残り1600mのUターンを抜けて、オメガファーマ・クイックステップのトレインが発進。しかしマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)のスピードは上がり切らず、後方から勢い良く加速したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)が先着した。



クシャダスの港をスタートするプロトンクシャダスの港をスタートするプロトン photo:Kei Tsuji
iPhoneでクシャダスの港を捉えるiPhoneでクシャダスの港を捉える photo:Kei Tsujiポイント賞ジャージのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が登場ポイント賞ジャージのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が登場 photo:Kei Tsuji


逃げグループを形成するウェズリー・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)、ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック)、ピョートル・ガウロンスキー(ポーランド、CCCポルサット)逃げグループを形成するウェズリー・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)、ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック)、ピョートル・ガウロンスキー(ポーランド、CCCポルサット) photo:Kei Tsuji最終日前日の第7ステージは、クシャダスからイズミルまでの136km。トルコ自慢の美しいオーシャンロードを経て同国第三の都市イズミル(人口260万人)にフィニッシュする定番コースだ。

オーシャンロードを走るアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)オーシャンロードを走るアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji毎年決まって大落車を誘発させていた鋭角な最終コーナーは取り払われ、フィニッシュ地点がイズミル北部に移された。しかし、残り1600mで180度Uターンが登場するなど、危険なコースレイアウトに変わりは無し。レースはスプリンターチームの支配下に置かれた。

晴れ渡るトルコ西部の平野を走る晴れ渡るトルコ西部の平野を走る photo:Kei Tsuji第6ステージを終えた時点で総合1位アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)と総合2位レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)のタイム差はわずかに1秒。ツアー・オブ・ターキーにはボーナスタイムが設定されないが、この日は海からの風が強く吹き付ける危険なステージ。風による集団分裂は充分に考えられるシナリオだ。

仮にオリカ・グリーンエッジが1秒差で追いかける展開ならば、おそらくスピードマンを揃えるオーストラリアチームは全開でクライマー揃いのコフィディスを崩しにかかっただろう。しかし逆のパターンは生まれなかった。

スプリント狙いのオメガファーマ・クイックステップやキャノンデールに混ざって、リーダージャージを守る立場のオリカ・グリーンエッジが集団先頭をがっちりとキープ。コフィディスに付け入る隙を与えなかった。

レース序盤のオーシャンロードで飛び出したウェズリー・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)、ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック)、ピョートル・ガウロンスキー(ポーランド、CCCポルサット)の3名は、メイン集団に対して最大2分30秒のリードを稼ぎ出す。風が強くて平坦基調のコースで大集団を振り切るのは至難の業。イズミルの街が視界に入る頃には、あっさりとタイム差が1分を切った。



キャノンデールもメイン集団の牽引に合流するキャノンデールもメイン集団の牽引に合流する photo:Kei Tsuji歩道橋から声援を送る子ども達歩道橋から声援を送る子ども達 photo:Kei Tsuji
声援を受けてプロトンがモスクを通過声援を受けてプロトンがモスクを通過 photo:Kei Tsuji
ハイスピードダウンヒルをこなすピョートル・ガウロンスキー(ポーランド、CCCポルサット)ハイスピードダウンヒルをこなすピョートル・ガウロンスキー(ポーランド、CCCポルサット) photo:Kei Tsuji常に集団前方で走るリーダージャージのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)常に集団前方で走るリーダージャージのアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji


キャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデール)が長時間メイン集団を牽引するキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデール)が長時間メイン集団を牽引する photo:Kei Tsuji残り10kmで逃げが吸収されると、オメガファーマ・クイックステップ、キャノンデール、ロット・ベリソル、ユナイテッドヘルスケアが混ざりあって残り3km。

オリカ・グリーンエッジがメイン集団の前方を固めるオリカ・グリーンエッジがメイン集団の前方を固める photo:Kei TsujiUターンで発生したダニイル・フォミニク(カザフスタン、アスタナ)らの落車で集団は割れ、残り1kmを切ってから今度はダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)が落車。相次ぐ落車で各チームのリードアウトトレインは機能しない。

懸命に逃げ続けるウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック)懸命に逃げ続けるウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパック) photo:Kei Tsujiオメガファーマ・クイックステップのヘルト・ステーグマン(ベルギー)とアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)がカヴェンディッシュのためにリードアウト。その後ろからヴィヴィアーニが発進した。

先頭でフィニッシュに向かうエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)先頭でフィニッシュに向かうエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Kei Tsuji前から落ちてくる選手たちを縫いながら前に上がり、カヴェンディッシュの番手からスプリントを開始したヴィヴィアーニが伸びる。その姿を横目で見ながらカヴェンディッシュも踏んだがヴィヴィアーニには並べない。ヴィヴィアーニがそのままフィニッシュラインまで踏み抜いた。

「多くの選手がひしめき合っていたので、前回よりもずっと難しいスプリントだった」と、ステージ2勝目を飾ったヴィヴィアーニ。自力でポジションを上げ、さらに加速力でライバルたちを圧倒してみせた。

「危険な最終コーナーでポジションを落としてしまい、そこからオメガファーマ・クイックステップのトレインが発進。ステーグマンのリードアウトが始まると、カヴェンディッシュを含めて多くの選手が離された。ペタッキの出番になったところでカヴの番手を取った。残り100mで、カヴがスピードに乗り切っていないことを悟って、ペダルに力をこめたんだ。こんな勝ち方は初めて」。

目標とするジロ・デ・イタリア開幕まで残り6日。マリアローザ獲得に向けてヴィヴィアーニが最高の状態に仕上げてきた。「トップコンディションと言っていい。ジロ・デ・イタリアに向けてコンディションを最大限上げることがこの8日間の目標だったんだ。ここでカヴを負かしたように、ジロでキッテルを打ち負かしたい。今から10日間この調子を維持して、ジロの一週目で結果を出したいと思う。昨年のジロでは数センチ差でカヴに敗れてマリアローザに届かなかった。キャノンデールはチームTTでも結果を出せる布陣を組んでいるので、マリアローザを着るという夢を叶えたい」。

イズミルでの闘いを終えた選手たちは、シャワーを浴びてすぐに空港へ移動。多くの選手が午後19時50分発のフライトに乗ってイスタンブールに移動する。ツアー・オブ・ターキーはイスタンブールを舞台にした平坦コースで締めくくられる。

その他の写真はフォトギャラリーをご覧下さい。



グアルディーニを振り切ってフィニッシュするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)グアルディーニを振り切ってフィニッシュするエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Kei Tsuji
ステージ2勝目を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)ステージ2勝目を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Kei Tsuji苦い表情でヴィヴィアーニと握手するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)苦い表情でヴィヴィアーニと握手するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
第7ステージのトップスリー、2位グアルディーニ、優勝ヴィヴィアーニ、3位カヴェンディッシュ第7ステージのトップスリー、2位グアルディーニ、優勝ヴィヴィアーニ、3位カヴェンディッシュ photo:Kei Tsuji


ツアー・オブ・ターキー2014第7ステージ結果
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
2位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 クリス・ボックマンス(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 テオ・ボス(オランダ、ベルキン)
6位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
7位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
8位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
9位 ケン・ハンソン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
10位 ワウテル・ウィッペルト(オランダ、ドラパック)
3h04'25"










個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
3位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
4位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
5位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、トルク・セケルスポール)
7位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
10位 エンリコ・バルディン(イタリア、バルディアーニCSF)
27h51'22"
+01"
+39"
+40"
+44"
+45"

+47"
+54"
+1'04"


ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)

ビューティーズオブターキースプリント賞
マッティア・ポッツォ(イタリア、ネーリソットリ)

チーム総合成績
コフィディス

text&photo:Kei Tsuji in Izmir, Turkey

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