今大会最長の第15ステージを制したのは長距離を逃げ切ったアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)。ジェニエと一緒に途中まで逃げたニコラ・エデ(フランス、コフィディス)が山岳賞を獲得。総合1位はニーバリ(イタリア、アスタナ)が堅持し、ポイント賞と複合賞共に変動は無かった。

ステージ優勝、敢闘賞のアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)

アンドレ・カルドソ(ポルトガル、カハルーラル)と共に逃げるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)アンドレ・カルドソ(ポルトガル、カハルーラル)と共に逃げるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr) photo:www.lavuelta.com(グランツール初勝利の感想は?)ぼくのプロ初勝利は2011年のツアー・オブ・オーストリアだったが、今日のコンディションとそっくりだった。ブエルタのクイーン・ステージでの優勝は自分にとっても格別だ。

単独で逃げるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)単独で逃げるアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr) photo:CorVosもっと勝ちたいのだけど、ぼくたちのようなクライマーはスプリンターに比べるとあまり勝負する機会が多くない。本当に素晴らしい。人生の最高の瞬間として覚えておきたい。

ステージ優勝と敢闘賞を獲得したアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)ステージ優勝と敢闘賞を獲得したアレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr) photo:CorVos(今日の長距離ステージでの逃げの際に念頭に置いたことは?)まず、総合争いのグループと一緒になったときのために、ティボー・ピノ(フランス)が有利になるように前方に位置取りした。だけど(一緒に抜け出した)30名の選手たちは、あまり統率のとれた集団を形成できなかった。

できるだけ先行したかったのと、モチベーションの高い選手たちとだけ走りたかった。後のために体力を温存する選手とは走りたくなかった。山岳ステージでの優勝は、その価値に見合うだけの走りをすべきだ。そう願って走った。下り区間でかなりタイム差を稼いだ。今日の成功が、他のチームメイトたちにも続いてほしい。

(今シーズン序盤はパッとしなかったが?)パリ~ニースやブエルタ・アル・パイスバスコでは、荒天でかなり苦しんだ。自分への自信を喪失しはじめていた。レースに出るたびに、好調な状態でフィニッシュするのが難しくなっていた。自信を取り戻したのはドーフィネのときで、その成果でツールのメンバーにも選ばれた。

個人としては良いツールだったが(総合44位で終えている)、チームとしては、いくつかの理由で思い描いていた結果が得られなかった。ツールを終えた後は疲れてはいたが消耗しきってはいなかった。

そのときにチームのスタッフから、ブエルタ出場の可能性をオファーされた。2~3日ほど考えて、オファーを受け入れることにした。他のレースに出るよりもブエルタのほうが、自分の成長の役に立つと思ったからだ。この選択は正しかった。残り1週間だが、それほど簡単ではないと思う。まずは一息つきたい。

(世界選手権のフランス代表チーム候補から選考漏れしたことについて)この数日間ずっと注目していたけど、候補者リストには載っていなかった。あまりガッカリはしていない。(フランス代表チームのコーチである)ベルナール・ブローは、ぼくのことは知っている。ぼくをU23世界選手権で選んでくれたのは彼だ(2009年にロメン・シカール(エウスカルテル・エウスカディ)と競合してジェニエが選ばれた)。だから、彼は自分の思い通りのことをしたのだろう。それだけだ。


総合1位、ステージ4位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

1級山岳プエルト・デラ・ボナイグアを登るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)1級山岳プエルト・デラ・ボナイグアを登るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji今日のステージ優勝者のジェニエ(フランス、FDJ.fr)のことは知らない。彼の名前も知らなかった。集団全体としては逃げを容認したがっていた! チームメイトのマキシム・イグリンスキー(カザフスタン)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ)、アレッサンドロ・ヴァノッティ(イタリア)、パオロ・ティラロンゴ(イタリア)の序盤でのアシストが素晴らしかった。

雨と寒さが続く長い1日だった。あと、ぼくのいた集団ではアタック合戦も頻発していた。おもにホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とクリス・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)による動きだった。それからサクソ・ティンコフもレースをハードにした。

それで、自分もアタックすることに決めた。だけど、最後の登りではずっと向かい風が強くて、ハイペースで走り続けるのが難しかった。自分が思うほどには走ることができなかった。このピレネーでの2日間のハードなコンディションが与える影響をしっかり見守りたい。


