9月14日(土)から始まるツール・ド・北海道。今年はニセコ滞在型で3ステージ428kmで行われる。チームNIPPO、チーム右京そしてブリヂストンアンカーら海外5チーム、国内15チーム計20チーム100人が厳しい山岳コースに挑む。

本大会で3回通る倶知安町内。どこからでも羊蹄山が見える本大会で3回通る倶知安町内。どこからでも羊蹄山が見える photo:Hideaki TAKAGI
ニセコ滞在型の今年

倶知安町内第1・第2ステージを試走するチームバジェットフォークリフトの選手たち倶知安町内第1・第2ステージを試走するチームバジェットフォークリフトの選手たち photo:Hideaki TAKAGI3年ごとに北海道の各地を巡るツール・ド・北海道。今年は道南地区でニセコ町・倶知安町を拠点の3ステージ428km。スタートは3ステージともにニセコひらふ坂で、第1・第2ステージのゴールも同じひらふ坂。最終第3ステージのみゴールが小樽市内だ。北の雄大な大地を巡るコース設定は今年も同じ。絶えず羊蹄山を見ながら東西南北へ走る。
2012年に個人総合優勝を決めたチームNIPPO2012年に個人総合優勝を決めたチームNIPPO photo:Hideaki.TAKAGI
ここニセコは世界的にも上質なパウダースノーがあり冬季はスキーヤーで賑わう場所。その客の多くが海外、とりわけオーストラリア、ニュージーランドそして香港などからやってくる。外国人が多くいる場所で、本大会に出場する海外選手も普通に溶け込むのがニセコだ。大会はこのニセコに3日間滞在し、選手もスタッフも移動の手間の少ないことは嬉しい。

厳しい山岳コースの3日間
高い実力と結束で挑むチーム右京高い実力と結束で挑むチーム右京 photo:Hideaki TAKAGI
昨年と同様に、今年も公道のロードレースが3ステージある。もともとが山岳地帯のニセコなので、おのずと3ステージとも山岳が含まれ、厳しい3日間が続く。とくに第1ステージは最長の180kmであることに加え、大小さまざまな峠があり、「平地のほとんど無い」と選手が形容する厳しいもの。第2、第3ステージも落ち着ける区間の無い密度の濃い3日間だ。

ここ数年、ツール・ド・北海道は秒単位の争いとなり、ゴールや途中のホットスポットでのボーナスタイムの獲得が重要だった。今年は展開により分単位の差がつくことが予想され、加えて上位陣はボーナスタイムも獲得せねばならず、例年にない厳しい戦いとなるだろう。
2010年第2ステージそして個人総合優勝は清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)2010年第2ステージそして個人総合優勝は清水都貴(チームブリヂストン・アンカー) photo:Hideaki.TAKAGI
今年から各賞の中からU23賞がなくなった。これは大会趣旨のひとつである若手育成のため、事前に各チームへ25歳以下選手の可能な範囲での起用を要請したこともある。

海外5チーム、国内15チーム計100人が参加

コンチネンタルチームが海外から5チーム、国内9チーム、大学4チーム、地域選抜1チームそしてクラブチームが1チームの計20チーム各5人の100人が出場。ベルギーのコルバ-スペラーノハムから竹之内悠と、8月から研修生入りした小石祐馬の出場がトピック。
2012年チーム総合優勝の宇都宮ブリッツェン2012年チーム総合優勝の宇都宮ブリッツェン photo:Hideaki.TAKAGI
国内ではディフェンディングチャンピオンのチームNIPPO-デローザがやはり注目だろう。主催者要望に応えて「若手中心のメンバーで福島晋一がまとめ役」(大門宏監督)の構成。アルベルト・チェッキンは今年のツール・ド・コリアで個人総合ポイント賞を獲得している。

そして最大の注目はチーム右京だろう。チームは1週間前のイーストジャワで個人(ホセ・ビセンテ)・山岳・チーム総合優勝を飾り、同じメンバーで乗り込む。ブリヂストンアンカーも3年前の本大会覇者の清水都貴を中心に調子を上げている。
2012年第1ステージを制したのは黒枝士揮(鹿屋体育大)2012年第1ステージを制したのは黒枝士揮(鹿屋体育大) photo:Hideaki.TAKAGI
愛三工業レーシングチームは国内チームではUCIランキングトップ、そして日本人だけで構成されるのも特徴。西谷泰治に加え、中島康晴、伊藤雅和ら隙のない布陣で臨む。
マトリックスパワータグは新人のガルシア・ビセンテが1週間前の実業団個人TTでいきなり2位と注目。昨年個人総合3位の窪木一茂が今年出場者では昨年の最上位のため、チームはゼッケン1番からスタートする。大学勢では過去本大会ステージ勝者の、山本元喜と黒枝士揮の出場する鹿屋体育大学が注目。

