合計7つのカテゴリー山岳を含むアップダウンコースで集団が絞られる中、リーダージャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が約60名のゴールスプリントで勝利した。集団内でゴールした西薗良太(チャンピオンシステム)は総合11位から総合9位に順位を上げている。



ツアー・オブ・北京2013第3ステージツアー・オブ・北京2013第3ステージ image:Tour of Beijing北京北部の延慶(エンケイ)から千家店鎮(チャンディアジャン)までの176kmコースには、合計7つのカテゴリー山岳が設定されている。断続的に3級、3級、3級、2級、1級、2級山岳が登場し、ゴール11km手前で最後の3級山岳をクリア。レースは「登れるスプリンター」たちによる勝負に持ち込まれた。

懸命に逃げるウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら6名懸命に逃げるウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら6名 photo:Graham Watson/Tour of Beijing第1ステージで勝利したトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)は、急病の家族に付き添うためノルウェーに帰国。レースはスタート直後からアタックの応酬で、17km地点のスプリントポイントでマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がボーナスタイムを獲得後、6名の逃げが決まった。

北京北部の山岳地帯を走る宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)ら北京北部の山岳地帯を走る宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)ら photo:Sonoko Tanaka逃げたのはダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)やウェズリー・サルツバージャー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)ら6名。宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)は「これまでスタート後にすぐに決まっていた逃げも今日は20kmアタックが続き、私も乗るようにボアーロと動いた」と振り返る。サクソ・ティンコフはマヌエーレ・ボアーロ(イタリア)を逃げに送り込むことに成功した。

山岳ポイントを稼いだダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)が山岳賞ジャージを獲得。やがてレースも終盤に差し掛かると勝負に向けた動きが始まる。

「リーダーチームのFDJがコントロールし、上りもブアーニのテンポで進む。残り35kmにある2級山岳でアージェードゥーゼルが攻撃に出てレースが始まった」と宮澤。ペースの上がったメイン集団は、最大4分リードを稼いだ逃げグループを早いタイミングで飲み込んだ。



万里の長城を横目にプロトンが進む万里の長城を横目にプロトンが進む photo:Graham Watson/Tour of Beijing


アルカンシェルを着て走るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)アルカンシェルを着て走るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Graham Watson/Tour of Beijing続いてアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)が単独で飛び出して1分リードを築いたが、最後の3級山岳で吸収。登りで人数を減らしたメイン集団は、下り区間のトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)のアタックで更に人数を減らす。

パンダとともにアタックするダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)パンダとともにアタックするダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ) photo:Graham Watson/Tour of Beijing大会3連覇が懸かったタイムトライアル世界王者マルティンはしばらくの独走ののち吸収。最終的に60名ほどに絞られた状態で、集団がゴールの村に差し掛かった。

リーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が2勝目をマークリーダージャージのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)が2勝目をマーク photo:Graham Watson/Tour of Beijingリードアウトトレインを組んだのはオメガファーマ・クイックステップ。しかしアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)は本来の力を発揮出来ないまま後方に沈み、抜群の加速力で先頭に立ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らを振り切った。

リーダージャージを着て、Vサインでフィニッシュラインを切ったブアニは「残り250mの時点でヴィヴィアーニの後ろにつけていて、そこから躊躇せずに左のラインに突っ込んだ。ハードなコースだったけど、今日も素晴らしいチームのおかげで勝負に残ることが出来たんだ。この勝利で彼らの働きに報いることが出来たよ」とコメントする。

ブアニは総合リードを広げることに成功したが、翌日は1級山岳の山頂フィニッシュ。リーダージャージキープは非現実的だ。今シーズン11勝目を飾ったブアニは「また第5ステージで勝ちたい」と語った。

「登りの手前でロジャースとマティと一緒に前に上がり、そこから私はグルペットでゴールへ向かった」と語る宮澤が17分遅れでフィニッシュした一方で、西薗良太(チャンピオンシステム)はトップと同集団でゴール。60位以下の集団とタイム差がついたため、西薗は総合9位にジャンプアップした。

第4ステージの1級山岳フィニッシュを前に西薗は「トニ・マルティンやルイ・コスタらがアタックをして、集団は様子見という感じだったんですが、それでもペースが速くて集団が前1/3くらいになってしまい、クリス(バトラー)は第2パックに取り残されてしまった。チームワークという意味では自分だけ前にいても良くないので、これはあまりいい結果ではないです。明日はクリスと自分、ダブルエースという形になると思いますが、ここまできたら行くしかないですね。調子はとても良くて、脚はよく動いています」とコメント。総合トップ10で唯一のUCIプロコンチネンタルチーム&アジア人選手であり、総合争いでの奮起に期待したい。



集団内でゴールした西薗良太(チャンピオンシステム)集団内でゴールした西薗良太(チャンピオンシステム) photo:Sonoko Tanakaレース後、マッサージを受ける宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)レース後、マッサージを受ける宮澤崇史(サクソ・ティンコフ) photo:Sonoko Tanaka



ツアー・オブ・北京2013第3ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)                  4h08'15"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
5位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
6位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ・DCM)
7位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
8位 ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
47位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
127位 宮澤崇史(日本、サクソ・ティンコフ)                  +17'04"

個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)                  13h28'18"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)        +11"
3位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
4位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)              +16"
5位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)            +18"
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)                    +19"
8位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
9位 西薗良太(日本、チャンピオンシステム)
10位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)   +20"

ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

山岳賞
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)

新人賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

チーム総合成績
BMCレーシングチーム

text:Kei Tsuji
photo:Graham Watson/Tour of Beijing, Sonoko Tanaka