雨雲に覆われながらも、フォリーニョの街に雨粒は落ちてこなかった。今大会4回目のゴールスプリントでナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が勝利。湿気を含んだ空気を切り裂いて、二本指を突き上げた。



雲行きは怪しいが、雨は降らない雲行きは怪しいが、雨は降らない photo:Kei Tsuji
観客とタッチしながら出走サインに向かう別府史之(トレックファクトリーレーシング)観客とタッチしながら出走サインに向かう別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji出走サインを終えた新城幸也(ユーロップカー)出走サインを終えた新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji



最初の3級山岳ヴァリコ・ディ・アルチナッツォで飛び出すビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)最初の3級山岳ヴァリコ・ディ・アルチナッツォで飛び出すビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー) photo:Kei Tsuji2連続山頂フィニッシュを終えたジロは、引き続きイタリア半島を北上する。第7ステージはジロでお馴染みの街フロジノーネをスタートし、首都ローマの東にひろがる丘陵地帯を真っすぐに北へ。残り35km地点に4級山岳ヴァリコ・デッラ・ソンマが登場するものの、ステージ優勝争いに影響を及ぼさないだろう。残り20kmはほぼ平坦だ。

集団内で登りをこなすカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)集団内で登りをこなすカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsujiジロでお馴染みのフロジノーネの街をスタート後、最初の3級山岳ヴァリコ・ディ・アルチナッツォに向かってアタック開始。逃げのチームオーダーを受けた別府史之(トレックファクトリーレーシング)もアタックに加わった。

逃げグループを率いるビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)逃げグループを率いるビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー) photo:Kei Tsuji3級山岳の中腹、22km地点で飛び出すことに成功したのはビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)、ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)、ホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)、ロビンソン・シャラプ(コロンビア、コロンビア)、ビネル・アナコナゴメス(コロンビア、ランプレ・メリダ)。

この先頭5名は1分リードで3級山岳ヴァリコ・ディ・アルチナッツォをクリア。するとエラーダがスピードを弱めて集団に戻り、代わってネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が逃げグループまでジャンプした。

こうして形成された5名の逃げは50km地点で9分近いリードを稼ぎ出したが、開幕から常にマリアローザをキープしているオリカ・グリーンエッジがこの日も集団の先頭に立って逃げを追う。ここにキャノンデールとFDJ.frが加わったことで、逃げグループのタイム差は4分前後に抑え込まれた。

残り40km地点の4級山岳ヴァリコ・デッラ・ソンマでもスプリンターチームはペースを弱めず、頂上を4分13秒遅れで通過。頂上からフォリーニョまでは平坦路をまっしぐら。しかしここから逃げグループが粘りを見せた。



内陸部の湖を通過するプロトン内陸部の湖を通過するプロトン photo:Kei Tsuji


メイン集団のローテーションに加わる別府史之(トレックファクトリーレーシング)メイン集団のローテーションに加わる別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji別府史之を始めとするトレックファクトリーレーシングも集団牽引に加わり、キャノンデールやFDJ.fr、ジャイアント・シマノが協力して逃げグループを追撃。残り25kmで3分だったタイム差は、残り20kmで2分、残り15kmで1分30秒、残り10kmで53秒に。

逃げグループの中からアタックするビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)逃げグループの中からアタックするビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー) photo:Kei Tsujiペースダウンを嫌ったトゥラウやハースのアタックによって逃げグループは分裂する。協調体制を崩してしまった逃げグループは、残り3kmを切ってすぐに吸収された。

ゴールスプリントでナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)が競り合うゴールスプリントでナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)が競り合う photo:Kei Tsuji残り1.5kmから始まる連続コーナーを抜け、ジャイアント・シマノが主導権を握ってゴールスプリントへ。ベルト・デバッカー(ベルギー)のリードアウトを受けたルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)とナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がポジションを競り合いながらスプリントが始まる。

ハンドルを投げ込むナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)ハンドルを投げ込むナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiここにジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が加わった。

ストレートのど真ん中を突き進むニッツォロと、フェンスぎりぎりのラインから先頭に出るブアニ。両者ハンドルを投げ込むスプリントで、ブアニが先着した。

第4ステージに続く今大会2勝目をマークしたブアニ。アイルランドで無敵を誇ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)のいないジロのスプリントで主人公を演じている。

「緩い右コーナーの右側を走っていて、塞がれそうになったラインの隙間を抜けてスプリントしたんだ」と話すブアニが、フィニッシュラインと表彰台で2勝目を示すVサインを見せた。

中間スプリントを6番手(集団先頭)通過してポイントを稼いだマリアロッサのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)はステージ10位に。ポイント賞トップの座はブアニに移っている。ブアニはマリアロッサキープのために、今後は中間スプリントも狙っていく意思を見せている。

前日のステージ優勝者マシューズはステージ4位。連勝は果たせなかったが、マリアローザを守るには充分な成績だった。

翌日の第8ステージがマリアローザを着る最後の一日になることをマシューズも自覚している。第8ステージは1級山岳モンテコピオーロにフィニッシュする難関山岳ステージ。マリアローザは本命たちに手に渡ることになる。



Vサインを出すナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)Vサインを出すナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Kei Tsuji
シャンパンを開けるナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)シャンパンを開けるナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Kei Tsujiマリアローザを着続けるマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マリアローザを着続けるマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji



ジロ・デ・イタリア2014第7ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
7位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
8位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
9位 イワン・ロフニー(ロシア、ティンコフ・サクソ)
10位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
53位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
151位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
5h16'05"



+13"
+23"
+49"






マリアローザ 個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
6位 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ネーリソットリ)
7位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
9位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)
29h34'19"
+21"
+1'18"
+1'25"


+1'47"
+1'51"
+1'52"
+2'06"


マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

マリアアッズーラ 山岳賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
BMCレーシング

text&photo:Kei Tsuji in Foligno, Italy

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