ツール・ド・台湾(UCI.2.1)でフランスのコンチネンタルチーム、ラポムマルセイユが大躍進。大人数の逃げグループに入ったベンジャミン・ジローがスプリント勝利を飾り、レミ・ディグレゴリオが総合首位に浮上する。また、内間康平(日本ナショナルチーム)はアジアンリーダーの座に就いた。



スタート前に4賞ジャージが並ぶスタート前に4賞ジャージが並ぶ photo:tourdetw/Sonoko.Tanaka3月10日に開催されたツール・ド・台湾第2ステージ。コースは桃園県の市街地を中心に駆け巡る151kmで、およそコース半分の77km地点にはカテゴリー1級山岳の龍潭峠が用意される。1級にカテゴライズされるものの頂上の標高は385mで、そこからは下りと平坦がゴールまで続くというプロフィール。この日は海側から吹き付ける強い風がレースを翻弄した。

スタートを着るメイン集団。この日は強い風が吹き付けた。スタートを着るメイン集団。この日は強い風が吹き付けた。 photo:tourdetw/Sonoko.Tanaka海沿いを走る序盤から、集団からは激しいアタック合戦が続き、横風で集団の分割と連結を繰り返しながら集団一つのまま山岳に入った。

先頭集団内で走るウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパックサイクリング)先頭集団内で走るウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパックサイクリング) photo:tourdetw/Sonoko.Tanakaするとキャノンデールや、レミ・ディグレゴリオの総合上位獲得を目指すラポムマルセイユが組織立ったペースアップを敢行したため集団が2つに割れ、有力選手たちを多く含む逃げグループが出来上がる。ここには内間康平と中根英登(日本ナショナルチーム)の2人が入った。

人数を減らしながら先行する先頭グループと、こぼれた選手を吸収しながら追うメイン集団。最終的に逃げグループは内間を含む16名となり、ラポムマルセイユは4人を送り込む有利な展開に持ち込んだ。

市内の海軍基地滑走路に設けられたサーキットコースに入った時点で、2つのグループの差は55秒。秒速20.5mという猛烈な風が吹き付ける滑走路で、追いつかないことを察したメイン集団は追走を断念。一気に3分以上のタイム差がつくことになる。

最後は16名の中で突出したスプリント力を持つベンジャミン・ジロー(ラポムマルセイユ)が冷静にゴールを制し、昨年の第6ステージに続く台湾2勝目を飾った。リーダージャージは前日逃げに入り、中間スプリントでボーナスタイムを稼いでいたレミ・ディグレゴリオ(ラポムマルセイユ)が獲得。また、内間康平は先頭グループ内でゴールし、着には絡めなかったもののアジアンリーダー賞を獲得。表彰台で青いジャージに袖を通した。


エシュロンを組んで滑走路を行く先頭グループエシュロンを組んで滑走路を行く先頭グループ photo:tourdetw/Sonoko.Tanaka


圧倒的なスプリントを披露したベンジャミン・ジロー(フランス、ラポムマルセイユ)圧倒的なスプリントを披露したベンジャミン・ジロー(フランス、ラポムマルセイユ) photo:tourdetw/Sonoko.Tanaka「チームの働きをとても嬉しく思う。僕はスプリンターではなくクライマーだけど、ロードブックを読んでいてボーナスタイム如何では総合首位を獲得できるかもしれないと気づいたんだ。」と語るディグレゴリオ。「中間スプリントでリーダーになるとは特別な気分だ。残りの山岳2日間が僕向きであることを願っているよ。」

ステージ優勝とリーダージャージを手にしたラポムマルセイユステージ優勝とリーダージャージを手にしたラポムマルセイユ photo:tourdetw/Sonoko.Tanakaまた、ステージ優勝を挙げたジローは「最後の瞬間までタイミングを待ちに待った。昨年に続く2勝目。空港の滑走路をサーキットにするなんてとても面白いアイディアだと思った。今日はコースは厳しくなかったけれど、本当に風が大変だった。チームはリーダージャージを手に入れたから、それを守るべく全力を尽くす」とコメントした。

また、以下は内間康平のコメント。
「スタート前からずっと風が強かったので、宮澤さんを中心にナショナルチームは集団の前方でかたまって走っていました。(残り70km地点の)上りの前で集団は1つにまとまっていったんですが、上りでキャノンデールやラポムがペースを上げて、集団は分裂してしまい、先頭集団に自分と中根が残りました。

先頭集団は最初は大人数でしたが、そこからさらに人数が絞られ、最終的に16人になりました。最終的なグループができてからは、なるべく脚を使わないようにしながらもローテーションに加わって、ラスト500mのカーブを5番手で曲がったんですが、風上に回ってしまい、風下から追い上げる選手たちに抜かされてしまいました。アジアンリーダーでジャージを着ることで目立てるので、残りのステージもナショナルチーム全員で頑張っていきたいです。」


ツール・ド・台湾2014第2ステージ結果
1位 ベンジャミン・ジロー(フランス、ラポムマルセイユ)              3h18'29"
2位 ヤン・ディエテレン(ドイツ、チームストルティング)
3位 マルコ・ザノッティ(イタリア、パークホテル・ファルケンブルグ)
4位 ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパックサイクリング)
5位 ジャンマルク・マリノ(フランス、キャノンデール)
6位 マーカス・アイベッガー(オーストリア、シナジーバクサイクリング)
7位 トマ・バウボウゼイクス(フランス、ラポムマルセイユ)
8位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
9位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデール)
10位 イーリ・ポルニキー(チェコ、バクネット・アーサー)

個人総合成績
1位 レミ・ディグレゴリオ(フランス、ラポムマルセイユ)
2位 ベンジャミン・ジロー(フランス、ラポムマルセイユ)
3位 ヤン・ディエテレン(ドイツ、チームストルティング)
4位 マーカス・アイベッガー(オーストリア、シナジーバクサイクリング)
5位 マルコ・ザノッティ(イタリア、パークホテル・ファルケンブルグ)
6位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
7位 キャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデール)
8位 イオアニス・タモウリディス(ギリシャ、SPテーブルウェア)
9位 ウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、ドラパックサイクリング)
10位 内間康平(日本ナショナルチーム)


4h24'41"
+02"
+06"
+07"
+08"
+11"

+12"




ポイント賞
レミ・ディグレゴリオ(フランス、ラポムマルセイユ)

山岳賞
ウー・ナン(中国、ジャイアント・チャンピオンシステム)

チーム総合成績
ラポムマルセイユ

text:So.ISobe
photo:tourdetw/Sonoko.Tanaka