているのはいつだって気持ちが良いし、優勝という目標を達成することができた。34歳の今でも表彰台の上に登るのはやっぱりナイスだ。」



ツアー・オブ・カリフォルニア2014 第7ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)    2'53"50"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
4位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ダニー・ヴァンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)
7位 ラルス・ボーム(オランダ、ベルキン)
8位 ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、ネットアップ・エンデューラ)
9位 アレックス・ハウズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 キエル・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
3位 ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・シマノ)
4位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、BMCレーシング)
7位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
9位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ガーミン・シャープ)
10位 ダビ・デラクルス(スペイン、ネットアップ・エンデューラ)
25h28'15"
+30"
+1'48"
+2'02"
+2'14"
+2'30"
+2'39"
+3'01"
+3'05"
+3'06"


ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

山岳賞
ウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)

新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・シマノ)

チーム総合成績
ガーミン・シャープ

text:So.Isobe
photo:CorVos


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