ツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージ、スプリントと思われていたステージで逃げ切りが決まる。オプタムp/bケリーベネフィットのカナダ人選手、ウィル・ルートレーが逃げ集団内のスプリントを制しキャリア最大の勝利を遂げた。



カリフォルニア州沿岸を南下するプロトンカリフォルニア州沿岸を南下するプロトン photo:Cor.Vos
西海岸を走るメイン集団西海岸を走るメイン集団 photo:Cor.Vosツアー・オブ・カリフォルニア(2.HC)も全行程の半分を迎える。迎えた第4ステージはサンフランシスコから南、カリフォルニア州中西部のモントレーからカンブリアへと至る165.1kmで争われた。

延々と西海岸沿いを南下するコース中には合計3つのKOMがあるものの難易度は低い。終盤の40kmは小さなアップダウンがあるのみと難易度は低い。総計獲得標高は850mほどで、最後は集団スプリントになるものと見込まれていた。

この日はスタート後20kmで6名によるエスケープが発生。逃げたメンバーは以下の通りだ。

ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
クリス・ジョーンズ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
グレゴリー・ダニエル(アメリカ、ビッセルデヴェロップメント)
ウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)
ケヴィン・デメスマーケル(ベルギー、ノヴォノルディスク)
マット・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲン)

ハイスピードを維持するエスケープグループハイスピードを維持するエスケープグループ photo:Cor.Vos今大会最年少、19歳のダニエルを含む、アメリカ人選手5名+ベルギー人選手1名の逃げ。ユナイテッドヘルスケアは2名を送り込み、山岳賞のリードを広げたいルートレーは2日連続のエスケープを敢行した。ただし逃げとメイン集団のギャップは最大で3分半止まり。メイン集団ではブラドレー・ウィギンズ(イギリス)擁するチームスカイがコントロールを担った。 

集団の牽引役をオメガファーマ・クイックステップが担ったが、追いつくことは叶わず集団の牽引役をオメガファーマ・クイックステップが担ったが、追いつくことは叶わず photo:Cor.Vosプロトンは眩しく光る太平洋を横目に、州道1号線・カブリロハイウェイを南下していく。後半になってマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のスプリントで勝利を狙うオメガファーマ・クイックステップがペースアップを開始し、逃げのリードは徐々に縮小。このまま定石通りの展開になるかと思いきや、逃げグループが刻むハイスピードがプロトンの計算を狂わせた。

タイム差は残り20kmで3分、残り12kmで2分25秒。全力で牽くオメガファーマにBMCレーシングやジャイアント・シマノも加担するが、そのタイム差は決定的なものになっていく。

逃げ切りを決めた集団内では、残り10kmを切ってからクラークのアタックを皮切りに勝負に向けての駆け引きがスタート。ユナイテッドヘルスケアの2名が交互にアタックを繰り出すものの、決定的な動きとはならない。

そして6名はバラけることなくカンブリアのホームストレートへと到達。残り250mから加速したデメスマーケルを鋭くパスしたルートレーは後続を寄せ付けず、山岳賞ジャージでガッツポーズ。キャリア最大の勝利を手中に収めた。



逃げ集団のスプリントを制したウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)逃げ集団のスプリントを制したウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット) photo:Cor.Vos
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はリーダージャージを守ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)はリーダージャージを守った photo:Cor.Vosステージ優勝を遂げたウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)ステージ優勝を遂げたウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット) photo:Cor.Vos



「思っていた以上に全てがうまくいった。これまでのステージで、KOMを獲るためのスプリントが冴えていたんだ。」とルートレーは語る。「ステージで勝利するためにここに来たけれど、今日が"その日"になるとは思っていなかった。まるで少し夢を見ているような気分だ。」と喜びを隠さない。

逃げ集団を1分17秒捉えきれなかったメイン集団は、カヴェンディッシュを先頭にゴール。ウィギンズは集団内でゴールし、総合2位のローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)は中切れによって4秒遅れた集団でゴール。二人のタイム差は28秒と若干広がった。



ツアー・オブ・カリフォルニア2014 第4ステージ結果
1位 ウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)
2位 グレゴリー・ダニエル(アメリカ、ビッセルデヴェロップメント)
3位 ケヴィン・デメスマーケル(ベルギー、ノヴォノルディスク)
4位 クリス・ジョーンズ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 マット・クック(アメリカ、ジェーミス・ハーゲン)
6位 ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
7位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
9位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
3h48'37"




+15"
+1'17"





個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)
4位 ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・シマノ)
5位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、BMCレーシング)
7位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、トレックファクトリーレーシング)
8位 カーター・ジョーンズ(アメリカ、オプタムp/bケリーベネフィット)
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
10位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ガーミン・シャープ)
13h53'51"
+28"
+1'09"
+1'25"
+2'14"
+2'28"
+2'29"
+2'31"
+2'33"
+2'34"


ポイント賞
ウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)

山岳賞
ウィル・ルートレー(カナダ、オプタムp/bケリーベネフィット)

新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ジャイアント・シマノ)

チーム総合成績
ガーミン・シャープ

text:So.Isobe
photo:Cor.Vos
Amazon.co.jp

ワン カリフォルニア デイ [DVD]

キングレコード
¥ 4,935

California Girls

iUniverse
¥1,037