複合賞、総合2位、ステージ6位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

メイン集団の先頭に出るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)メイン集団の先頭に出るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:CorVos今日はあまり寒くなくて良かった。だけど、あまり険しい登りでもなかったので、自分としては大きく動けなかった。ニーバリ(イタリア、アスタナ)はかなりかなり調子が良く、今日は登りで負けてしまった。今後のステージでは、かなり厳しい登りがあることはわかっている。強調しておきたいのは、ぼくの脚は絶好調だということだ。まるで若者の脚の様だ。


ポイント賞・総合3位・ステージ5位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ポイント賞キープしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ポイント賞キープしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos自分自身の調子は良い。だけど、他のライバルたちの調子を見ると、彼らも悪くはない。ペイルスルド峠で何回かアタックしてみたけど、かなり難しかった。ライバルたちは本当に強いので、千切るのは簡単ではなかった。自分としてはしっかり走れたと思うし、悪くはなかった。

今年のブエルタは、まだまだ残りが長い。総合勢のタイム差はお互いに接戦状態だ。数名の選手だけが少しだけ抜け出しているが、それでも大差ではない。どんなチャンスでもかまわずに利用してトライしていくつもりだ。

今日は天候にも恵まれた。寒さ対策のウェアも準備していたが、昨日ほどハードになる瞬間はなかった。昨日の大きなトラブルだけど、ぼくたちは30度以上の暑い日々をずっと過ごしてきていた。金曜日の山岳ステージでは40度近くにもなった。そこから、土曜日のポルト・デ・エンバリラでの山頂で、4~5度の気温の世界へ入ったことが大きい。

選手たちは、あの下り区間で適切なウェアを用意できていなかったかもしれない。だから、あの気候変動は暴力的だった。今は総合3位の順位に満足はしているが、まだ諦めたわけではない--チャンスがあれば、それを狙いにいく。


山岳賞のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)

ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)らを含む6人の先頭集団ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)らを含む6人の先頭集団 photo:www.lavuelta.com自分がこの水玉模様の山岳賞ジャージを着るなんて、認めがたい事実だ。アタックしたのは最初の山岳の麓だった。山岳賞ジャージを着ていたダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)は、逃げに入りたがっていた。ジェニエと一緒に走ったが、彼はその中で最強だった。

なんとか彼に付いて、2番目の山岳プエルト・デラ・ボナイグアを登った。そこで山頂を1位通過したので、山岳賞ジャージを獲得できたとわかった。ガリシアをスタートしたときからずっと、このジャージが欲しかった!


ステージ2位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)

今日優勝したフランス人(ジェニエ)は、本当にしたたかだった! 彼は190kmくらいのところで飛び出した。あの飛び出しは無謀だと思った。だけど彼には素晴らしい脚があった。おめでとう! 今日はステージ優勝する可能性をずっと信じていたが、向かい風がかなり厳しかった。


総合6位、ステージ3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

ステージ3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)ステージ3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:CorVos今朝はかなり神経質になっていた。(昨日のような)雨と寒さがイヤだったからだ。最終的には今日の天候はそれほど悪くはならなかった。スタート前に、今日はアタックして、ロスしたタイム差を詰めようと考えた。それでチームメイトたちにアシストしてもらってアタックした。

1級山岳のポル・ド・バレではクリスアンケル・セレンセン(デンマーク)に、下り区間ではオリバー・ツァウグ(スイス)に、そして最後の登りではラファル・マイカ(ポーランド)にアシストしてもらった。1分差を詰めるつもりだったが、わずか13秒しか詰められなかった。でも、後悔はしていない。


総合11位・ステージ19位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)

1級山岳ペイラギュードを登るダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)1級山岳ペイラギュードを登るダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji最後の登りでは、かなり強い勢いで走った。ホーナーやニーバリといったライバルたちが強すぎた。彼らを振り落とすことができなかった。ホアキン・ロドリゲス(スペイン)とぼくは彼らに付いていくだけで精一杯だった。だけど、まだまだ厳しい山岳が控えている。これらの山岳で、ツール・ド・フランスのときのようにホアキンを表彰台に押し上げたい。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI