国内各地で続々と本格なシーズン到来を迎えているシクロクロス。今回のインプレションではIRCがリリースした初の本格的シクロクロス用チューブレスタイヤ「SERAC CX TUBELESS」をテストした。ロード用チューブレスタイヤとMTBタイヤの技術を融合した、レーシングモデルだ。

IRC SERAC CX TUBELESS(700×32c)IRC SERAC CX TUBELESS(700×32c)
クロスカントリー用MTBタイヤとして定評がある「SERAC(シラク)」の名を冠したシクロクロス用チューブレスタイヤが「SERAC CX TUBELESS」。乗り心地の良さや耐リム打ちパンク性、パンク時に内圧が急激に低下しない事、タイヤ交換が容易な事などが特徴で、既存のチューブラーやクリンチャーに対して多くのメリットを持つ。

走行性能に加え、安全性が高いこともSERAC CX TUBELESSの特徴だ。チューブラータイヤは乾燥度合や作業者のスキルによって接着強度が大きくバラつく一方、ホイールとの嵌合によって固定されるチューブレスはタイヤがホイールから離脱する可能性が減少している。また、2012-2013シーズンからUCIの規則によって解禁となったディスクブレーキを使用する際など、ホイールとタイヤへ高い負荷が加わった際の信頼性が高いとのことだ。

トレッドパターンはMTB用SERACの流れを汲むトレッドパターンはMTB用SERACの流れを汲む 国産であることを示すMADE IN JAPANのレターが入る国産であることを示すMADE IN JAPANのレターが入る


基本的な構造はロード用チューブレスに準じた造りを採用している。ケーシングには同社のFormula PRO TUBELESSシリーズやMTBレーシングタイヤにも使用される182TPIのナイロンケーシング使用し、軽さや低圧走行時の追従性と接地特性を向上。ノブは同社のSERAC XCをベースとしながらも高さや個数、密度、側面のテーパー角を調整し、シクロクロスに適したパターンに仕上げている。



ーインプレッション

「クリンチャーよりもチューブラーに似た乗り味」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

エリートクラスのシクロクロスで活躍する三上和志(サイクルハウスMIKAMI)がインプレッションエリートクラスのシクロクロスで活躍する三上和志(サイクルハウスMIKAMI)がインプレッション メーカーの推奨空気圧は3Bar~5Barとなっていますが、今回のインプレションではレースでの使用を想定し2.0Barに設定しました。

第一印象は、クリンチャーよりもチューブラータイヤに似た乗り味を持つタイヤと言うことです。特に真っ直ぐ走っている時のスムーズさとブレーキング性能が似ており、良い感触でした。これは恐らくコンパウンドが持つグリップ力の高さや、リムとタイヤの間にズレが生じない事、そしてタイヤが一旦変形し、元に戻る際の反発力が推進力に変わっていることによるのでしょう。

クリンチャータイヤですとリム打ちパンクに対して常に注意を払う必要がありますが、SERAC CX TUBELESSではそんな不安を覚えることがありません。これは大きなメリットですね。プロレースシーンで使用されるコットンケーシングのチューブラーに比べれば硬い乗り味ですが、クリンチャーと比較した場合では非常に快適です。

コーナーリング中、コーナーのR(半径)によって特性が変化します。大回りするコーナーでは十分にしなやかさが発揮され、コンパウンドとMTBで培ったブロックパターンの組み合わさる事で、高いグリップを確保してくれます。一方、タイヤを変形させて接地面積を稼ぎながら曲がる小さなコーナーでは、しなやかさに勝るチューブラーに僅かに分があると感じます。

耐パンク性については、メーカーの推奨空気圧内で使用すれば標準的で、不安を覚えることはありません。しかし、低圧走行時にサイドウォールが傷つきやすいと言う事には留意する必要があるでしょう。実際、1.9Barでのテスト中、タイトコーナーを攻めた際に、大きなカット傷が出来てしまいました。

MORATIのチタンバイクとシマノWH-9000-C24-TLに組み合わせてテストMORATIのチタンバイクとシマノWH-9000-C24-TLに組み合わせてテスト 高い制動力を誇る油圧式リムブレーキを使用するなど、レース時の高い負荷を想定した高い制動力を誇る油圧式リムブレーキを使用するなど、レース時の高い負荷を想定した


総括して、SERAC CX TUBELESSはクリンチャーに対しては大きなメリットがあるタイヤであり、部分的にはチューブラーと同等の性能を達成していました。コーナーリングでタイムを稼ぐ、攻める走りを得意とするライダーは物足りなさを感じる可能性がありますが、コーナーによって乗車と下車を使い分ける丁寧な走りが得意なライダーには、直線でのスムーズさは大きな武器になるでしょう。


IRC SERAC CX TUBELESS
サイズ:700X32C
重 量:375g
指定空気圧:300-500kPa
価 格:6,930円(税込)



インプレライダーのプロフィール

三上 和志(サイクルハウスMIKAMI)三上 和志(サイクルハウスMIKAMI) 三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。地元でのスクール活動も積極的に展開。ロードレースやシクロクロスレースにも参戦し、ジャンルを問わず自転車遊びを追求している。使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。

サイクルハウスMIKAMI


text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano

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