全20チーム、コンチネンタル14、クラブ1、地域選抜1、大学4、海外5、国内15 各5人

トレンガヌサイクリングチーム
OCBCシンガポール・コンチネンタルサイクリングチーム
チームバジェットフォークリフト
ヴェロクラブメンドリシオ
コルバ-スペラーノハム
Cプロジェクト
ブリヂストンアンカーサイクリングチーム
宇都宮ブリッツェン
愛三工業レーシングチーム
シマノレーシングチーム
マトリックスパワータグ
チームNIPPO-デローザ
チーム右京
シエルヴォ奈良サイクリングチーム
湘南ベルマーレ
北海道地域選抜
順天堂大学
鹿屋体育大学
日本大学
東京大学
※スタートリストは本ページ下段の添付ファイルをご参照ください。

各ステージの見どころ

第1ステージ 9月14日(土)180km 9時30分スタート

10%勾配区間。第1ステージは下り、第2ステージは往復する10%勾配区間。第1ステージは下り、第2ステージは往復する photo:Hideaki TAKAGI今大会最長の180km。標高差も大きくKOMのニセコチヌプリやあるいは数十m単位の小さなアップダウンも多数あり、休みどころの無い厳しいコース。しかもゴールは上り。第1ステージから総合を占う重要なステージになる。3年前と7割がた同じコースをたどる。今年は終盤に羊蹄山を巡る。ゴールはヒラフのゴンドラ坂で、3年前のひらふ坂とは異なる。やや距離が短く勾配が緩い。最終コーナーを回って400mを上ってゴール。

大きな流れはKOMのニセコチヌプリへの上りでできるが、勝負を決定付ける動きは130km過ぎてからになるだろう。人数を減らした有力集団が終盤に少人数となってゴールへ向かう。ゴール前の坂だけ見るとスプリンターにもチャンスはあるが、それまでのふるい落としの攻防に生き残らねばならない。勝負どころが中盤以降の中小のアップダウン区間のため、ヒルクライマーよりはパンチャータイプに有利なコース。

展開によっては分単位の差が付く可能性があり、この第1ステージで大勢が決まる可能性が高い。

第2ステージ 9月15日(日)132km 9時30分スタート

第2ステージ 「雷電国道」の弁財潤大橋第2ステージ 「雷電国道」の弁財潤大橋 photo:Hideaki TAKAGIスタートから30km地点までは第1ステージと同じ。泊村を経て神恵内村で折り返す往復コースで132km。海沿いを走るが実際に海を横に見ながら走るのは数kmのみ。しかし横風が吹けば左側車線しか走れないため、後続が途切れる可能性がある。復路の共和町役場前がホットスポット。ここまで平坦のため集団はひとつになる可能性がある。

その後はゴールへ向けて山岳地帯へ突入。ニセコの山腹を横に横断する箇所でKOM、下りを経て10%の登坂区間で集団は再びバラけ、下りを経て集団は分裂したままゴールへ向かう。
中盤過ぎまでは平坦が多いが終盤に山岳が控える。このステージもゴールはバラバラで秒差がつくが、分単位の差はつきにくいだろう。

第3ステージ 9月16日(月)116km 9時スタート

樺立トンネルまでの上りは緩傾斜で道が良く、加えて下りも同じくで攻撃的な逃げはできないだろう。いっぽうで逃げを仕事にする選手はここで差をつけておくことだろう。美しい田園風景の広がる赤井川村をとおりやがて冷水峠へ。新道のトンネルでなく旧道の峠へ回る。2車線の道でその後は平坦基調の緩いアップダウン区間のため、ここでも決定的な逃げはできにくい。

平坦の道を仁木村からふたたび赤井川村を通過する。そして最後の峠、毛無峠への緩い上りが始まる。アプローチが長く勾配は急ではないがひたすら上り続ける。そして最大の難所、下り区間が始まる。片側1車線で、カーブの中央分離帯にガードレールがある。ここは左側通行厳守だ。テクニカルな下りを経ていよいよゴールの望洋台へ。上ってから下りそして平坦、ラスト1kmは上りで前半は6、7%、後半は5%以下の上りで最後のコーナーを曲がって200mで上りゴール。表彰は移動して札幌市内のモエレ沼公園。


photo&text:高木秀彰
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