4級山岳の山頂フィニッシュが設定されたジロ・デ・イタリア第5ステージで、抜群のスプリントを見せたディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が勝利。吹き続ける風と冷たい雨との闘いとなる中、新城幸也(ユーロップカー)は補給ポイントで落車し、右半身に怪我を負った。



海沿いのタラントの街をスタート海沿いのタラントの街をスタート photo:Kei Tsuji


横風区間でオリカ・グリーンエッジがメイン集団を牽引横風区間でオリカ・グリーンエッジがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsuji2014年のジロには合計9つの山頂フィニッシュが登場する。その初日にあたるのがバジリカータ州を駆け抜ける第5ステージ。4級山岳ヴィジャーノの山頂フィニッシュが設定された。

前半は横風が吹きすさぶ平坦路が続き、後半にかけて3級山岳セッラ・ディ・サンキリコと4級山岳ヴィジャーノを立て続けにクリア。一旦フィニッシュラインを通過後、再び4級山岳ヴィジャーノを駆け上がる。登りの前半は2〜3%ほどの緩斜面で、残り2kmを切ってから勾配は6〜8%に。アルデンヌクラシックを彷彿とさせるコースで、パンチャーたちに出番が回ってきた。

平坦な横風区間でアタックが繰り替えされた結果、22km地点で11名の逃げが決まる。オリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団に対し、最大4分のリードを得た逃げメンバーは以下の通り。



ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
トニ・ウレル(フランス、ユーロップカー)
ビョルン・トゥラウ(ドイツ、ユーロップカー)
トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
ケニー・デハース(ベルギー、ロット・ベリソル)
ヨナタン・モンサルベ(ベネズエラ、ネーリソットリ)
ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ガーミン・シャープ)
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)
マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)



11名の逃げグループがバジリカータ州を行く11名の逃げグループがバジリカータ州を行く photo:Kei Tsuji中間スプリントでは、ポイント量産を狙ったヴィヴィアーニをスウィフトが下すシーンも。しかしヴィヴィアーニはこの日の逃げによってポイント賞トップに立つことに成功。表彰台ではマリアロッサを受け取っている。

マリアローザを着て走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マリアローザを着て走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiやがて山岳地帯に入ってタイム差が縮まると、逃げグループは分裂する。オメガファーマ・クイックステップ率いるメイン集団に対抗し、先頭ではトゥラウやフラッポルティ、モンサルベ、ファンデルサンドがエスケープを続行した。

最後まで諦めずに逃げたトゥラウは4級山岳ヴィジャーノを前に吸収。レースがフリダシに戻されると、そこからBMCレーシングやカチューシャがペースアップを開始する。

1回目の4級山岳ヴィジャーノでは大きな動きは生まれなかったが、突然降り出した大雨によって下りで落車が頻発する。

ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)やファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)らが落車したこの危険な下りで、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)がアタックを仕掛けた。



晴れ渡ったバジリカータ州の空を雲が覆い始める晴れ渡ったバジリカータ州の空を雲が覆い始める photo:Kei Tsuji
チームメイトに率いられて下りを走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)チームメイトに率いられて下りを走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei TsujiBMCレーシングが積極的にメイン集団のペースを上げるBMCレーシングが積極的にメイン集団のペースを上げる photo:Kei Tsuji



ロドリゲスのためにカチューシャがメイン集団を牽引ロドリゲスのためにカチューシャがメイン集団を牽引 photo:Kei Tsujiブランビッラは30秒ほどのリードを得たものの、カチューシャ率いるメイン集団を振り切ることは出来ず、残り1kmで吸収。最後の4級山岳ヴィジャーノで集団から飛び出すような動きは生まれず、30名ほどに絞られた集団がゴール前に差し掛かった。

登りゴールスプリントで圧勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)登りゴールスプリントで圧勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsujiニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)やダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)のペースアップによって集団が伸び、そこからウリッシがスプリントを開始する。

ステージ優勝を飾ったディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステージ優勝を飾ったディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji慌てて反応したライバルたちを振り切ったウリッシが、そのままフィニッシュラインまで勢い良く駆け上がった。

ステージ2位のエヴァンス以下、ライバルたちを1秒引き離して優勝したウリッシ。2011年のジロでステージ優勝(ヴィスコンティ降格による繰り上げ)しており、これが自身2度目のステージ優勝だ。2014年シーズンはツアー・ダウンアンダーの登りスプリント勝利を含めて3勝目。

「今日のコースは完全に自分向きだった。だから開幕前からずっとこのステージを狙っていた。こういったタイプのフィニッシュが大好きなんだ」と正直にウリッシは打ち明ける。残り17km地点で落車の足止めを食らったものの、チームメイトの力を借りて勝負に戻った。

ステージ6位に入ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がマリアローザをキープ。残り3kmでパンクして23秒を失ったロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)を除いて、各チームのエース級選手はマリアローザと同集団でフィニッシュしている。

別府史之(トレックファクトリーレーシング)は105位、新城幸也(ユーロップカー)は138位でそれぞれフィニッシュ。レース中盤の補給ポイントで落車した新城は、臀部や腰、肘、手を負傷してしまった。怪我の最新情報を含め、日本人選手の様子は後ほど現地レポートでお伝えします。



仕事を終えた別府史之(トレックファクトリーレーシング)が105位でフィニッシュ仕事を終えた別府史之(トレックファクトリーレーシング)が105位でフィニッシュ photo:Kei Tsuji痛々しい姿でフィニッシュした新城幸也(ユーロップカー)痛々しい姿でフィニッシュした新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji


ジロ・デ・イタリア2014第5ステージ結果
1位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
6位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
105位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
138位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
5h12'39"
+01"








+6'12"
+10'33"


マリアローザ 個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
9位 ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
17h41'23"
+14"
+15"
+19"
+26"
+35"
+37"
+41"
+49"
+52"


マリアロッサ ポイント賞
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)

マリアアッズーラ 山岳賞
マーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
アスタナ

text&photo:Kei Tsuji in Viggiano, Italy